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祖母に手を引かれて歩いた午後を少しだけおぼえている大きなクヌギの街路樹からこぼれおちる光が薄紫色の買い物かごにまばらになってながれていた春先だったのか 秋口だったのか今でははっきりしない時折風が葉をゆする音とウズラの歩く音だけが藪の中にあった市場への道細く長い道遠い日あるいは夢の終わり
May 31, 2007

夜になると いくつもの看板が光って 僕らを隠す昼の間にため込んだ汚い想いが空から見えないように隠そうとするいちばんぼし みつけたいちばんぼし みつけた金星から見ればここもキラキラ光って見えるのだろう
May 30, 2007

星は無かったいくつかの嘘と 忘れた日の記憶と しかし星は無かったのだ二十七時星のない夜にツツジの花だけが赤くもえていた
May 29, 2007

数千億という銀河の数無限にすら感じるこの空間に僕らの星はたったひとつ浮かんでいるその小さな星の25パーセント程にしかすぎない陸のさらに数パーセントという場所が僕らの暮らせる場所なのだからなるほど君の顔もみたような気がするはずだ僕らはつねに僕であり僕らなのだ自分の頬を殴るのはもうやめにしようか無限の宇宙のその端っこで
May 28, 2007

夕闇は涼しいおひさまにほてったおでこにつめたい風をあててくれる夕闇はやさしい庭のインコの色を隠してカラスの黒いのを目立たなくする夕闇はさびしい友達も犬もお家に帰してお風呂屋の煙突の影も空き地に消える暗い夕闇はいいろの絵の具夕闇はいいにおい自転車のにおいと夕飯のにおいただいまの玄関のにおい
May 27, 2007

二十歳の春本屋には未来があった知らないことや将来の夢がホコリをかぶるほど山積みにされていた三十歳の夏本屋にはリアルがあったやりたい事と出来ない事が道のない道で背中を押した四十歳の秋本屋には嫉妬があった自分はこの書物の山のどこにも無いことが寂しかった五十歳の冬本屋に未来が戻ってきたなし得なかったもうひとつの人生を素直に知る事が出来たからまた春が来る
May 26, 2007

夏は遠い日の記憶ではないただ僕らがいつのころからか「また夏が来る」と口にするようになっただけで僕らが夏に飽きてしまってからどれだけの夏を無駄にしただろう夏が新しかった頃入道雲の頃プールの頃夏はつねに新しく無双であったのにいつでも気付くことができたのに今でさえ食卓のそら豆を口にすると夏は確かに新しい香りがするのだから
May 25, 2007

真夜中に仰向けになり胸の上で指を組むと老人はそのまま天上を抜けマンションの空へと上がる住み慣れた街の上湖の魚のように老人は古い友達の寝顔をのぞいてまわるのだこんばんはこんばんは老人の見る夢に悪い予感などない
May 24, 2007

河原の石を数えていたら青いチョウチョがとまってた河原の石を数えてなけりゃ青いチョウチョに気づかなかった夏日の朝河原の石を数えるのも悪くない
May 23, 2007

この街の空にも月は昇る春の風を透かして見れば心なしか 笑って見える君の窓から見える月と同じ月光りはじめたのは真白な花を照らすためか僕らをつなぐこの道が夕闇に呑まれないように
May 22, 2007

今日もその石畳の上を人々が行き交うそれぞれの目的地に向かい急ぎ足で歩いてゆくしかし誰もがこの路が平らなことを忘れたふりでつばをはき灰をまき散らしくずを落とす石畳よ誰かが敷いた石の道よ彼らはそのひとすじひとすじに呼吸し汗を落としたというのにせめて僕はあなたを辿って石の裏側を知ろうか
May 22, 2007

僕は泳げやしないけどこの海の果てがあるのならそれはきっと陸地だろういいよ僕が見つけてあげる君が少しだけ休んでいる間に空を飛ぶものはまだ飛べることにすら気づいていないから
May 21, 2007

ありきたりの言葉をならべ今日もありきたりの世界を描く僕はありきたりの国の片隅にあるありきたりの街に住むありきたりの男だつまり僕はありきたりのプロでありそんな僕が言うのだから間違いなく君はありきたりの人間だ
May 21, 2007

その道は入江までまっすぐにのび砂浜になっていた飛行機雲が過ぎてゆくその後をゴウゴウというエンジン音だけが追いかけてゆく空はずうっと向こうまで 空だ
May 19, 2007

軒先きへ出ると 向いの家の屋根の上暗雲がたれ込めていたので出かけるのを止めてしまった縁側のある四畳半に外出着のまま寝ころぶ畳に頬をあてると夏の日の冷たさ雷鳴が遠くからゆっくりと近付いてくる庭の無花果が熟れて薫るそんな夢を見ていた
May 18, 2007

湖の真中まで泳ぐと少年は仰向けになって空を見つめた6月の星座大小の星々は惜しみなく瞬き時折見えるラインだけが少年を時の流れに繋ぎとめていた宇宙は無限の空間は地球をつつみ湖をつつみそして少年をもつつむ少年は伸ばした両の腕の指と指の間にそれを感じそうして静かにまぶたを閉じた少しだけ 出かけようかせっかちな小魚がそのやわらかな背中をつつくまで
May 17, 2007

幾つもの壺を叩き割ったが中身は空だったそれでも少年は休むことなく鉄の槌を振りかざしては叩きつけた若いから知りたいのだと老人達は顔を見合わせて笑った波打ち際5月の月光に照らされ槌だけが ただキラキラと光った壺の中身を知る者はまだ誰もいないというのに
May 16, 2007

