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2020.11.04

第11話「運命の転機」

人間界で仙術を使い東華帝君(ﾄｳｶﾃｲｸﾝ)を助けてしまった白鳳九(ﾊｸﾎｳｷｭｳ)。
青丘に戻って内傷を癒していたが、そこへ司命星君(ｼﾒｲｾｲｸﾝ)がやって来た。
「小殿下、こっそり人間界へ行きましたね？」
「あ…講談本を買いたくて行ってみただけ…」
「顔色が悪いですよ？」
司命星君は鳳九の脈診をすると、やはり人間界で使った仙術の反噬(ﾊﾝｾﾞｲ)を受けていると分かった。
言い逃れできなくなった鳳九は東華帝君を見に行ったと白状したが、実は助けるどころか東華帝君の邪魔をしたと知る。

　劫を邪魔されると修為が回復しない、回復しないと緲落(ﾋﾞｮｳﾗｸ)を封印できない、
　その時、八荒の衆生がどんな目に遭うか、あなたにもよく分かるはずです！」
東華帝君は単に八苦を悟るためだけに人間界へ落ちたわけではなかった。
そうとは知らず東華帝君の劫を乱してしまった鳳九、実は今回、東華帝君は情劫を受けるはずだった。
「帝君は瀕死の傷を負い、宮女・周夢渓(ｼｭｳﾑｹｲ)の手当で回復、そして恋に落ちる運びでした
　でもあなたが助けたせいで周夢渓に出会えなくなった」
責任を感じた鳳九は元に戻せる方法はないのか聞いた。
そこで司命は邪魔した張本人である鳳九に２人を出会いに導き、情劫を修正するよう頼む。
「分かった、周夢渓を探して来る！」
「人間界で仙術を使えば苦しむばかりか、死ぬこともあります、いいですね？」
司命はくれぐれも仙術を使わないよう釘を刺して見送った。

ひとまず酒楼で腹ごしらえ、王宮へ入る方法を考える。
「ｩｯ…何これ不味い…」
その時、花嫁行列が来たと知らせる声が聞こえ、客も給仕も慌てて外へ出て行った。
聞いてみると崇安(ｽｳｱﾝ)国から公主が輿入れするという。
鳳九は東華帝君の人間界の奥方だと気づき、早速、見に行くことにした。

白鳳九は将軍と友になれば王宮に入って周夢渓を探せると思いつく。
そこで機会を伺いながら行列について行ったが、その時、正面から荷車を押す刺客が現れた。
驚いた民たちが散り散りに逃げる中、鳳九は楼閣から弓矢で将軍を狙う刺客に気づく。
「将軍！危ない！」
鳳九の警告で葉青緹(ﾖｳｾｲﾃｲ)は矢を避けて刺客に剣を放ち仕留めた。

葉青緹は命の恩人を見つけた。
すると驚いたことに皇帝が血眼になって探している小九ではないか。
しかし今度は正面から刺客が襲いかかり、店に潜伏していた刺客が一斉に窓を突き破って飛び出して来た。

輿の中では侍女・凌香(ﾘｮｳｺｳ)が公主・楚宛(ｿｴﾝ)を守っていた。
どうやら狙いは公主なのか輿に矢が次々、突き刺さる。
焦った凌香は外に出ようとしたが、楚宛は軽々しく動くのは危険だと止め、使い手であることは隠しておけと命じた。
やがて刺客たちは形勢が不利になると逃亡、捕らわれた刺客は自害する。
葉青緹は輿の中の公主に失態を詫び、逃げた刺客を追跡していると報告した。
そこへ兵士が隠れていた怪しい男を連行して来る。
それは葉青緹を助けてくれた小九だった。

葉青緹は配下に男を解放するよう命じた。
「将軍のくせに恩を仇で返すのかと思った…boo～」
「小九、お前は大王の命も救った、手荒な真似をするわけがないだろう？」
「なぜ私が小九だと？」
すると葉青緹は国王が描いた肖像画を渡し、国王が命の恩人である小九を探していたと教えた。

応王・宋玄応(ｿｳｹﾞﾝｵｳ)は公主殺害が失敗に終わったと知った。
しかし刺客は自害したので足はつかないという。
宋玄応は逃げ切った配下を労って酒を振る舞ったが、それは毒酒だった。

承明(ｼｮｳﾒｲ)宮に崇安国の公主・楚宛が無事に到着した。
宋玄仁(ｿｳｹﾞﾝｼﾞﾝ)は名前の宛を取って称号を宛婕妤(ｼｮｳﾖ)と決め、宛雲(ｴﾝｳﾝ)宮を授ける。
楚宛はそこでひとまず下がると、葉青緹が報告があると上奏した。
「今日、ある者に遭遇したのですが、偶然にも例の者でした」
「もしや小九か？！」
宋玄仁は喜んですぐ呼べと命じた。
殿前で控えていた小九は石段を登って行ったが、その時、ちょうど外へ出て来た公主とすれ違う。
…姫蘅(ｷｺｳ)？死んだはずの姫蘅と瓜二つだった
…もしや人間界へ修練に来たの？まさか帝君を助けるため？
鳳九はしばし呆然としていたが、大内官に急かされて慌てて御前に向かった。

