PR
Calendar
Keyword Search
Comments
Freepage List
Category
★
原油指標である北海ブレンド先物価格は11月27日終値で
72.58ドルと大幅な低水準に落ち込んでいる。
石油という天然資源に恵まれた国々は、
石油掘削でその財政の大半を賄っているから、
豊富な埋蔵量が枯渇しないうちに
できるだけ収入を多く獲得したいので、
石油輸出国機構(OPEC)として共同で価格維持を図ってきた。
★
原油産出国では収入を原油に依存するから、
その国の財政収支が均衡するのは原油価格如何によっている。
財政収支が各国の事情で変動するのに対して、
国際価格である原油価格は需要供給で決定されるから、
OPECは、その「独占価格」の決定権を享受してきたのである。
★
しかし、最近は、非OPEC産油国が増産し、
特に、原油がシェール層で埋蔵されている米国、カナダなどの国々が
増産に入ったことで、供給超過の状態にあることから
世界的な工業生産の沈滞もあって、原油先物市場は値下がりしている。
★
OPEC総会が11月27日に開かれたが、
財政負担を石油に依存するベネズエラの
「現行生産目標=日産3000万バレル」引き下げ案」は却下され、
OPECの価格安定操作機能に綻びが生じ初めている。
ベネズエラ、リビア、エクアドルなどは減産を主張したが、
OPECの3割を占めるサウジアラビアの盟主としての発言
「減産は、シェールオイルなどの非OPECを利するのみ」
にUAE,クウェートなどが同調したためである。
サウジアラビアは今年6月での、「1バレル=95~110ドル」の
適正価格水準を放棄したことになる。
★
シェールオイルの増産を後押しした過去の原油高騰ではあるが、
OPECが減産せずに、原油の価格低下を認めることは、
サウジアラビアにとってはイランなどの
敵対意識を更に増幅する危険がある。
即ち、スンニ派の王制を敷くサウジアラビアは、シーア派宗主・イランと
宗教的にも敵対しているのである。
「イラン側にいるロシア、反米のベネズエラ などと」、「親米のサウジアラビア」
の対立図式が強まるかも知れない。
しかし、サウジアラビアにとっても、新聞報道でもあるように、
大量の外貨準備はあるものの、
原油価格低下は経済財政力の悪化をもたらし、
シリア反体制派支援などの中東影響力が
弱体化する懸念もありそうである。
財政均衡想定原油価格(*)と原油日産量でみる中東情勢など
(*各国独自の財政収支が均衡する想定原油価格)
国名 |
財政均衡点=1バレルあたりのドル表示価格 (IMF試算の場合) |
10月原油日産量 (同2009年時点) 単位:万バレル |
備考 中東の政権宗派 @:親米国家 |
---|---|---|---|
カタール |
71ドル |
(121) |
スンニ派@ |
クウェート |
76 (54.2) |
280 (250) |
スンニ派@ |
UAE |
80 |
277 (280) |
スンニ派@ |
サウジアラビア |
99 (97.5) |
965 (976) |
スンニ派@ |
ロシア |
100 |
(993) |
<イラン支援> |
オマーン |
101 |
(82) |
中立(両派に敵対)@ |
ナイジェリア |
126 |
(221) |
|
イラン |
130 (130.5) |
282 (418) |
シーア派 |
バーレーン |
136 |
(4) |
スンニ派(国民の大半はシーア派)@ |
ベネズエラ |
162 |
(247) |
|
イラク |
(111.2) |
323 (240) |
シーア派(国民の4割はスンニ派)@ |
USA |
(914) | ||
全世界
|
(8,439) |
ガザ地区とイスラエル人~中東:米国~讀… May 7, 2024
中東イスラエルの危機~基本事情+最近のイ… Oct 17, 2023
トルコの基本事情更新と2023Julyの国際収… Sep 13, 2023