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2011.04.21
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カテゴリ: 映画/時代劇

「そう・・・時々いるんだ」
「どんな人なんですか?」
「菩薩様みたいな人さ」
「菩薩様・・・」

「座頭市」と言えば、海外映画界にずいぶんと影響を与えた、日本映画の代表格である。

最近では、猫も杓子と数多くのリメイク版も製作されているが、「座頭市」と言ったらやっぱりこの人、勝新太郎であろう。
勝新太郎は、大映の二枚目スターとして市川雷蔵とともに売り出されたのだが、当初はさほどではなく、飛ぶ鳥も落とす勢いの雷蔵人気には到底及ばなかった。
だが勝新太郎がそれまでの二枚目キャラを捨て去り、いわゆる汚れ役を演じるようになった頃から、にわかに脚光を浴び始める。


本作「座頭市」が製作されたのは、正にバブル全盛期。
豪華キャストの顔ぶれや、セットのすばらしさに思わず胸が躍る。
だがこの作品には暗い因縁がまつわりつく。
公開されることになっただけでも奇跡ではなかろうか。
というのも、本作の撮影中、死亡事故が発生しているのだ。
今でこそ忘れ去られてはいるが、勝新太郎の長男である鴈龍太郎が、真剣で、斬られ役の役者の首を斬りつけ、死亡させているのだ。
故意によるものではなかったにしろ、大変な過失であった。
さらには公開翌年、勝新太郎はコカイン所持で逮捕されており、「座頭市」の続編はもう二度と製作されることはなかった。
つまり、勝新太郎にとっての本作「座頭市」が、製作作品としては最後の映画になってしまったという経緯があるのだ。

百叩きの刑を受け、牢に入っていた盲目の按摩・座頭市は、ようやく釈放されると、田舎の知人を頼って行く。
知人は親切にも座頭市に腹いっぱいの握り飯と酒を振る舞うと、いくらかの金を都合した。

座頭市は望まない揉め事に巻き込まれたり、刺客に命を狙われたりしたものの、己の旅を続ける。
そんな中、座頭市は、孤児の世話をやく少女おうめと出会う。
おうめは、健気にも一生懸命働き、子どもたちの面倒をみるのだった。

勝新太郎という役者さんは、その愛嬌あるキャラクターゆえ、多くのファンから支持され、人気を誇ったが、その晩年は壮絶だった。
莫大な借金、大麻不法所持による度重なる逮捕、息子の撮影中に起こした業務上過失致死罪など、それはそれはゴシップとスキャンダルにまみれたものだった。

「座頭市」は、その後も日本国内はもちろんのこと、海外でもリメイクされ絶大な人気を誇るが、勝新太郎の打ち出した「座頭市」像は、誰にもマネが出来るものではない。
日本の時代劇を世界に向けて発信した、最高の勧善懲悪ドラマなのだ。

1989年公開 【監督】勝新太郎
【出演】勝新太郎、樋口可南子、緒形拳、片岡鶴太郎

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2011.04.21 08:11:09
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