2012年12月06日
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- 映画コラム -
愛と ◯◯ ・・・
輝かしい 『バッタモン』 の世界





今回は何一つバッタもんはありませんが

『愛と××の』 というタイトルは 1作品がヒットした後、さも関係があるかの様に
全く関連のない 大ヒットを目論んだ別作品に付け続けられる

二匹目のドジョウを狙う日本の配給会社の
ソロバン勘定 というものが感じられる 独特のネーミングだと言えるでしょう


さて、私が知る限りタイトルに『愛と』が付けられた最初の作品は
ハーバート・ロス監督の 『愛と喝采の日々』 からだと思われます

見ての通り原題は 『TURNING POINT』 直訳すると 転機 で
愛も喝采も日々も 微塵も出て来ません

しかし 10部門ものオスカーにノミネートされたこの大作に この地味な原題では
いささか不釣り合いに思った配給会社が付けた 『超訳』 だったのでしょう


タイトルだけなら1971年の山本薩夫監督の日本映画
『戦争と人間 第二部・愛と悲しみの山河』 というのもあるので
何がオリジナルかと言われると 一概には言えません・・・


今回は『愛と〇〇の』 に纏わる、 関連の無いタイトルのバッタモン(偽物)を
ご紹介したいと思います

あなたは幾つご存知でしょうか?

△▼△▼△


愛と青春の旅立ち
(原題:An Officer and a Gentleman)
1982年12月 アメリカ
監督:テイラー・ハックフォード
出演:リチャード・ギア、ルイス・ゴセット・ジュニア、デブラ・ウィンガー

直訳すると 『軍人と紳士』

『王様と私』 じゃないんですから、これでは客は入らないでしょう

洋楽ファンには ジョー・コッカーとジェニファー・ウォーンズが歌った
アカデミー歌曲賞を受賞したテーマ曲が頭を過ぎりますが

最近外人寅さんのCMで話題の
日本でのリチャード・ギア人気を決定付けた作品でもあります

吹き替えを 当サイトがプッシュする俳優の 津嘉山正種氏が当てておりますが
残念ながら現時点では何処にも収録されていないらしいです

士官訓練学校での厳しい訓練を通して
友情や愛、様々な困難を乗り越え成長して行く主人公の姿を描いております

主人公達は士官候補生なので 卒業したら教官達の上官になる所が
憎い味付けの 爽やかな鑑賞後感を得られる映画です

△▼△▼△



愛と追憶の日々
(原題:Terms of Endearment)
1983年11月 アメリカ
監督:脚色:ジェームズ・L・ブルックス
出演:デブラ・ウィンガー、シャーリー・マクレーン、ジャック・ニコルソン

直訳すると 『親愛の条件』 ですが

excite翻訳かけたら 『愛と追憶の日々』 と出てきました
便利ですが、過保護すぎます。

シャリー・マクレーン繋がりでタイトルの『愛と~』が付いたとも思える

アカデミー作品賞、監督賞、脚色賞
主演女優賞シャーリー・マクレーン、助演男優賞ジャック・ニコルソンを受賞した
堂々の感動大作です

歯に衣着せぬシニカルな母親に 浮氣だってする平凡な主婦の娘との
すれ違いながらも深い所で繋がっている 絆 を描いた群像劇です

キャリアに固執した女性達の 専業主婦達を軽視する当時の風潮に一石を投じる
女性の真に自由な生き方を描いた女性映画でもあります

脇を固める俳優も曲者揃いで

女癖の悪い元宇宙飛行士役に 性格俳優のジャック・ニコルソン
巨漢の頼もしい浮気相手に これ又性格俳優のジョン・リスゴー

一癖も二癖もある豪華共演陣と繰り出す演技合戦が見事な
『これが映画だ』 と言える一本です。オススメです☆

△▼△▼△



愛と哀しみの果て
(原題:Out of Africa)
1985年12月 アメリカ
監督:シドニー・ポラック 音楽:ジョン・バリー
出演:メリル・ストリープ、ロバート・レッドフォード、クラウス・マリア・ブランダウアー