その男のあだ名が「伯爵」なのは男が伯爵ではないからだしかし男は一日に何度も何度も鏡の前に立ち鼻の下に生やしたドジョウのような髭を親指と人差し指で整えるただ今日も伯爵と呼ばれるそのためだけに
May 15, 2007

老人は閉ざしていた翼を拡げ まだ星の無い 空を見つめていた彼の大好きなこの街の上子供の頃見ていた 星に今また 手を伸ばせば 届くような気がしたから春の終わり夏の始まりに老人は星を待っていた
May 14, 2007

冷たい鉄製の四本の足で床にしがみつき椅子は無気力な僕を支えている活字はバラバラと崩れ再構築しもはや老人の言葉を借りた睡眠薬にすぎず初夏の日の夕陰に逆らえるはずもないただ真白なノートの端に残る鉛筆のその跡をのぞいては
May 13, 2007

懐かしい街灯の下で春の風に吹かれてあきらめてきた 夢たちを一つ一つ 思い返してた不器用な生き方と名前は相変わらずパッとしないけどそれでも少しづつ前に進んで今ここに立ってる僕らが歩けば路になって夢なんか後から付いてくるって肩を並べて歩いていたあの路は今もここにあるよ幼い腕を大きく振って風を顔で受けて進む僕らはただその瞬間だけをみつめてそうさ 笑いあってたあの頃僕より小さかった君は今はどうしているだろう大切なのは僕らが今も進みつづけてるってこと失ったと思ってた夢はほんとは一つだってなくて僕が新しく生まれ変わるたびカタチを変えていただけであの日僕らが路地裏にしゃがみアスファルトに書き殴った夢は雨が降るたび 消えてったけど僕は 今も覚えてる少年の日々はいつだって懐かしさに 溺れてしまうけどその中にある 今もつづくものに僕らは 支えられている
May 11, 2007

夕暮れの車窓から見えるまばらな雲と広い空育った街とよく似てたからなんだか胸がくすぐったくなるよあの頃の僕らはいつだって高い丘に上がって小さな家たちの窓に反射する夕日に目を細めてたキラキラと瞬くオレンジがまるで僕らに笑いかけるようにウインクして きっと明日も大丈夫だって教えてくれたその手を伸ばせばそこにあった大好きな花 今は無いけど言い出せないで 閉じこめたものが僕を育てつづけてるビルの向こう沈むオレンジがあの頃と少しも変わらないから僕らが選んだ昨日たちが大丈夫なんだって教えてくれる少しの勇気と罪悪感を抱えたまま また夜が来るけど今日よりちょっとだけマシな明日になんだか 出来る気がするよ
May 9, 2007

旅立ちの朝谷底に住む男は山を越えなければならないと顔をしかめた山の上に住む男は谷とその向こうの山を越えなければならないとため息をついた二人とも平野に住んでいればよかったと苦笑した同じ朝平野に住む男が山と谷とその向こうの山を越えなければならないことを知らずに
May 8, 2007

時が見えるようになって時計ばかり気にしている季節が見えるようになってカレンダーばかり眺めている見えないものが見えるようになると僕らは途端に安心してそれを疑おうとはしないだから時々もう夜なのに明るいとか春なのに夏のようだと不思議がるそれでも明日になってつじつまが合えば忘れてしまうそうして僕らは変わりゆくものを変わらないものとして計りつづける
May 7, 2007

エレベーターに乗っている時僕は安心するここじゃ立っていることしか出来ないしそれに目的地へと向かっている列車に乗っている時僕は 眠る他にやることもないしそれにちゃんと進んでいるだからバックの中に紙と鉛筆なんか入れないでくれよそんなことされたら僕はたちまち砂漠の真ん中スコップ片手に立たされちまうやめろやめてくれせめてこの四角い檻が次に開く場所まで
May 6, 2007

進もうとするとき僕らは前か後ろか 左か右かと考えるしかし上はほったらかしだだからみんなでこの星の上ぐるぐる廻ってぶつかってボロボロになってまた戻ってくるそして明け方のカラスにアホウアホウと笑われるのさ
May 5, 2007

アゲハモドキという蛾がいるそうだ男が言う見たまえ あの蝶が飛んでいる空がソラモドキで輝いているのは星モドキ渡る風もカゼモドキでさらには君はヒトモドキだだから君の描く夢もユメモドキに違いないモドキ僕らは自分が本物だと信じているからこそ生きていけるのかもしれないそれが単に誰かの自分勝手な勘違いや順番であることに気付かないままで
May 4, 2007

お洒落な下着をつけるのは何故だろう本来隠すべきものなのにいつか不意に見られた時恥ずかしくないように?笑わないでくれ似たような理由で僕は今日もおざなりな笑みを浮かべ体裁の良い言葉を並べるのだ不意に心を見られた時のその言い訳のために
May 3, 2007

真夜中の工事現場の交通整理の男が振る赤い棒が示すままに僕は道を進む男の名もその棒の名も知らないというのに
May 2, 2007

駅前の駐輪所に列ぶ何台もの自転車たちをまだ少し冷たい雨が濡らしているなにも語らず動かずただただ主を待つその身をいくつもの水滴が流れては落ちる春雨垣根に揺れるツツジのその香りや色でさえ今は無力だ
May 1, 2007
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