やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2004年08月01日
XML
カテゴリ: 読書感想
平凡な暮らしも、思いがけない出来事で非凡になる。人生一皮むけば何が出るか。本当に怖いような、当たり前なような。

よく車窓を飛ぶように過ぎていく家々見ていると、あそこにはどんな人たちがどんな暮らし、人生を過ごしているんだろうかと思い始める。特に夕暮れて旅愁を感じる時に。わかりっこない。

そんなわかりっこない人たちの人生を垣間見せてくれるのがこの短編集。

そんな風に生きたいなーとか、共感してエネルギーをもらえたとかは無い。読者はえぐられっぱなし。だから怖い。怖いけど覗いてみたい。そして逃げられないんだなーと思う。

ああーあ、桐野さんのうまさよ、はめられた。

印象深かったのは「黒い犬」。「捩れた天国」と連作。

自分がどこに帰属しているか、何者であるかに悩みつづけるとはどんなだろうと思いつつ、実は多かれ少なかれ人間はそういう気持ちを抱いているのではないかと思わされた。

「ジオラマ」とは人形などを使って古代などの生活様式を再現する展示物とか。名前を初めて知った。確かにあれは嘘っぽいが、妙に吸い込まれそうになって、気味が悪かった経験がある。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2004年08月01日 14時02分00秒
コメント(12) | コメントを書く
[読書感想] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ

利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:「ジオラマ」桐野夏生(08/01)  
Re-ka  さん
はじめまして♪
私も読みました。桐野さんは長編しか読んだことがなかったので意外ではありましたが面白かったです。短い中に凝縮された恐怖、さすがだなぁと感心しておりました。 (2004年08月01日 14時08分27秒)

Re:「ジオラマ」桐野夏生(08/01)  
桐野女史の作品は体調が悪いときに読むと、かなり心に負荷がかかりますね。
凄みのある文体ですから。
この短編集、読んだことはないのですが、私にとってはきっと体調に注意して読まなければならない本のひとつと思われます。 (2004年08月01日 16時57分41秒)

Re:「ジオラマ」桐野夏生(08/01)  
志穂音  さん
まだ読んでいないのですが、興味あります。
わたしも車窓から見える景色にいろんな思いを託しています。あああの家にはどんな家族がいて~今どういう会話をして~どんな人が住んでいるんだろう?とかいろんなこと考えてしまいます。そんな日常の人間の心理描写がうまい作家ですよね?疲れているときには短編集がいいですね。また読んでみよーっと!! (2004年08月01日 22時51分56秒)

Re[1]:「ジオラマ」桐野夏生(08/01)  
ばあチャル  さん
Re-kaさん
>はじめまして♪

こちらこそ、かきこみありがとうございます。

>私も読みました。桐野さんは長編しか読んだことがなかったので意外ではありましたが面白かったです。短い中に凝縮された恐怖、さすがだなぁと感心しておりました。
-----
そうですね、桐野さん自身のあとがき解説でこの短編のひとつを掘り下げて長編にという構想もおありとか、ほんとにすごいひとですね。 (2004年08月01日 23時25分57秒)

Re[1]:「ジオラマ」桐野夏生(08/01)  
ばあチャル  さん
書斎人ダビドフさん
>桐野女史の作品は体調が悪いときに読むと、かなり心に負荷がかかりますね。
>凄みのある文体ですから。

そうなんですけど、惹かれてしまうのです。不思議な魅力です。 (2004年08月01日 23時34分55秒)

Re[1]:「ジオラマ」桐野夏生(08/01)  
ばあチャル  さん
志穂音さん

>わたしも車窓から見える景色にいろんな思いを託しています。あああの家にはどんな家族がいて~今どういう会話をして~どんな人が住んでいるんだろう?とかいろんなこと考えてしまいます。

それと、通り過ぎる見知らぬ駅のプラットホームにいる人々に思いをはせますね。
国木田独歩の「忘れえぬ人々」ですね。もう、二度と会わないだろう人々のことを。
(2004年08月01日 23時42分56秒)

Re:「ジオラマ」桐野夏生(08/01)  
alex99  さん
飛行機から地上の家並みを見てもジオラマを感じますね。

>自分がどこに帰属しているか、何者であるかに悩みつづけるとはどんなだろう

私はもう、私自身を見切ってしまいましたが、また新しい局面を迎えれば、新しい自分が今の廃墟?から這いだしてくるかも知れないとは思うことがあります。

(2004年08月02日 01時06分39秒)

Re:「ジオラマ」桐野夏生(08/01)  
123mao  さん
幼い頃、見知らぬ人が大量にいるの(人ごみ)を見て、
この人達も皆、自分と同じように心の中でいろいろ考えているのだろうか?
と自分が特別ではない、というのを妙に意識させられてしまって怖くなったことがあった気がします。
(ちょっと日記の内容とずれているかもしれません)

桐野さんの本はすっかりご無沙汰しています。
また読もうかな、と思うこの頃です。何にしようかな。
(2004年08月02日 01時17分07秒)

Re[1]:「ジオラマ」桐野夏生(08/01)  
ばあチャル  さん
alex99さん

>>自分がどこに帰属しているか、何者であるかに悩みつづけるとはどんなだろう

>私はもう、私自身を見切ってしまいましたが、また新しい局面を迎えれば、新しい自分が今の廃墟?から這いだしてくるかも知れないとは思うことがあります。
-----
alexさんが今「廃墟?」とんでもない。日記から拝見する限り違います。

ですけれど、新しい局面を迎えつつあるのかもしれませんね。たえず外から内から刺激をうけて、変わりながら進んでいくのではないかと。どこへ?それはわかりませんけれどね。 (2004年08月02日 07時50分00秒)

Re[1]:「ジオラマ」桐野夏生(08/01)  
ばあチャル  さん
123maoさん

>幼い頃、見知らぬ人が大量にいるの(人ごみ)を見て、
>この人達も皆、自分と同じように心の中でいろいろ考えているのだろうか?
>と自分が特別ではない、というのを妙に意識させられてしまって怖くなったことがあった気がします。

そうですね!!

