草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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草加の爺(じじ)

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2015年04月19日
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(六歳のたん君は よる ゆめを みました。昼間、お友達のみんなと 砂あそびや 駆けっこや ボール投げ など

をして、元気いっぱいに遊んだので ぐっすりと眠り、その深いゆめの中で とても不思議な 冒険をしたのでし

た……)


― 始め たん君は とても広い みどりの野原の真ん中に ひとりっきりで立っていました  その緑の広がりは 

どこまで続いているのか わからないくらい どこまでも 


どこまでも 限りなく広がっているのです  緑色は たん君の大好きな色でしたから あたりを見回しているうち

に 次第に 心が 浮き浮きしてきて 急に 走り出したくなりましたよ  たん君は 走り また 走ります  す

ると 調子が出て来て 全速力で走っています  すごいぞ これは凄いぞ!  自分が 嘘のように 速く走れるの



うな スピードだったのですから  すると 何だか自信が湧いて もっと もっと 速く走れそうな気がします  

「ようし 僕は スーパーカーにも負けないくらいの スピードを出してみるぞ!」  たん君は心の中で そう叫ぶ

と もっと両手を大きく振り 両足で みどりの地面を力強く 蹴り始めましたね  すると どうでしょうか 本当

に たん君の身体は スーパーカーか 新幹線並みの猛スピードで 前へ 前へと 進んでいるではありませんか  

速いぞ! 凄いぞ! 凄いぞ!! 速いぞ!!  たん君の耳もとで 空気が ピュービュー キーンギューン と唸

っていますよ   気が付いた時 たん君の身体は 鳥のように ふわりと 宙に浮かんでいました うわっ たん君

は思わず息を 飲みます ひぃえっ 信じられない 心の中でそう思います  すると 身体は益々 軽くなって 糸

の切れた風船のように ぐんぐん 空の方へ


 上のほうへと 昇っていくではありませんか  たん君は いよいよ愉快になって 得意げに大声で 叫びまし

た  「僕は 飛行機だ 富士山よりも もっと高く 空を飛べるんだ」 ―― たん君は 青空に吸い込まれてい

く 小さな点の様な 自分の姿を 想像してみます  ユカちゃんや太郎君、お友達の皆が知ったら どんなに驚い



相違ありませんよ  たん君は 眼を閉じて しばらく待つことにしました……  ぱっと あたりが明るくなったの

で 眼を開けると そこは赤い色の世界でした  おもちゃの消防自動車 チューリップの花 果物のりんご 野菜の

トマト それに色々な人形たちまで すべてが真っ赤なものばかり  もっとびっくりすることがあります 驚いたこ

とに そこには もう一人のたん君がいたのですよ それも 着ているシャツ、半ズボン、それから顔や手、足の先ま

で 全部赤い色をしているのですね たん君は恐る恐る 赤いたん君に近づいて 言いました 「こんにちは……、



ん君は ぷりぷりと 何かに腹を立てて 盛んに怒っている様子です 他の部分に較べて 顔の色が 特別に赤いの

は そのせいかもしれません  「どうして そんなに怒っているの?」 たん君はまた訊いてみました 「わけなん

か無いよ。ただ怒りたいから 怒っているだけなのさ。ぼくは いつも怒って 赤い顔をしているのが 好きなんだか

ら ぷり ぷり ぷりぷり」― そう言って 赤いたん君は 近くにあった おもちゃを 手当たり次第に 遠くに抛

り投げるのです しまいには 花壇に咲いているチューリップの花をむしり取ったり りんごやトマトを 地面に叩き

つけて つぶしたりもしますよ 最初のうち たん君は 赤いたん君のパパかママがやって来て 叱られるのではない

かと 心配していましたが 誰も赤いたん君の 乱暴を止める気配が ありません それに 赤いたん君が 余りに面

白そうに 怒ったり 好き勝手なことを しているので たん君は つい 真似がしてみたく なりました やってみ

ると それが なかなか愉快で 楽しいのです で ぷりぷり ぷりぷり たん君は 腹も立たないのに 赤いたん君

の真似をして おもちゃを足で踏みつけて 壊し 花びらを 両手で むしりに むしったのでした そのうちに 本

