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2008.05.22
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カテゴリ: 映画/パニック

「ボブ、分からん。」
「君が造ったビルなのに!」
「・・・全員は助からんだろうな。」

映画というメディアは、その時代の有り様を知る上で、最も効果的な道具であり手段であることを改めて実感した。
70年代の建設ラッシュ時に、一部の富裕層らが競い合うようにして高層ビルを乱立させた。
だが、合理性と己の利益を追求する余り、安全性や災害に対する耐久性を軽んじてしまう結果が生じた。
我々は資本主義社会における大きな課題を、映画というメディアを通してすでに70年代から突き付けられているというわけなのだ。

カリフォルニア州サンフランシスコに、超高層ビルが落成した。

だが、設計士ロバーツの設計通りの配線工事がされていなかったため、81階にある物置室の配線盤のヒューズが発火し、ボヤを起こす。
みるみるうちに火が回り、高い天井まで焼き尽くし始める。
消防署に緊急連絡を入れたものの、最上階ではいまだ火事の件を知らずに落成式の式典が華やかに行われていた。
ロバーツから最上階の社長に来賓の避難を勧告するのだが、社長は一向に耳を傾けず、そのままセレモニーを続行しようとするのだった。

この作品は、当時のパニック映画としては最高のものなのではなかろうか。
臨場感に溢れているばかりではなく、無駄のない演出、脚本。
パニック映画にはありがちなオーバーリアクションも感じられず、一つのテーマを手堅く表現している。
作中、「えっ? この人が死んでしまうの!?」と、意表を突く悲劇に見舞われる。
たいていのドラマの筋書きなら、どうにか最後まで生き残って愛する人とハグしてジ・エンドとなるはずなのだが、この映画に限ってはそんな一般性を許さない。
これこそがパニック映画の醍醐味とも言えるだろう。
さらに、出演者の顔ぶれに驚いてはならない。


最初から最後まで、視聴者を飽きさせないダイナミズムを披露してくれる映画なのだ。

1974年(米)、1975年(日)公開
【監督】ジョン・ギラーミン
【出演】スティーヴ・マックイーン、ポール・ニューマン

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。





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最終更新日  2008.05.22 06:23:45
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