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2013.04.21
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【白い恐怖】
20130421

「今まで君の美しさに気づかなかったよ」
「もう記憶をなくなさないでね」
「僕の深い愛をどう思う?」
「とても素敵」


この作品は『サイコ』の先駆けともなった作品で、完全に精神医学上の真理に基づく映画である。
主役はこの人、イングリッド・バーグマンとグレゴリー・ペックという顔合わせ。文句なしのキャスティングだ。
余談だが、私の亡くなった母はグレゴリー・ペックの大ファンで、飼い犬に“ペック”と名付けるほどのミーハーだった(笑)
だが犬にペックと呼びかけるのに呼びづらいことが分かり、ペックが段々とペルになったそうだ。
それにしても母がグレゴリー・ペックに熱を上げるのも無理はない。『ローマの休日』にしろ『白い恐怖』にしろ、甘いマスクと低音のボイスが何とも魅力的なのだ。
いつもは可憐で気高い役柄のイングリッド・バーグマンも、相手役がグレゴリー・ペックというのを意識してなのか、この作品では母性的な雰囲気を前に押し出しているような気がする。
また、作中、夢の中の出来事が回想されるシーンがあるのだが、その美術を、なんと天下のサルバドール・ダリが担当している。ダリと言えば、マグリットと並びシュールレアリズムの大家で、日本でも特に人気の高い画家である。
しかもこの作品で使われている音楽は、アカデミー賞映画音楽賞を受賞しており、作品を効果的に盛り上げるのに成功している。

話はこうだ。

親睦も兼て、病院の医師一同が食事をしていると、エドワードが白いテーブルクロスに異常な反応を示す。また、コンスタンスがフォークの先でテーブルクロスに何気なくつけた線の跡に、エドワードは思わず恐怖におののく。その様子にコンスタンスは、エドワードの過去に何かが隠されていることを察知する。
そんなある時、院長室でエドワードとコンスタンスが話していると、覚えのない女から電話がかかって来る。エドワードにはまるで記憶にない女だったが、実は女はエドワード医師の助手で、電話に出たエドワードはまるで別人だと訴える。エドワードは自分が何者であるかが分からなくなり、過去の罪責感に囚われる余り、ひょっとしたら自分が本物のエドワード医師を殺害してしまい、自分は単になりすましているに過ぎないのではないかと思い始める。
一方、コンスタンスは女医のカンで、たとえ今はエドワード医師になりすましている男であっても、決して犯罪者ではないことを確信する。コンスタンスは真実を追究するため、警察から男を守りながら、謎を一つ一つ解明していくのだった。

今さらこの作品を絶賛するまでもないが、あらためて、とにかく素晴らしい!
ヒッチコックの優れているのは、サスペンスやミステリーにありがちなおどろおどろしいムードがまるでないことだ。(たとえば、何かが起こりそうな荒れ果てた屋敷とか、嵐の晩とか、不気味な音を立てるドアとか。)それなのに充分、心理的な不安や恐怖をかき立てられるのだから不思議だ。
白黒映画に慣れていない方には退屈かもしれないが、アナログの良さが凝縮した、密度の濃い作品なので、見ても決して損はない。おすすめだ。

1945年(米)公開
【監督】アルフレッド・ヒッチコック
【出演】イングリッド・バーグマン、グレゴリー・ペック

ヒッチコックの『サイコ』
20130407
コチラ


ヒッチコックの『レベッカ』
20130505
コチラ


20130124aisatsu





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最終更新日  2013.05.05 06:06:54
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