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知らない海を見ていた知らない風に吹かれ知らない君と黄色に近いオレンジ色でただ波はなかったからもしかしたら海ではないのかもしれない蟹は居た真っ黒な流木の穴からときおりこちらを覗いているようだった知らない空は拡がっていた知らない君の向こうに知らない街の上にただ星もなかったからもしかしたら空ではないのかもしれない知らない国では確かなものさえ疑うことができる
July 31, 2007

雷鳴がおいていった大粒の雨はひとしきりアスファルトをたたくとすっかり上がってしまった先程まで大きな音をたてていた工事現場のクレーンも今はただ黙って濡れているつぎからつぎへと電線からしたたり落ちる雫はきらめいて空がすでに飴色に輝きはじめたことを知らせる通り雨は一瞬にして全ての音を消し西へと去ったもちろんまた数分後には騒音で溢れかえるこの街の名など知る事もなく
July 30, 2007

むしろ腹で聞く聴覚は後回しで真下から見上げる尺玉は炸裂するごとに空気をゆさぶり体液をゆさぶりそのたびに僕は怒られている子供のようにかかとのあたりに強烈な不安を感じ不意に忘れたままになっている何かを古い記憶の中に探し始めるポーズのためだけに買った普段は口にすることのない苦いだけのビールが紙コップの中でぬるく笑う僕は最後まで見たって仕方がないさと青白い顔で不敵に微笑みそそくさと帰り支度をはじめそしてきりあげてきた駅までの帰り道聞こえてくる大きな連続音と人々の歓声にあきらめ 捨てて来たはずのフィナーレの欠片を見えるはずのない民家の屋根の上にさえ横目で探すのだもう間に合わないだろう達成感とともに
July 28, 2007

改札に貼られた夏祭りのポスターを見て高ぶったままだった気持ちが少し安らぐべつに祭りが好きなわけではないし多分今年も行きそうにないただあたりまえのことがあたりまえのように訪れまたそれをあたりまえにように迎えることが出来るということに少し安心したのだどんなに僕が変わろうがどんなに環境が変わろうが夏祭りは今年もやってくるそしてこのポスターの写真のようにこの土地の人々は 年寄りも子供も今年も同じ笑顔で盆の踊りを踊るのだろう疲れた身体を励ましてでもまた一年僕らは戦ってこられたのだ商店街の道沿いに気の早い桃色の提灯が夜の風に吹かれている
July 27, 2007

風邪薬が効いてくるのをこうしてじっと待っている間にも季節は変わってゆく隣の町の空で雷が鳴っている気がしたが夢だったのか硝子越しに見える空は絵日記のように青い見上げるとあなたはいつでも自分の色でおしみなく拡がっていてそしてあなたは自分が宇宙であることさえひけらかすことはない今年も花が散り 雨がゆきまた夏がおとずれるしかし僕はまだ群れの中の一匹の羊のままだ
July 26, 2007

花売り娘が花を売らないなら僕らが花を育てればいいあのバスケットの中身は無力な諂いで満たされている欺くな僕らを花追い人を欺くな言葉を青空を心なくただ並べられただけの文字に何が残るというのか僕らは知っているそれが優しさではないことを僕らは知っているそれが悲しみではないことを知っているのだ僕らは花追い人己より産まれしものを抱き真心の歌う場所にのみ生きる
July 26, 2007

口に入れた一粒のチョコレートが喉を落ちるまでの間にどこかの国で誰かが涙を落としたことに気づかないように涙した人もまたその瞬間に誰かの喉でチョコレートが溶けてゆくのを知らないでいる地球は小さい星だというけどそれでも世界は限りなく拡がって見えてすべては地球の裏側の話世界の果てが大滝ならば僕らはもっと解り合えたのだろうか例えば同じ夜に泣き同じ朝日に祈るのならば
July 25, 2007

