吟遊映人 【創作室 Y】

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2008.03.03
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「あんたも冷やかしかい?」
「どんな虹をさがしてる?」
(中略)
「子供のころ、親父といっしょに虹を見てね、普通の虹じゃないんだ。蛇みたいに巻いたり、うねったりするんだ。」
「ほぅ・・・」
「信じてくれなくてもいいさ。どうせ誰も信じてくれないさ。」
「“虹蛇(こうだ)”って言うんだ。」
「えっ?」


古来より日本は、八百万(やおろづ)の神々の宿る国とされて来た。
庭に咲く梅の木や、路傍の石ころ、美しい曲線を描く富士の山、全てに精霊を感じていた。
コミックの世界では、文字だけの表現では限界のある妖怪や幽霊などの“あやかし”を描いた作品が、数多く人気を博している。
日本人の多くが少なからず抱えている、万物のエネルギーの源への尊崇の念、そして憧憬。
目に見えるものだけが信じられるのではなく、目に見えなくても確実に感じられた森羅万象の営み。

この作品、「蟲師」は、「月刊アフタヌーン」に連載されている漆原友紀によるマンガを実写化したものである。
作中の「蟲」とは、いわば幽霊や妖怪のような存在で、「蟲師」とは、「蟲」の引き起こす怪奇現象を研究、あるいは退治、治療を施す者を指している。

「蟲師」として旅を続けるギンコ。
ある時、蟲師たちの集う御堂にやって来たギンコは、淡幽の身体に異変が起きたという知らせを受ける。
淡幽とは、代々蟲にとり憑かれた旧家の娘で、蟲の記録を取り続けることでその威力を封じて来たのだ。
しかし、ギンコが淡幽の屋敷を訪れた時、彼女は蟲に侵食され、由々しき事態に陥っていた。


だが、封印されていたはずの蟲が、黒いモヤとなって立ち昇り、ギンコにとり憑き始めたのだ。

原作を読んでいないことをお断りして、感じたことを率直に言いたい。
この作品は、互いに相容れないものを排除し、抹殺し、忌み嫌うのではなく、「共存」への願いをテーマにしているのではなかろうか。
絶望や不安、孤独と言った闇の部分を葬り去るのではなく、今ある姿として自然の中へ返してゆく。
非常にレベルの高い精神世界を描いているため、残念ながらストーリーが追いついて行かない。


2007年公開
【監督】大友克洋
【出演】オダギリジョー、江角マキコ

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.03.03 06:36:29
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