もう一つ、本盤の特徴を挙げるとするならば、この『トーキング・ブック』からは2曲の大ヒットシングルが生まれた。1.「サンシャイン(You Are The Sunshine Of My Life)」と6.「迷信(Superstition)」で、いずれも全米で第1位を記録している。80年代以降のスティーヴィー・ワンダー(特にヒット曲)の印象が強い人は、本盤の内容の濃さに最初はいくぶん躊躇するかもしれない。しかし、同じ“クラシック・ピリオド”の作品としては、まだ伝統的なシンガーの要素を残した曲も含まれているので、いきなり『インナーヴィジョンズ』や2枚組の『キー・オブ・ライフ』を聴くよりも入りやすい。その入りやすさの理由は、キーボードやリズムの部分では極めて革新的だけれども、ヴォーカルに関しては伝統的な要素を踏襲している点にあるのだろう。そんなわけで、70年代のスティーヴィー・ワンダーを未体験の人の入口としても素晴らしいアルバムだと思う。
[収録曲]
1. You Are The Sunshine Of My Life 2. Maybe Your Baby
4. Tuesday Heartbreak 5. You've Got It Bad Girl 6. Superstition 7. Big Brother 8. Blame It On The Sun 9. Lookin' For Another Pure Love 10. I Believe (When I Fall In Love It Will Be Forever)