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2008.03.04
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カテゴリ: 映画/戦争・史実


第二次世界大戦を省みた反戦映画は数多く、残酷な殺戮シーンをクローズアップすることで、戦争の悲惨さを打ち出す作品群は周知の通りだ。
「二百三高地」は、そのまた昔、19世紀末(明治37年)の日露戦争が舞台となっている。

当時ロシアの南下政策は朝鮮にまで及ぼうとしていた。
一方、朝鮮半島の支配を目指す日本にとっても、指をくわえて黙ってなどいられない。

だが、軍事力はロシアの強大さの前では赤子同然。
その足元にも及ばないことは、誰の目から見ても明白であった。
しかし、領土拡大を目論む明治政府にとって、朝鮮半島は是が非でもロシアに奪われるわけにはいかなかった。
閣僚会議では、主戦派が反対派を押し切る形で議決。


この作品では、“英雄”と謳われた乃木希典(のぎ まれすけ)が、痛々しいほどに凡庸で内省的に描かれている。
作家司馬遼太郎も、乃木については厳しい批評を向けた一人であり、「乃木の才能は人格的なものであって軍事的才能ではない」とする、軍人としての能力を否定していた。
失策を続けていた乃木に対し、満州軍参謀長であった児玉源太郎は、途中、乃木に代わって陣頭指揮を取り、二百三高地を軸とした旅順攻略の作戦を練り直し、成功。
その結果、旅順を陥落したのである。

映画「二百三高地」では、“英雄”、“大将”などという賞賛が、いかに虚しく、無意味なものであるかを教えてくれる。
そして、これほどまでに多大なる犠牲を払ったにもかかわらず、得たものが何であるかを考えさせられる作品は、まずない。
反戦映画としては、テーマが明確に打ち出された素晴らしい作品に仕上げられている。

1980年公開
【監督】舛田利雄
【出演】仲代達矢、丹波哲郎

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。





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最終更新日  2008.03.05 11:13:35
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