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大学生が先生と慕っている人が長い遺書を残して自殺する話。親子関係や恋心の機微が良く書けているのはよいものの、必ずしも物語に必要ではないような些細なエピソードが盛り込まれていて、丁寧な仕上りだけれど全体的に冗長。また、主人公の存在感や主人公と先生との関係が希薄で、主人公が実家で云々という物語が先生のエピソードで霞んでしまう。はじめから先生の遺書の部分だけで十分のような気がする。★★★☆☆
2009.04.28
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ベトナム戦争を取材する記者の話。作者=主人公の視点による一人称の文体。戦争が主題というよりもむしろ私小説的で、記者仲間の妹とセックスをしてぐうたら過ごす姿が描かれる。しかし私小説的にするならばなぜわざわざ外国の戦争が舞台で無ければならなかったのかが書かれて無いと小説としては不完全で、傍観者がむやみに他国の戦争に首を突っ込んでいるように見える。ところどころ面白い比喩表現があるのはよいものの、全体の統一感を欠き、作者の情事も戦場の描写も政治的考察も中途半端のまま終わっている。★★★☆☆
2009.04.28
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世界を旅行したりして哲学的になっていくパロマー氏の話。パラグラフごとに文体を変える試みはよいものの、はっきりした違いがあるのは第1章くらいで他はどう違うのかよくわからない。短編が連続する形式になっているけれど、個々の短編がそれほど面白いわけでもなく、全体としても場面が飛び飛びで一貫したストーリーがあるわけでもなく、仕上がりが不十分な感じ。★★★☆☆
2009.04.23
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ひねくれた中年役人の手記。第一部は手記の形式でエッセイ風に社会に対する主人公の思想がモノローグで語られる。主人公の人物像がはっきりしないうちに思想を語られてもわかりづらくてひたすら退屈する。第二部は物語の形式で、若い頃に友人と不和になりやけくそになって抱いた娼婦との失恋話が語られる。この部分は主人公の救いようの無いひねくれ具合が面白い。★★★★☆
2009.04.17
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白痴の女と共に戦火を逃れる表題作とその他の短編集。文体・構成は特に特徴も無いものの、各短編の主人公の女性観によって物語が適度に異化されている。ただし主人公がどれも平凡で、読者を惹きつけるだけの存在感がない。★★★★☆
2009.04.17
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中年男の島村が芸者の駒子と行きずりの恋をする話。二人の間の恋愛の機微と、暗喩的な示唆に富む風景描写が主な見所。島村を中心とした三人称による文体。駒子については芸者になった理由が明らかになるものの、島村の背景や価値観が描かれてないし、葉子の存在感も希薄。恋愛が成就しない駒子のラストシーンは絵になるものの、駒子に共感する以外の解釈の仕様がない。三人称で時系列順に展開する小説としてできる限りの描写の美的表現をやり遂げたという模範にはなるものの、現代文学に比べると構成も人物像もぱっとしない。必ずしも小説でしか表現できない物語とはいえない。★★★★☆
2009.04.13
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飛行機が墜落して大やけどをした正体不明の患者の話。登場人物は主にイギリス人の患者、看護婦ハナ、ハナの叔父さんカラバッジョ、工兵キップの四人。イギリス人の患者が語る豊富な雑学やそれぞれの人物の過去が語られていく形式。戦時中でありながら穏やかな共同生活が始まり、徐々に人間関係が変化していくのがこの小説の面白さ。個々のエピソードは印象的で面白いものの、話があちこちに飛ぶ割にそれに対するフォローが少なく、プロットの統一感に欠けるのが欠点。中盤はイギリス人の患者がほったらかしにされて物語から浮いて見えるし、キップとハナの恋愛もイギリス人の患者の劇的な恋愛話で印象が薄れてしまい、主題になりきれず中途半端な感じがする。★★★★☆
2009.04.13
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砂漠に不時着した飛行士が星の王子さまと会う話。飛行士の一人称による文体。ボアを描いて画家をあきらめた飛行士のひねくれた語り口は面白いものの、王子さまが話す部分は月並み。含意の意図はわかるものの、ストーリーがこうでなけれあばならないという必然性はない。有名な作品ではあるけれど、それほど名作とは思わない。★★★☆☆
2009.04.08
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男を変える度に木と話す風俗嬢の話の表題作と他の短編集。表題作で現在→過去→現在となる構成はただ話を分かりにくくするだけの無駄。時間を前後させたところでプロットに変化がでる話でないのだから、初めから時系列順に書くべきだろう。作者自身が銀座でクラブを経営していただけに、銀座のママの人物造詣はよくできているものの、それ以外が月並み。タイトルが小説の主題になるオーソドックスなスタイルで、描写やプロットが単調でストーリー自体にもあまり魅力が無い。★★★☆☆
2009.04.06
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風俗嬢の感傷を書いた表題作と他の短編集。無理して使ったような性的な比喩がうざったく、文体が内容に合っていない。いかにも男が描いた女性像という域を出ず、懲りすぎたせいでむしろ読みにくく不自然な描写になっている。ラストシーンで感傷的な一場面を書いてはいるけれど、見所はそれくらい。その他の短編も見所が無く、ストーリーも描写技法も素人に毛が生えた程度。これで傑作短編集扱いする出版社は詐欺師か阿呆だろう。★★★☆☆
2009.04.06
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マコンド村を作り上げたブエンディア一族の物語。ジプシーのメルキデアスの発明や村の発展に一喜一憂した幻想的で牧歌的な序盤、町が発展して戦争やバナナ会社との紛争がある中盤、一族が没落し世間から忘れ去られる終盤のすべてがユーモラスで面白い。物語の抑揚が無く、生死や恋愛が均等に語られていく独特の文体で、この物語自体がメルキデアスが書いた本のようになっているという落ちも面白い。★★★★★
2009.04.06
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