吟遊映人 【創作室 Y】

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2011.05.01
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カテゴリ: 映画/アクション

「どこで?」
「名前が思い出せない・・・あの殺人事件だ。フィルモア街の淫売だ。あの’71年の夏さ」
「ああ・・・それで?」
「尋問したヒモの一人だ。・・・あいつはクサかった。何かあると思ったが、やっぱりだ」

なぜ映画という娯楽が、これほどまでに大衆に影響力があるのかと言えば、ヒットする作品ほど時代の世相が色濃く反映されているからかもしれない。
社会性を帯びた映画か否かは、最終的に視聴者が判断するものであって、作り手としてはさほど意識していないのではなかろうか。
その証拠に、本作「ダーティハリー3」も政治性や社会性を取り入れた内容とは思えないが、結果として当時の世相を絡ませたような仕上がりとなっている。
「ダーティハリー」シリーズにおいて、3作目となる本作が公開された70年代のこの頃、ちょうどアメリカでは“ウーマン・リヴ”なる運動が活発化し、女性の社会進出や人権が大きく取り上げられた。

製作者サイドとしては、あえて流行を全面に打ち出したわけではなく、だが時代の流れを何となく汲み取って脚本に挿入してみた、というのが本音であろう。
吟遊映人が映画を愛する理由の一つには、そういう時代性、つまり現代に至るプロセスを客観的に捉えることができるという有効な娯楽であるからだ。

サンフランシスコ市警のハリー・キャラハン刑事は、リキュール・ショップを占拠した強盗に対し、愛用のマグナム銃を惜しみなく発砲した。
ところが事件解決後、店側から多額の損害賠償請求を突きつけられ、殺人課から人事課へと異動の辞令が降りる。
一方、過激派テロリストらが陸軍の兵器庫に押し入り、爆弾やバズーカ砲などを持ち出した。
パトロール中だったフランクは、兵器庫の異常に気付き、テロリストらを検挙しようとするが、反対に重傷を負わせられてしまう。
瀕死のフランクと対面した相棒のハリーは、犯人逮捕を心に誓うのだった。

本作の見どころは、やはりハリー・キャラハンの相棒役である初の女性警官との絡みであろう。20110501a
殺人事件の前線で働くハリーに対し、もともと資料課のデスクワークしかやったことのない女性警官ムーアとのキャラクター的ギャップ。
また、そんなムーアがハリーの足手まといになるまいと、必死になって働く姿に好感が持てる。
最初はハリーも女性蔑視的で、ムーアをお荷物扱いしていたところ、少しずつ、真面目で度胸のあるムーアに一目置くようになっていくプロセスが、またいい。

女性が少しずつ社会進出してゆく世相を、厭味なく反映した、70年代的刑事ドラマなのだ。

1976年(米)公開
【監督】ジェームズ・ファーゴ
【出演】クリント・イーストウッド

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。





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最終更新日  2011.05.01 08:00:04
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