相対して話している人にも感じることあります。話の内容と違うことを考えているのではないかという疑い。自分もそうする時があるのだし。襲ってくる孤独。怖いですねー。

こうして私たち本好きなのも、それを(怖さ、孤独さ)を埋めたいのかもしれませんね。「でなきゃ他人の人生を好き好んで見やしませんって」(笑)
(2004年08月02日 08時03分51秒)

Re:「ジオラマ」桐野夏生(08/01)  
☆かよ  さん
短編ですか?
桐野さんの短編も読みたいな~。 (2004年08月05日 00時04分35秒)

Re[1]:「ジオラマ」桐野夏生(08/01)  
ばあチャル  さん
☆かよさん

>短編ですか?
>桐野さんの短編も読みたいな~。
-----
不思議な魅力をかもし出していて、私もこんなになぜ惹かれるのかと考えます。怖いとか鋭いとかありますが、雰囲気が、ニュアンスが個性的なのかもしれません。 (2004年08月05日 14時05分00秒)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

ばあチャル

ばあチャル

コメント新着

ばあチャル @ Re[3]:白内障手術(06/11) todo23さんへ メガネの話題でもりあがる…
todo23@ Re[2]:白内障手術(06/11) ばあチャルさんへ 会社にいる頃は遠近両用…
ばあチャル @ Re[1]:白内障手術(06/11) todo23さんへ 「近く」を選択すると読書…
todo23@ Re:白内障手術(06/11) ばあチャルさんは「近く」を選択したので…
ばあチャル @ Re[1]:年賀状じまい(01/07) オーキリさんへ お互い元気で何よりです…

お気に入りブログ

PC 修理 および 新… New! alex99さん

10/7:二部谷コタン… New! 天地 はるなさん

土井裕泰「平場の月… New! シマクマ君さん

中国とドイツの関係… New! tckyn3707さん

ブルーオーシャン New! 七詩さん

不思議な類似に驚い… New! analog純文さん

フリーページ

耽溺作家の作品群


山本周五郎の世界


清張ワールド


クリスティの手のひら


時代物の神様正太郎


宝石箱


子供の頃の読書


作家別読了記録【あ】行


【あ】 日本文学


【ア】 外国文学


【い】 日本文学


【イ】 外国文学


【う】 日本文学


【ウ】 外国文学


【え】 日本文学


【エ】 外国文学


【お】 日本文学


【オ】 外国文学


作家別読了記録【か】行


【か】 日本文学


【カ】 外国文学


【き】 日本文学


【キ】 外国文学


【く】 日本文学


【ク】 外国文学


【け】 日本文学


【ケ】 外国文学


【こ】 日本文学


【コ】 外国文学


作家別読了記録【さ】行


【さ】 日本文学


【サ】 外国文学


【し】 日本文学


【シ】 外国文学


【す】 日本文学


【ス】 外国文学


【せ】 日本文学


【セ】 外国文学


【そ】 日本文学


【ソ】 外国文学


【た】行


【た】 日本文学


【タ】 外国文学


【ち】 日本文学


【チ】 外国文学


【つ】 日本文学


【ツ】 外国文学


【て】 日本文学


【テ】 外国文学


【と】 日本文学


【ト】 外国文学


【な】行


【な】 日本文学


【に】 日本文学


【ぬ】 日本文学


【の】 日本文学


【ノ】 外国文学


【は】行


【は】 日本文学


【ハ】 外国文学


【ひ】 日本文学


【ヒ】 外国文学


【ふ】 日本文学


【フ】 外国文学


【へ】 外国文学


【ほ】 日本文学


【ホ】 外国文学


【ま】行


【ま】 日本文学


【マ】 外国文学


【み】 日本文学


【ミ】 外国文学


【む】 日本文学


【メ】 外国文学


【も】 日本文学


【モ】 外国文学


【や】行


【や】 日本文学


【ゆ】 日本文学


【ユ】 外国文学


【よ】 日本文学


【ら】行 【わ】行


【ラ】 外国文学


【り】 日本文学


【リ】 外国文学


【ル】【レ】【ロ】 外国文学


【わ】 日本文学


【ワ】 外国文学


【共著】【マンガ・コミック】


「読みたい本・注目の本」記事録


『世界の「今」に迫る10冊』


吉屋信子『私の見た人』の昭和の作家


ウェヴスター『あしながおじさん』に出てくる本


日本の作家(ちくま日本の文学全集収録)


昭和の作家(1962年 朝日新聞記事より)


映画鑑賞会


2024年


2025年


カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: