全3件 (3件中 1-3件目)
1
例によって、埋もれていた書棚から発掘した「昔、なぜか買った積読本」を、ぽつりぽつりと繙いておりまして、今日は川本三郎さんの『フィールド・オブ・イノセンス』という本をチラ読みしておりました。 で、読んでいる内に、何だかすごく懐かしいような、遠い青春時代を思い出すような気になりまして。 なんて言うんだろう、すごく懐かしいアメリカ文学論だったのよ。文学論なのかなあ、文学的エッセイというべきか。 論文ではないのだけど、アメリカ文学の本質と思しきものを、色々な作家の色々な作品、あるいは映画とか、流行歌とか、文学のサポートになるようなものも含めて言及しつつ、抽出していくスタイル。 それで、タイトルにも表れているように、アメリカ文学の本質は「無垢なるものへの執着」だ、というような話になっていく。 うーん、私がサリンジャーの作品に夢中になっていた頃、この本を読んでいたら、ものすごく興奮して、大いに発奮させられたかもね。 だけど、今、こういう感じのアメリカ文学論って、ないよね! いや、それを言ったら、どのような意味においてもアメリカ文学論って、存在してないけどさ。 あ、私の自己啓発本論を除いて、ね。 それにしても、アメリカ文学の本質は無垢なるものへの執着だ、なんて、そんなことを言ってしまうこの熱い時代が懐かしい。 トランプ大統領のアメリカを見ていて、とてもそんな話にはなっていかないもんね。 ほんと、ひと昔前のアメリカ文学論って、それこそ、イノセントだったなあ・・・。いい時代だった。 しかし、そういう時代が終わった今、どうしたら今の時代のアメリカ文学論ができるのか。それを考えないといけないんだろうね。
August 3, 2026
コメント(0)
![]()
版画家の山本容子さんが書いた自叙伝、『マイ・ストーリー』を読了しましたので、ちょっと心覚えをつけておきましょう。 リノベーションした家の書斎で、ものすごい量の書棚を作ったせいで、今まで本の山に埋もれてその存在を忘れてしまっていた本に再会することが増えた今日この頃なんですけど、この本もそんな一冊。っていうか、いつどこで買ったのかも忘れていたっていうね。最後のページに、大田区の古本屋のシールが貼ってあったんだけど、まったく記憶がない。 とにかく、その古本屋で、この本を買ったんでしょうな。 どうして買ったのかは忘れましたけど、山本容子さんの版画の画風が好きなので買ったことは確か。池田満寿夫もそうだけど、画家は文章が上手いことが多いしね。 で、読んでみてびっくりしたのは、山本さんの男性遍歴。 まあ、男性遍歴なんていうと、なんだかみだらな感じがするけど、およそそういうみだらさとはまったく縁のない、実に爽やかな遍歴なのよ。 最初は美術大学での尊敬する先輩との結婚。しかし、ストイックなまでに芸術至上主義的な先輩と、作品が売れ始めてしまった容子さんの間に段々感覚のずれが生じてきて破綻。 お次は著名な美術評論家でニ十歳以上年上の中原祐介氏との恋愛。これは中原氏に妻子がいたことから、世間的には不倫になっちゃうんだけど、メンター的な美術評論家とそのプロテジェ的なアーティストの恋で、互いに高め合う性質のものだったから実りの多い関係だったらしい。でも、結局、容子さんがさらに本格的に売れちゃったこともあって、二人の関係に齟齬が生じてしまった。 三番目はテレビ・ディレクターとの結婚。これはまったく業種が異なる、しかし作品を生むという点では同業の人とのもので、これもそれなりに実りがあったようですが、本書はこのお相手と別れることになったという報告で締めくくられている。 なかなかのものでしょ? それぞれにロマンティックなところがあり、それぞれに打算的なところもあり。容子さんというのは、ある意味、恋多き人なんだけど、いわゆる通常の結婚生活はできない人と見た。だから、結婚なんかしないで、自由恋愛していた方がいい人ですな。それで楽しく、互いに益するところがあるなら、全然いいのだからね。 しかし、一つ、容子さんのこれまでの人生で特筆すべきは、売れちゃった、ということだよね。 それは、商業主義的だから、という意味ではなくて、彼女の中にウィリアム・モリス的に、良い芸術は多くの人に所有され、楽しまれなければならぬ、という確信があるから。 