たとえば今日みたいに晴れた日に鞄の中身を空っぽにしていつもの道を歩いてみるのもいい出会った人に名前だけを告げ一緒に空の高さを語るのもいいその人が持っていたクッキーをわけてもらうのもいいそれをポリポリと囓りながらしばらく歩くのもいい僕らは笑うバス停の日陰でさよならと言うのもいいそしてまた独りこの坂の道を登ってゆくのもいいたとえば今日みたいに晴れた日にはすべての過去は無力である
July 24, 2007

十数えさせてくれたった十数える間でいい目を閉じてあの缶蹴りの日のようにただの十秒を数えたいのだそして誰かの蹴った缶のその鈍い音がコンクリートに響くのをただ心から悔しいと思い自分が蹴った缶のその高い音が飴色の夕空にまで届くことをただ手放しで喜びたいのだたった十数える間だけでいい思い出よ黙っていてくれないか
July 22, 2007

大人たちが枕の上窓の外の星空にあの日見た夢を忘れようとする時子供たちは同じ空に大きな虫取り網をかつぎ明日の夢を追いかける夢は追われるままに夢は消されるままに月は登るままに星は流れるままに
July 21, 2007

食べたこともない団子を好きかと聞かれたら食べてみないと解らないと言うくせに君は自分で聞いてもいない曲の悪口を雑誌の批評をもとに話し合い印刷された名画を見て画家の好き嫌いを決める君は誰郊外の自動販売機のオレンジジュースを無果汁と決めつけそのくせ定食屋のサンプルメニューを見ながらうまそうだ などと決めたりする君は知ったかぶりの僕何一つ確かではない芸達者なオウムだから何故かなんて聞かないでくれよ
July 20, 2007

例えば 初めて君が僕を見つめてくれた日のときめきを鼓動の高鳴りを僕は振り返る例えば 初めて君が僕の名前を口にしてくれた日の喜びを照れくささを僕は振り返るこんなにもよく晴れた秋の日に宇宙が透けて見えそうな蒼の高すぎる空の下で一切れのサンドイッチのマーガリンの香りとともに
July 19, 2007

正義はなかった男には必要なかったただねじ曲げた時間軸とむき出しの子供っぽさと埃っぽい経歴はあった男の背を何度も拾い直しただろうプライドだけが押しつづけていた後悔はなかった若者は気づきさえしなかったただ限りなく確信に近い疑惑と夢を乗せた天秤と部活動で培った自信だけはあった若者の上を根っこのないヒーローが右へ左へとよろめいていた女子社員はそんな二人の奥の窓の外を見ていたビルとビルの間入道雲の後ろ藍色の空間に今この瞬間にも宇宙が拡がりつつあることが嬉しかったどんな人間にも止められないものがあるということに限りのない希望を感じた銀色のロケット小さな世界を飛び出してこの二人は木星でも同じことを言い争うのかしら
July 18, 2007

社会という名の戦場にいたたまれずに僕は上着のポケットから古い硬貨を二三枚取り出し街角の販売機へと落とし込む高さ10センチほどの缶に入ったこの黒い液体に甘えじゃれつき苦笑しそして満たされるしばしの遊覧飛行とエマージェンシー・ランディング本物にはない人工的な安らぎによろめきながら僕は今日も残された半分を戦い抜くのだ
July 17, 2007

君は少し立ち止まり夕焼けの公園でにぎり飯にかじりつく学生を妬む小銭がないわけでもなく腹が減っているのでもないただそのにぎり飯の眩しいまでの白さがうらやましく今は悲しいのだそして投げ捨てた煙草の本数よりもポケットに残った本数を気にするくせに道端に咲く白い花に自分勝手な救いを求める小さな花びらのふくらみが少し濡れ 夜を呼んでいるもう子供ではないのだ草むらのどこかでコオロギが鳴きはじめた
July 15, 2007