直訳すると 『アフリカから・・・』 の
アカデミー作品賞を取った 大作ドラマながら
全体を考えるとラストが呆気無い 典型的なメロドラマの本作です

一度でも行った事のある人物なら 何処にこんな綺麗な所があるのだと
突っ込みたくなる程の 美しいアフリカの映像が見所の 大作映画で

話によると原作とは全く違った内容になっているらしく
『トッツィー』 でダスティン・ホフマンを女装させたシドニー・ポラックが
ガチでメロドラマを撮ったらこうなったという作品に仕上がった様に思います

メリル・ストリープの髪を屋根の上で洗うレッドフォードのシーンにうっとりした方も
少なくないでしょう

フジテレビのドラマ 『ニューヨーク恋物語』 の最終回で
田村正和が岸本加世子の髪をテラスで洗うシーンは当時話題になりましたが

言うまでもなく 本作のパクリです(爆)

△▼△▼△



愛と憎しみの伝説
Mommie Dearest
日本未公開 アメリカ 1981年9月
監督:フランク・ペリー
出演:フェイ・ダナウェイ、ダイアナ・スカーウィッド

画像はありませんw

さてこのポジションの作品は、ご想像の通り 『ババ』 です(笑)

本作は実在したハリウッドの大女優 ジョーン・クロフォード の半生を描いたもので
多くの場面は養子に対する 『虐待』 に費やした 衝撃のセレブ暴露本を元にした作品です

憎しみ合いながらも 成長した娘の 義母との和解のシーンがハイライトで

当時父娘の確執で有名だったヘンリー・フォンダ家の和解を映画化したとも言われる
『黄昏』 の公開もあり

アメリカ人にとってはタイムリーな話題に沿った映画化でしたが
フタを開けると ラズベリー賞(最低映画賞) 独占のトンデモ映画でした

フェイ・ダナウェイ演じるクロフォードが狂気に満ちており
針金のハンガーに服をかけていた養女に激怒したり
激怒の余り養女の髪の毛をザクザク切り落としたり

熱演の余りの 鬼気迫るオーバーアクトばかりが話題になった
ポンコツ映画の謗りを受ける作品となってしまいました


しかしネットでも話題のラズベリー作品ですが
ポンコツの一文字で 映画の全てを切り捨てるのは早計で

クロフォードが死後財産を一切分与せず寄付するラストシーンなど
この時点で親子は和解していたはずなのに意味不明と

通常和解したなら 財産を分け与えるものだと考える所ですが

クロフォードの実像が誇り高き複雑な人物であった事や
義娘に虐待を加える様な 心に問題を抱えていた事などで

晩年は落ちぶれて酒浸りになる日々を送り
病魔に侵され 気持ちが完全に折れていた所に

女優として認められ賞をもらった養娘の
『愛しているお母さん』 というTVからの言葉を聞き

再び凛として最後の日々を迎える事が出来た
娘への感謝の気持ちが見て取れる 印象に残る深い場面でした

娘にも見捨てられ気持ちが完全に折れていたままなら
むしろ財産の全てを 詫びの印に娘に差し出したと思われ

映画の出来が悪く ラストが一見意味不明に見えても
深い親子の情愛が隠されている点は 見逃したくないものです


私は良くダメ映画を辛口でブッタ切ったり 笑いに変えて
レビューしておりますが

本当に笑いを得るダケが目的で
製作者達が良かれと思って作った作品を 笑いのネタにするのは

映画に対する 『虐待』で 単なる 『イジメ』 行為と同じです

私はその映画がどんなに駄作でも
本当はどう仕上げたかったのかという演出プランをしっかりと理解してから
たとえどんなにコケ下ろしたとしても

不詳の息子を諭す様に 口うるさくしているダケに過ぎません


ネットの 『辛口レビュー』 と称した中には 的外れならまだしも
無知ゆえの 映画製作者へ対するイジメ行為が文章になった様なものもあり

レビュアーとしては 心を痛めるばかりです
社会人として 責任ある行為を心がけたいものです

△▼△▼△


というわけで、いかがでしたでしょうか?

これら映画配給会社の知恵を絞ったネーミングのセンスの数々が
お分かり頂けましたでしょうか

それでは 次回をお楽しみに

****************************************

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愛と青春の旅だち 「 リチャード・ギア人気を決定付けた作品
愛と追憶の日々「 女性の真に自由な生き方を描いた女性映画
愛と哀しみの果て 「 ラストが呆気無い 典型的なメロドラマ

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最終更新日  2013年10月25日 04時52分40秒
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