音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年08月11日
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 “ついでにもう1曲”的な取り上げ方をするのも何だけれども、「朝もやの二人」と同じアルバム(『シカゴXI』)からシングル・カットされた別のナンバーを、第3回(最終回)として取り上げておきたい。「シカゴへ帰りたい(Take Me Back To Chicago)」という曲である。邦題では“帰りたい”という主体的な訳語がとられているが、原題は“私を連れて帰って(take me back)”という半ば受動的な表現。まあどっちでもいいような気がする細かな話だけれど、以前からの素朴な疑問だったりする。

 さて、この曲は、今回取り上げた70年代後半のシカゴの3曲のうちでは、いちばんマイナーな曲であろう。シングル曲としては63位と、さほど振るわなかった。けれども、こだわりをもって言えば、今回取り上げた3曲中では、これら一連の記事でもっとも強調したかったよさを発揮しているようすら思える1曲である。つまりは、バラード系だけれども“甘過ぎない”、仰々しさよりは“素朴さ”が強い、70年代のシカゴのバラードの特徴がよく表れた曲だと思う。

 同列に連載シリーズで取り上げたとはいえ、実はこの曲は若干系統が違う。この曲の作者は、シカゴのオリジナル・メンバー(ドラム)のダニー・セラフィンであって、いわゆる“ピーター・セテラのバラード路線”というわけではない。この辺は、バンドが過渡期にあったということもあり、それゆえ、この曲が収められたアルバム(『シカゴXI』)は、統一感のない“寄せ集めアルバム”みたいな評価もなされる。

 実際、シカゴのバンドとしての歴史を見ても、この時期は一つの区切りであった。『シカゴIX』はベスト盤でそれまでの活動の一つの総括であった。次いで「愛ある別れ」を含む『シカゴX』の発表。さらに、『シカゴXI』はデビュー時からシカゴを牽引してきたテリー・キャス(78年1月にピストル誤発射で死亡)が参加する最後の作品となった。メンバーそれぞれが新たな個性を発揮し始め、それゆえ、『XI』は“寄せ集め”盤的な評価が下されることもある。そんな状況だったからこそ、“甘さ”一辺倒の大仰なバラード路線(繰り返すが、筆者はこれもまた好きである)とは違う、デビュー以来のブラス・バンド路線から抜け出せず、なおかつどこかのどかな雰囲気を湛えたスロウ曲・バラード曲がこの時期に残されたということだろうか。



[収録アルバム]

Chicago / Chicago XI (1977年)
その他、ベスト盤類にも収録。


[関連過去記事リンク]

70年代シカゴのバラードを聴き直す ~その1~
70年代シカゴのバラードを聴き直す ~その2~  へ






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Last updated  2011年08月11日 09時56分09秒
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