当に腹が立ってきて 顔がかっかと ほてります 見ると 手も足も 着ている物も 赤いたん君と同じくらい赤く 

染まっていますよ  やがて、たん君は怒るのに 少し飽きてきたのですが もうその時には 手遅れでした いく

ら 怒るのを止めようと思っても 怒りの感情の方で 勝手に ぷりぷり ぷんぷん ぷりぷり ぷんぷんとやって 

たん君に乱暴なことを させ続けるのでした……  とうとう たん君は 泣き出してしまいます 両方の眼から 流

れるように涙が出ているというのに まだ ぷりぷり ぷんぷんは 止まりません  「赤いたん君なんか 大嫌い

だ!」 そう 大声で叫びましたが それでもオイオイと泣くのは 止められないのです (困ったナ どうしよ

う)  しばらくそうして泣いていると 誰かが たん君の背中を そっと押して 合図します たん君は泣くのをや

めて 後ろを 振り返りました すると そこに 今度は黄色いたん君が 立っているではありませんか― 「君も 

僕と同じように 泣くのが好きなんだね。ボク 泣き虫っ子の イエローたん君さ よろしく!」 そう言って 何か

ら何まで 黄色ずくめのイエローたん君は えんえんえん しくしくしく めそめそめそ と泣いていますよ 辺りを

見回すと そこはもう赤い世界ではなく 絵本に描いてあるような 太陽や 月 星たちのいる 黄色の世界でした 

田や畑には 一杯に実った稲穂や 麦  それから 綺麗なこがね色に色づいたイチョウの葉 銀杏(ぎんなん) ま

た 美しい花を咲かせている黄菊  それに どうしたことか 春の菜の花 山吹の花もこぼれるように 鮮やかな 

色彩を展開しているのです イエローたん君は そのどれを見ても オンオン ワァーンワァーン と泣くばかり  

たん君は もう ちっとも 悲しくなんかなくなっていたのですが 相手のイエローたん君が いかにも 気持ちよさ

そうに 声を上げて 泣くものですから たん君も それを真似て えんえん しくしく とやってみました 泣く事

が こんなに 楽しいこと だったなんて この時 初めて知りましたよ しくしく めそめそ えーんえーん オン

オンオン ワァーン!!


 しかし とうとう 泣くことも 嫌になってきました でも どうしたら 泣き止められるのか わかりません 

「ねえ 君 もう泣くのはよそうよ。僕は もう 泣くのが 嫌になってしまった」 たん君が そう言って 話し掛



けても イエローたん君は 下を向いたまま 悲しそうに 泣き続けます  たん君は こんな場合に お母さんか 


お父さんが いてくれたら どんなに助かるだろうと 考えました その時でした 自分が鳥のように 大空に向かっ

て 飛んでいる途中だったことを 想い出したのは―― たん君は 勇気を 奮い起して 立ち上がり 両手を翼のよ

うに 大きく振ってみました 成功です! たん君の身体は また さっきのように 勢いよく 上へ 上へと 昇り

始めていますよ     見上げると いつか見た 海の色にそっくりな 青空が そこにあります そして 今 通

り抜けてきたばかりの 綿のような雲の 切れ目からは 地上の 森や 草原の 新緑が 目に染みるように 望まれ

ます……  たん君は とても 幸せな 気持ちに 包まれて 心地よい 朝の 目覚めを 迎えました そして 夢

の中でも 最後まで 自分一人の力で やり遂げたことが ちょっぴり 得意でした。 おわり





 これは演歌でも何でもありませんが、リュウト君、あなたのお父さん・タカが六歳当時に私たち二人がプレゼントし

た創作童話ですが、狙いは、人生の応援歌の演歌と全く同じなのですね。もう少し演歌の話を続けましょうか。


 演歌に可能な事は、前にも述べたように「心の中の清掃」ですね。意識的に、或いは意図して自分がなりたくはない

境遇や環境に、一時的に自分を置いてみる。浸りきってみる。陶酔して、行き着く所迄のめりこんで、十二分に、或い

は、飽き飽きしてもうこれ以上はごめん蒙りたい。そんな所まで行ってみる。現実ではとても耐え切れない事柄が、フ

ィクションの世界・仮構のフィールドでは「何とも心地よい」体験となるのですよ。リュウト君にはまだ理解できない

事柄でしょうがね。









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最終更新日  2015年04月19日 12時40分29秒
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