川のせせらぎに誘われて雑草の茂る斜面を足をとられながらも途中まで降りてきた気がつくと橋の手すりの上にひとりの少年が座っているので私はそんなところにいては危ないと声をかけた少年は大丈夫 僕は自分が手すりの上にいることを知っているからと言うと少し鼻で笑って私の様を見たそういうことか今私のいる場所は河原でもなく 土手でもなく橋の上でもなく 下でもなく更には平ですらない必死でバランスをとろうと低く落とした腰は力なくそして次の一歩の置き場所にさえ戸惑っている笑うがいい崩れそうな口元に力を入れ顔を上げて少年の方を見るとすでにそこには少年の姿はなかった途方に暮れて見上げた空はうす灰色の雲に覆われひっそりと眠りつづけていた
July 14, 2007

バスケットが無かったので帽子に入れることにしたその山の頂き不意に目に留まった木にはこぼれ落ちるほどの数の赤い実がなっていた一粒つんで口に含むとその実はとてもあまかったあまい あまい 真っ赤な実男は夢中でその実をつんでは帽子に入れたつんでもつんでも赤い実は後から後からわいてくるもっともっとだしかし帽子を脱いだ男はジリジリと照りつける山の上のその強い陽射しにいつしか身も心も焼かれていたただ少し山の景色を楽しみたかっただけの男がその頂から転げ落ちたとき落ちながら男は赤い実はおろか自分ははじめから帽子など持っていなかったことを思い出した
July 12, 2007

肉眼ではさほど違いのない似たような星々をつなぎ物語を見出すように僕らは散らばった言葉をつなぎあわせそこにひとつの世界を見出すことができるたとえば見たこともない景色や知らない街の人々をときには朝もやの校庭に夕焼けの路地にあたかも目の前にひろがる世界のように鮮明に描くそれは言葉の鍵によって開かれた記憶の景色僕らが過去に知った喜びや悲しみが誰かの置き去りにした言葉達の余白や行間を満たした姿ほんの数秒の間だが僕らは記憶を共有するそうして同じ視線で笑ったり泣いたりするのだ言葉に余白がある限り僕らはまだつながることができる
July 12, 2007

ひとつしかないものは失ったらそれで終わりだということを僕らは知っているなのにけして失わないとどこかで安心して甘いほうが良いだろうとみんなで入れすぎた砂糖そして砂糖を入れすぎたコーヒーから砂糖だけを取り除くことは出来ない飲むか捨てるか町角のカフェから今日も同じように暮れる空を見ながらこの星がまだ昔と変わらないような気になる壊す力と救う力はつねにイコールではないのに
July 11, 2007

26時の空を音をたててつよい風が渡ってゆく乾ききっていないベランダの洗濯物がハンガーにしがみつき ギイギイと鳴っているまだ遠い海にある嵐の風仰向けで目を閉じた僕を真っ暗な空へと吹き飛ばす何もない空間遠すぎる星々僕は自由と少しの不安とを背中のあたりに感じながら深く眠る朝はまだずっと先だ
July 11, 2007

ススメ ススメ 今日もススメ道なき道を ズンズンススメススメ ススメ 今日もススメ道ある時は 道をススメ感謝の心を忘れぬならば頼れるものは ドンドン頼れススメ ススメ 今日もススメ見つけた道を ズンズンススメ
July 10, 2007

言葉を知れば知るほど空は何も語らなくなるその青さを無理に置き換えようとすれば幾千もの言葉のピースがかみ合わずに重なり つもっていつのまにか空を分厚いガラスの向こうに隔ててしまうそうして空は博物館の陳列物のように眺められ計られ数えられ記録されそのうちに人々は空の横に貼られた小さな解説だけを読んではあたかも空のすべてが解ったかのような真面目顔で大きくうなづくのだ空は今も遠い日と同じ場所に拡がっているというのに空の名だけを知っていた頃僕はその青さをその高さを広さを全身でただ感じていた遊び疲れて寝ころんだ芝の上仰げばそこにあったものは他のどんなものでもなく空だったはずだ
July 9, 2007