白鳳九は白小九と名乗り、あの日、戦場を通りかかって国王の危機を目にして参戦したと説明した。
その後は山の中にある家にずっといたという。
宋玄仁は小九が自分だけでなく今日は葉青緹も助けたと賞賛し、褒美をやりたいと言った。
しかし小九は承虞(ｼｮｳｸﾞ)国の民なら国王を救うのは当然のことだと辞退する。
すると宋玄仁と葉青緹は思わず顔を見合わせ、その人柄に笑顔を見せた。
「だが礼をしないと余は気が済まぬのだ、官位でも財宝でも構わん、豪邸や美女でも良いぞ」
「では小九、１つだけお願いが…王宮に残りたいです
　親と縁の薄い私ですが、なぜか大王を見たとたん親しみが…
　できれば侍衛となって常におそばでお守りしたいのです」
宋玄仁はそれでは褒美とは言えないと失笑したが、望むなら侍衛にすると許してくれる。
一方、黙って話を聞いていた応王は、小九という侍衛が自分の計画を２つとも阻止したと知ることになった。

↓帝君のマリオネット感がw

寝宮に落ち着いた楚宛と凌香は刺客が誰の仕業か考えていた。
刺客の狙いは明らかに公主だったが、自分に何かあれば困るのは小国の承虞の方だろう。
すると崇安国の朝廷に聶初寅(ｼﾞｮｳｼｮｲﾝ)の出世を妬む者がいるのかもしれない。
楚宛は聶初寅に身辺に注意するよう文を出すと決め、凌香には宮女たちと仲良くなって宮中の様子を探るよう命じた。

宋玄仁も刺客の捜索に行き詰まっていた。
黒幕は誰か分からないが、失敗したからにはまた襲ってくるだろう。
そこで葉青緹に禁衛軍を率いて王宮内を警戒するよう命じた。
「特に宛雲宮だ」

葉青緹は酒を持って小九の居所を訪ねた。
「大王が偏殿(ﾍﾝﾃﾞﾝ)を下さるとは異例の待遇だな～気に入ったか？」
「とっても♪居心地が良く、大王の寝殿に近い」
すると葉青緹は国王から小九に官職を与えるよう命じられたと話し、統領はどうか聞いてみる。
しかし統領と言っても毎日、王宮の中を巡回するだけ、小九は自分にぴったりだと笑った。
話がまとまったところで、葉青緹は恩人へのお礼として60年物の古酒を振る舞う。
小九はふくよかな甘みの良い酒だと絶賛、すると武術を除けば酒が唯一の道楽だという葉青緹は同好の士が見つかったと喜んだ。
「将軍、その顔の傷は名医でも治せないのかい？」
「太医の見立てでも消えないそうだ」
「いい処方を知っているが、生薬が揃うかな？」
「いいんだ、男なら傷跡くらい気にしない」

凌香は公主の希望通り宛雲殿から正殿の見取り図を描いた。
すると楚宛は出来るだけ早く王宮内を把握し、完璧な見取り図を完成させようという。
そこから可能性を推し量り、″霊璧石(ﾚｲﾍｷｾｷ)″の在りかを突き止めるのだ。
「誰にも気づかれないようにね」
「分かりました」

葉青緹は小九が気に入り、義兄弟になろうと言った。
「唐突だと思うなら答えは今度でいい」
小九は笑ってごまかすと、王宮に周夢渓という宮女か妃がいるか聞いてみる。
実は遠い親戚で、王宮に入ったあと消息が途絶えたと説明した。
葉青緹は周夢渓を知らなかったが、名簿を見られるので探してくれるという。

夜も更けた頃、大内官は国王に今夜は宛雲宮へ行くか尋ねた。
宋玄仁は楚宛もまだ落ち着かないだろうと気遣い、ゆっくり休むよう伝言を頼む。
そこで穆寧(ﾎﾞｸﾈｲ)殿の近くに居所を構えた小九の様子を見に行ってみることにした。

その頃、小九は酔いを覚まそうと庭園にいた。
すると千鳥足で歩く小九の前にふいに蛇が現れる。
( ๑≧ꇴ≦)＜キィャアーッ！
小九は怖くて目をつむったまま逃げ出したが、ちょうど前から歩いて来た宋玄仁と出会い頭に衝突、二人は池に落ちてしまう。
水面に出た小九は髪がほどけ、白粉が流れて額のあざがあらわになった。
その姿をちょうど水面に上がった宋玄仁に見られ、小九は慌てて水に潜ってしまう。
そこへ夜番の衛兵たちが駆けつけ、国王を引き上げた。
宋玄仁は女子が溺れているので助けろと命じたが、泳ぎが得意な小九はすでに池の反対側から逃げ出すことに成功する。
一方、報告を聞いた葉青緹も急いで池に駆けつけていた。
配下の話では女子が国王にぶつかって一緒に池に落ち、女子を探せと命じられたという。
しかし凶手は見つからず、葉青緹は宮女の中に怪しい者がいないか調べるよう命じた。

葉青緹は夜通し疑わしい者を探したが見つからなかった。
池で見た美しい女子にすっかり心を奪われた宋玄仁は落胆したが、そこへ小九がやって来る。
すると宋玄仁は小九に葉青緹の配下になるよう命じた。
葉青緹は難しい務めだと教え、″怪しい女子″を探すと教える。
「ｱｲﾔ～決めつけるな、まったく、この男は不粋過ぎる…いいか、探すのは″仙女″だ
　余は一目見た時から忘れられなくなった」
小九はもしや東華帝君が周夢渓と出会ったのかと期待したが、聞いてみると昨夜、国王を突き落とした女子だという。

小九は東華帝君の見初めた仙女が自分だと気づき、困惑した。
そんな小九の様子を見た葉青緹は、小九も怪しい女に執心している国王を憂いていると誤解する。
小九はともかく葉青緹に同行したいと頼み、ついでに周夢渓を探したいと言った。
葉青緹は快諾したが、その前に義兄弟になってもらうと笑う。
(＾ꇴ＾)＜はお

葉青緹は白小九を禁衛軍の配下に紹介した。
よそ者のか細い小九が統領だと聞いた配下たちは納得できず、腕前を知りたいという。
↓確かに甲冑が歩いている感