やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2006年09月14日
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カテゴリ: 読書感想
読子さんのブログ

解説に「ノンフィクション風ミステリー」とある。言い得て妙。

長寿国になった日本のいまやどこにでもある老人施設、病棟で、起こっているかもしれない終末医療の現実と問題点を、時にはルポルタージュ喜劇風、恋愛小説風とあきさせないミステリー小説仕立てで、内容は真剣、真摯。ぐんと引き付けられ読んだ。

新任看護士の介護に燃える情熱とベテラン医師の終末医療の理想の追及(安楽死)との対決は、冷静に老人終末の問題点を掘り起こしてみせてくれた。重い重い内容ではあるが。

さて、この小説は痴呆症にかかった老人病棟の話。もし頭がはっきりしていて身体が動けなかったら…。

大たい骨骨折してしまったの私の97歳の姑は痛い、痛いとまだ寝たきりに近い。

一応病院は退院して、老人ホームに併設されている保健施設のショートステイにはいれて、それはラッキーだったのだが、長い間自分のことは自分で身じまいしてきたえらさが、「両刃の剣」本人もまわりも苦労している。

姑「長く生き過ぎたよ、、、」(といって食事の量を減らす、オムツが嫌で水を飲まないなど)
みんな「そんなことないよ、長生きしてね」(というけど、施設に世話になっていても遠路見舞う労力的大変さ、経済的にもどうしょう?というのが本音)



人生85歳くらいででいいかなーと、ちょっと過激だけれどそう思ってしまう。

死ぬのはきらいだけれど、でも85歳以上の年月を生きていたくない気がしてくる。母と姑とを観察しいると85歳くらいから健康に問題がなくても独立して暮らせなくなった、という実情をつぶさにみている。

病気でなくても衰えによる身体の不自由はつらい。まして病気ならもっと不自由な生活に本人は希望がない。

「これが何が楽しい?」という顔でみられると苦しい。気丈というのは自身が身動きできない時には周りが振り回される。やさしい気持ちも萎えてしまう。

しかしまあ、そんな質問を受けて困った顔の私たちを見て、ぼけてはいないから少しは気遣ってくれるだけでも慰めであるかな、と思うには思うが。

思うようにいかないのが人生なら受け入れるのみ、というちかごろの心境でこの重いテーマの小説を読んだ。なんだかシリアス過ぎた、でもけして嫌じゃなかった。

一気にファンになった感。帚木蓬生の他の作品も読もうと思う。


安楽病棟





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最終更新日  2006年09月14日 16時18分30秒
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