こんなに薄かったのかそう思ったゆっくりと沈みゆく身体のまわりに割れた氷の欠片が舞いオブラートのように溶けては消えた不思議なことに凍てつくはずの氷の下にいるにもかかわらず指先に感じる流れは暖かく身体は懐かしい優しさで包まれていた僕は腕をゆっくりと動かし泳ぎはじめる滑らぬように落ちぬように薄くはった氷の上を笑顔をつくり歩いていたのでは気付かなかっただろうこの太陽の光に萌える 苔の黄緑色の眩しさに群れをなし進む 魚たちの速さに氷の下が冷たいと思い込んでいたのは自分だけだったのかもしれない知らぬ間に 春は来ていたのだ
July 8, 2007

夏の庭 屋根の上21時の空にその川はひっそりと浮ぶ天の川それは地球を含む太陽系が属する銀河を内側から見た姿つまり僕らは 天の川の中に住んでいる晴れますように星が見えますように笹の葉に吊るされた赤や黄色の短冊がさらさらと風になびく日僕らは7月の夜空に自分勝手な願いをかける二つの星を隔てているこの美しい川の中から古の物語の中の住人であることを忘れたふりをして
July 7, 2007

遠くまで潮の引いた浜でまだ少しつめたい春の風に吹かれてプラスチックの小さなシャベルを握り少年の僕は夢中で砂を掘っていた貝が欲しかったのではない貝のみそ汁は嫌いだったからなのに僕は汗を流し何度もしゃがみ直しただ掘りつづけた夕闇が空を染めるまで潮の満ちるまであの日青いバケツをいっぱいにしたのは何だったのだろう今僕の手の中に握られているのはあのシャベルよりも小さなペンだけど僕はやはり毎日必至で掘り続けている未だ収穫のない青いバケツにいくつかの言い訳を用意して
July 6, 2007

僕は生きのびているバス停の錆びた時刻表にペンキの剥げたベンチに捨てられた自転車に電柱の足掛けに僕は生きのびているあの春の生徒手帳に放課後の体育倉庫に僕は生きのびているのだいつの間にか僕らが膝小僧に尋ねることがなくなった問いを探すふりをして今夜の月の色ばかり観ているそれでも僕は生きのびている使われなくなった牛乳受けに縁の下の蟻地獄に答えのあるふりをして
July 5, 2007

ほおづえの窓辺 6歳の夕立ち大粒の水の塊が 自転車小屋の波板を叩いていた路地を走る人の足音も犬の声も雨の音にかき消されて今はしないやがてつるしっぱなしの風鈴が忙しく鳴り響くとまっすぐに差し込む日の光が 庭の草木を黄緑色に塗りはじめ小粒になった雨が とつぜん金色の霧に変わる絵日記の夏雨上がりの青い空に急ぎ足の黒い雲が流れてゆくそうして網戸に残った水滴がキラキラと輝く青空が青空でしかなかった頃この夏あの頃の自分にもう一度会える気がする
July 4, 2007

地軸のちょっとした傾きで暑かったり寒かったりする地球のように僕らの心もちょっとだけ傾いているから寂しかったり嬉しかったりするもしかしたら心にも四季があるのだろうかそしてそれぞれの季節にしか気付くことのできないものがあるのかもしれないたとえば冬の凍えそうな夜にさえ美しく差し込む雪明かりのように
July 3, 2007

真っ黒な枕木の上を夕日に照らされて光る2本のレールが時折水飴のように揺らめいてはまたまっすぐに流れつづけている夕方の車窓から見る街は呆れるくらいオレンジで子供っぽくて今でもどこかの路地裏では少年達が缶蹴りや高鬼をしているのだろうか跨線橋の上いわし雲の空何十年経っても夕日は同じ顔で沈んでゆくから僕らはあの頃の夢を忘れられないでいる
July 2, 2007
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