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2023/11/06/月曜日/朝のうち雨

〈DATA〉 NHK美の壺制作班
2009年5月30日 第1刷発行
〈私的読書メーター〉
〈 偶に見るこの番組、これは見逃していた。書物で読めるのは幸い。本書でも指摘があるけれど、柳宗悦が果たした「用の美」の着眼は、それまでの美への考えを反転させ、新たな気づきを日本人の感受性に与えた点で千利休に匹敵すると思う。豪華絢爛ではない侘び寂びに、ときの権力に抵抗する千利休。日韓併合の、国も民もこぞって雪崩れた時代に朝鮮の素朴な、無心の工人の手業に驚嘆し、当地に関心を寄せ芸術の尊敬の念を醸した柳。そんな背景が短い文章にしっかり記述されている。ブレイクから入り木喰上人、他力へ至る柳の柔らかい微笑が好い。〉
益子の一日訪問の移動には新幹線に3回乗る。
その間、どうせ風景は楽しめないから、軽く薄い本を探していたら、丁度こんな本に遭遇
はあ、東北大震災前に放送、上梓されていたんだ。
番組の構成に沿った編集
壱のツボ てらいが無いから美しい
弍のツボ 自然の意志を感じよ
参のツボ 使い込むほど美しい
浅川兄弟
が挨拶がわりに持参した 李朝の小壷
冊子白樺に、後期印象派の作品論文などを20歳そこそこで載せていた柳宗悦。
私の記憶では、彫刻をする浅川兄が、柳宗悦がロダン作品を有しており、それを見せて貰うために訪ねたのだった。
ところが、李朝の工芸品を愛する浅川兄弟の手土産に柳は打たれる。
その刹那、民藝運動が始まった。
それまで生活雑器であったものが一変する。
見るものをして「これは美しい」と承認させる
パラダイムシフトがおきたのだ。
柳が美しいというまで、それはただの古臭いやぼったい下手物に過ぎなかった。
それまでの詫びや寂びの中に美を研ぎ澄ました日本的感性に、更に民衆の中にその創造者を発見した、という点で柳は偉大な思想家とも思う。
達人のことば、という本書の結びに 日本民藝館学芸部長、杉山喬司氏
の一文がある。
そこに引用された 『柳宗悦 時代と思想』
(中見真理著 東京大学出版会) に心惹かれた。
「柳宗悦の生涯を貫く問題意識の核心に、『複合の美』の思想があることを指摘している。
そしてこの思想は 強者の力によって世界が一色になることに抗い、大小の草花が共生する自然界のような『複合の美』の世界を、非軍事的方法によって作り上げていくこと
」を希求するもので、これは近代日本人が持ち得た内発的で良質な平和論の一つであると高く評価している。
と記される。
巨大なプラットフォーマー、或いは超監視国家によって知らず自分の思考も感受性も一色に染められかねない現代である。
私もまた『複合の美』の端で、糸を染めたり編んだりしながら、よく知る顔の他者に身に付けてもらえるような努力を重ねたい。
いや、全然見知らない人のためにもいつかおくりものとして届けたい。
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