やっぱり読書おいのこぶみ

< 新しい記事

新着記事一覧(全1825件)

過去の記事 >

2004年11月09日

「プラナリア」山本文緒

(3)

テーマ：最近、読んだ本を教えて！(24652)

カテゴリ：読書感想

直木賞受賞の短編集。

「プラナリア」「ネイキッド」「どこかではないここ」「囚われのジレンマ」「あいあるわたし」

衝撃をうけた。主人公に感情移入はちょっときついかも。
しかし、いるいるこんな人、私だって…まちがいない。

そこまで暴く事ないだろうぐらい、書き込まれている。
ああ、やだ、やだ！
真実をついていると思わせるうまさ、山本文緒さんの筆力。

「プラナリア」の春香がどうしようもない、いらだちをもろに出してしまう甘えのいやらしさ、せつなさ。

「ネイキッド」の泉涼子のどうしても働く意欲が湧かない精神の荒涼、そして誰も頼りたくない寂しさ。

「囚われのジレンマ」自分で損の種をまいてしまう、美都。正直に損得の勘定をしてしまう恋人同士。

「あいあるわたし」のすみ江。よく男性作家が好む理想的な女性のように描かれているが、芯は強い女。

どうしてこんなに身近なんだろうと思いつつ、読み終わったあとじわじわと生き方を考えさせられてしまう。
憤懣やるかたない女性達と、やさしいかもしれないが、ふがいない男達の構図。

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう