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第16話「愛の証しは使いよう」

花琉璃(カリィウリ)を裏山へ呼び出し、ようやく会うことができた姫元溯(キゲンソ)。
聞けば琉璃は次々と到着する各国の使臣を出迎え、龍井(リュウセイ)坊の客舎に案内してもてなしていたという。
すると自分からの差し入れとも知らず、琉璃は二兄からもらった菓子だと言って御裾分けした。
元溯は琉璃への贈り物を全て家族に渡す羽目になったが、無事に琉璃へ届いたと知り安堵する。
「もし余が贈った装身具を衛(エイ)将軍が好まなければそなたが使うといい
 実はあの蝶々のおかげで夢の中で亡き母と会えたのだ」
琉璃は皇太子が弔っていた特別な人が想い人ではなく亡き皇后だと分かり、急に胸のつかえが下りた。


「杜小姐はか弱き淑女かと思いきや、君子の風格を備える方だったのですね…敬服します」
「お気になさらず、誰でも見誤ることはあります」
杜琇瑩も雲寒が危ない橋を渡っていると分かったが、知音を求める琴の音には義の心を感じたという。
すると雲寒は杜琇瑩に呼び笛を託し、花県主に預けて皇太子に届けて欲しいと頼んだ。




裴済懐(ハイセイカイ)は大理寺の牢に現れた金珀(キンハク)国の二皇子・賀遠亭(ガエンテイ)を尾行、隠れ家を見つけた。
すると賀遠亭が歓待している相手が青楽(セイガク)だと分かる。
青楽は雲寒が協力を拒んで目下、逃亡中だと知り、主に報告して必ず始末すると約束した。
その時、賀遠亭は窓紗に映る怪しい人影に気づく。
侍衛は窓を突き破って飛び出し、舞姫・絳紗(コウサ)も加勢したが、結局、曲者に逃げられてしまう。

姫元溯は負傷して安康苑(アンコウエン)に戻って来た裴済懐を手当した。
なんでも青楽という侍従が雲寒を売り、その背後に皇太子が探している黒幕がいるという。

「殿下、今こそ決断しては?」
「青楽を殺せ、荷物も全て運び出すのだ、跡形もなく消せば雲寒の身の安全を確保できる」
元溯は雲寒が賀遠亭と手を組まないのであればまだ自分の友だと寛大だった。
実は都に潜ませた間者を始末したのも雲寒の指示だったと気づいていたという。
しかし雲寒は主の目をごまかしつつ、疑わしい手がかりを残して自分に調べさせたと分かった。


翌朝、杜琇瑩は花家に琉璃を訪ね、呼び笛を託した。
「実は太子殿下にこれを渡して欲しいの…あ、誤解しないで、愛の証しではないわ」
( ゚д゚)はあ?@うさぎ風
琉璃は″愛の証し″が何かわからず困惑した。
杜琇瑩の話では男女が恋に落ちると贈り物を交わすのだという。
「とにかく私は太子殿下に想いを寄せているわけではないの、渡してくれれば分かるから」

琉璃は安康苑に皇太子を訪ねた。
愛を込めた物なら例え菓子でも愛の証しになると知った琉璃、すると急に皇太子を意識して恥ずかしくなってしまう。
やがて琉璃の来訪を聞いた皇太子が書斎から出て来たが、琉璃は杜琇瑩から預かった呼び笛を渡すと逃げるように帰って行った。
…杜小姐がなぜこの笛を?…

琉璃は自分の気持ちに気づき、鳶尾(エンビ)に皇太子が好きだと告白した。
しかし鳶尾は歯牙にも掛けない。
「殿下がお好きだと?…じゃあ私は?」
「好きよ」
「二公子は?」
「好きよ?」
「ほら、好きな人は大勢います、ひとり増えただけで大袈裟な~」

雲寒は杜琇瑩に感謝し、回復次第、速やかに出て行くと伝えた。
実は杜(ト)太師が老体の上、風邪を引いてしまい、使用人たちも看病に掛りきりで運が良かったという。
「実は太子殿下と私は…」
「言わないで、あなたの秘密なら秘めたままに…」
杜琇瑩は雲寒との別れが近いことを寂しく思いながら、薬草の整理に戻った。

英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)は気がつくと郡主・田嘉敏(デンカビン)のことを考えるようになっていた。
すると龍井(リュウセイ)坊で花県主と出くわす。
琉璃は愛の証しを有効に使おうと思いつき、特別に作った英王人形を渡して郡主に贈るよう助言した。
しかし相変わらず鈍い英王は全て説明しないと理解できない。
「だーかーらー、嘉敏姐姐(ジェジェ)がこの人形を好きなんです
 殿下ご自身が買ったことにしてください」
「なぜだ?」
(`ω´(`ω´ )<もう!黙ってやれ!

その夜、雲寒は呼び笛で目を覚ました。
書卓で眠り込んだ杜琇瑩を起こさないよう屋敷を出た雲寒、すると門前で皇太子が待っている。
「殿下…自らお越しにならずとも…」
「言ったであろう、お前がどこにいても必ず探し出すとな、余は約束を違えぬ」
一方、杜琇瑩はふと目を覚まし、雲寒がすでに出て行ったと知った。
「黙って去るなんて…」
しかし書卓に置き手紙と″寒″と彫られた玉佩を見つける。
…嫁荷の足しにされたし…

姫元溯は侍医に雲寒を診せた。
すると侍医は手当してくれた人のおかげで後遺症もなく、静養すれば回復するという。
雲寒は皇太子と2人だけになってから、恩人が杜琇瑩だと明かした。
実はあの日、偽の知らせを受けて賀遠亭に会ったという。
しかし元溯は玉京に潜入した賀遠亭を見張っていたため、すでに全て承知していた。
「よくやった、休んでくれ」



姫元灝は尚書府を訪ねたが、田嘉敏は会ってくれなかった。
しかしあきらめずに屋敷の前で待っていると、ようやく出先から戻って来た嘉敏を捕まえる。
「先日、ある物を見つけたのでそなたに贈ろうかと…」
嘉敏は英王の人形をもらって大喜びだった。
すると姫元灝は自分でもよく分からないが、郡主に会えないと悲しい気持ちになるという。
「つまり…どういう意味ですか?」
「つまり…その…思うに…そういう意味だ」

琉璃は両親の目を盗み、また裏山で皇太子と会っていた。
しかし今日の姫元溯はどこか元気がない。
「心配事でも?」
「10年もの間、信頼していたが、敵の回し者とは思わなかった
 だが敵だと分かっても、どこか心が揺らいでいるようにも見える」
すると琉璃は相手が揺らいでいるなら完全な味方にしてはどうかと助言した。

そんなある日、金州刺史の任務を終えた謝臨州(シャリンシュウ)が玉京に戻って来た。
謝駙馬は楽陽(ラクヨウ)長公主の夫で杜太師の愛弟子、朝臣たちは駙馬がこのまま都に残るのかどうか噂する。
一方、賀遠亭は青楽が死んだと聞いた。
どうやら皇太子が早くも嗅ぎつけたらしい。
「居を移さねば…」

万国朝拝会を前に楽陽長公主が次女・謝瑶(シャヨウ)を連れて帰京することなった。
街では長公主が惜しまれて亡くなった長女・謝嬋(シャセン)の代わりに妹を皇太子に嫁がせるつもりだと噂が広まったが、これを耳にした琉璃は面白くない。



つづく



( ๑≧ꇴ≦)リーフェイ!





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最終更新日  2024.03.26 21:17:18
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