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2013.03.19
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【ゴールデンスランバー 】
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「人間の最大の武器は何だか分かるか?」
「さぁ・・・」
「習慣と信頼だ」
「習慣と信頼・・・」


ド派手なアクションと、完成度の高いCGの施されたハリウッド映画を見慣れてしまっている方々には、邦画なんてヤワでチャチな代物に思えるだろう。
だがそんな邦画の世界でも、驚愕するような脚本の出来栄えと、出演者の見事な演技合戦で秀作は生まれるのだ。
原作は伊坂幸太郎だが、このサスペンス小説は他の犯罪・推理モノとは一線を画す。
本作に登場する警察庁警備局総合情報課というのは、いわゆる公安のことで、国家を揺るがす陰謀やテロ行為に立ち向かう組織である。
作中、あまりクローズアップされなかったのは、なぜ、金田首相が暗殺されたのか、ということだ。
考えられるのは、国民から絶大な人気を得る金田首相が、思想的に左寄りだったのではなかろうか、それゆえ公安が秘密裏に動いた、という推理である。
これに近い発想を探していくと、ケネディ大統領の暗殺犯とされているオズワルド、いわゆるオズワルド事件にたどり着く。
ケネディ大統領というのは、周知の通り、思想的にも反戦主義者で、かねてよりCIAから目をつけられていた、という噂がある。
そこでCIAは、オズワルドという一青年を犯人に仕立てあげ、ケネディ大統領の暗殺を謀ったというものだ。

※ジャック・ルビーはCIAと接触があったという一部報道もある。
つまり、「ゴールデンスランバー」という物語は、公安による首相暗殺計画のために、一般市民が利用され抹殺されようとしているプロセスを描いている、と思われる。
吟遊映人が評価するのは、このプロットを考えた著者は、おそらく公安やアメリカのCIAについてかなり深いところまで勉強したであろうことがうかがえる点である。
安易な犯罪・スパイ小説に小さくまとまらず、これだけのおもしろい作品に仕上げたのは、著者の実力に他ならない。

舞台は宮城県仙台市。
宅配便のドライバーをしている青柳雅春は、学生時代からの友人・森田から久しぶりに釣りに誘われた。
ところが森田は、再会を喜ぶ節も見られず、いぶかしく思う青柳。
二人は路駐した車内でジャンクフードを食べているが、同時刻、仙台出身の金田総理大臣のパレードが盛大に行なわれていた。
そんな中、森田は自嘲気味に自分のことを話し出す。
自分が社会人になってすぐに結婚し、子どもを儲けたこと。
妻がパチンコにハマってしまい、多額の負債を抱え込んでしまったこと。


作中、副首相の存在も何やら公安の動きに一枚かんでいるような節もあったが、この辺りは視聴者がそれぞれに想像をめぐらして推理を楽しめば良いだろう。
参考にすべきは、キルオのセリフにもあったように、我々の何気ない電話は、誰かによって盗聴されているのは間違いない。
それが公安か何かは、分からない。
ただ、プライバシーなんてあってないようなものなので、それを踏まえた上で、あまり過敏にならず生活していこうではないか。
本作は、ベールに包まれた向こう側を、ほんの少しだけシルエットで垣間見たような、圧倒的ファンタジーに彩られた作品であった。


【監督】中村義洋
【出演】堺雅人、竹内結子、吉岡秀隆、劇団ひとり

※ただいま公開中の『ひまわりと子犬の7日間』では堺雅人の好演が話題(^o^)
この役者、これからも目が離せない存在である!
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最終更新日  2013.03.19 06:28:48
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