油絵じゃなくて、版画を選んだ時点で、そうだもんね。版画は複製できるからね。それに、たとえば挿絵とか、本の表紙を作って、本と言う媒体に載せて世間に自分の作品を広めることも、容子さんは心の底からやりたいのだから。 それを、「芸術として純粋じゃない」と批判するのはおかど違いなんだよな。いいじゃない、アーティストとしての本人がそれをやりたいと言ってやっているのだから。私は断然、容子さん擁護派だわ。 それに、そういう容子さんの行き方・生き方は、私自身の信念にも通じるところがあるしね。 私も、学者として「売れたい」と、心の底から思っているからね。つまらない研究書なんか、書く気ないもん。面白い本、売れる本しか、わしは書かないよ。それで学会からはつまはじきされているけれど、そんなもん痛くも痒くもないぜ! っつーことで、山本容子さんのこの本、私にはとっても面白い本だったのでした。教授のおすすめ!よ。これこれ! ↓【中古】 マイ・ストーリー 新潮文庫/山本容子【著】
August 2, 2026
コメント(0)
![]()
菊地大樹という人が書いた『すごいジャーナリング』という本を読みましたので、心覚えをつけておきましょう。 この本は、「ジャーナリング」の効能を説明している本なんですけど、そもそもジャーナリングって、分かります? 分からないよね? 私もこの本を読むまで知らなかったもん。 ジャーナリングというのは、日記をつける作業にちょっと近いけど、本質的には日記とは大分違う。 日記ってのは、なんだかんだ言って、澄ました顔をしているよね? 人に見せない、自分だけの記録だとはいえ、実際にはきれいごとが書いてあったりする。 ジャーナリングってのは、そうじゃなくて、心の中のモヤモヤをノートの上に全部ぶちまけること。 だから、むしろ否定的な感情とか、人の悪口とか、やっかんでいる自分の思いとか、恨み事とか、そういうのをぶちまけるわけよ。 それは、ある意味、心の中の汚いゴミを排出する作業だから、そのこと自体、ストレス解消にはなるよね。 だけど、それだけじゃないの。 ジャーナリングで否定的なことを書いたとしても、そこには本音が隠れていたりする。 なぜ、自分はある人、あることに対して、そんなに否定的な感情を抱くのか。そこをきちんとつきつめて考えていくと、自分はこういう人間で、こういう価値観を持っていて、こういう風に生きていきたいと思っているんだな、というのが分かってくる。 そうやって、心の中のモヤモヤを、モヤモヤのままで終わらせず、自分の本音、自分の理想、自分の強みとは何かを考えるネタにする。それがジャーナリングの核心なんですな。 だから、とにかくジャーナリングを続け、自分と対話をしていけば、自分を自分に理解できるものに変えていくことができるし、自分がどういう方向に動きたいと思っているかも、見えてくるようになると。 つまり、ジャーナリングとは、人生の羅針盤を作る行為に他ならないのよね。 そういうことが、この本を読んでいるとよく分かる。 自己啓発思想の観点からいうと、この本が言っていることは、引き寄せの法則です。自分の望みを、曖昧な形ではなく、明確なものとして日々拳拳服膺することで、それを実現に近づけるという。 だから、この本は「強く願えば、すべて実現する」という引き寄せ系自己啓発本なのね。 だけど、そこに「紙の上に書き出す」という行為を挟むことによって、誰もが疑いなく実行できる一つの行動パターンに落とし込んでいる。そこがこの本のうまいところというか、目の付け所がいいところなのよ。 実際、この本を読んでいると、「自分もジャーナリング、やってみようかな」という気になるもんね! そして本当にやって見たら、多分、いい結果は出ると思います。 ということで、本書『すごいジャーナリング』は、新手の引き寄せ系自己啓発本として、かなりいい線を行っている本なのでありました。教授のおすすめ!よ。これこれ! ↓すごいジャーナリング うまくいっている人は紙に何を書いているのか? [ 菊地 大樹 ]
August 1, 2026
コメント(0)
全3件 (3件中 1-3件目)
1