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2013.08.04
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【男はつらいよ~望郷篇~】
20130804

「寅さんたら、だんご屋だんご屋って言うから、私てっきり屋台の方だと思ってたら立派なお店みたいじゃないの」
「何が立派だよ、犬小屋に毛が生えたようなもんだよ」
「帝釈様の門前町にあるんでしょ? 立派なもんよ」
「帝釈様なんて、豚小屋みてぇなもんで」
「あら有名なお寺じゃない! 写真で見たわよ、裏に江戸川が流れてて」
「あんな川、ドブ川みてぇなもんで」


『男はつらいよ』は、もともとテレビドラマから始まってブレイクした。
だが実際、なじみ深いのは映画作品の方である。ほとんどの人がそうではないだろうか?
シリーズ5作目は、『男はつらいよ』の完結篇として製作されたこともあり、テレビドラマの出演者を総動員させてのキャスティングで、そうそうたる顔ぶれとなった。
マドンナ役は長山藍子で、テレビドラマの方ではさくら役を演じており、山田監督とは気心の知れた女優さんだ。
とはいえ、映画ではさくら役を倍賞千恵子が演じており、その知性美や物腰にとうてい及ぶものではない。圧倒的な存在感でさくら役を印象付けたのは、倍賞千恵子であろう。だから個人的には倍賞千恵子に軍配を上げたい。
今回の寅さんはこれまでになくマドンナとの結婚を意識して、堅気になろうとするプロセスがクローズアップされている。
それだけに寅さんの想いに全く気づかないマドンナには、滑稽なほどの失恋をしてしまうのだが、それもまた「らしさ」となって効果的に生かされている。

話はこうだ。
寅さんは旅先で、おいちゃんが重病で亡くなる不吉な夢を見てしまう。

早とちりとはいえ、死人扱いされたおいちゃんは怒って寅さんと大ゲンカ。
結局、いつものように寅さんは出て行くはめに。
その後、舎弟の登から札幌の極道仲間が重病だという知らせを受け、慌てて見舞いに行く。すると病院のベッドに、枯れ枝のように横たわる寝たきり老人となってしまった姿を見て、寅さんは驚き悲しむ。
身寄りのない極道者が、最後のよりどころとしたのは、20年も前にほったらかした女に生ませた息子のことだった。
寅さんは、登といっしょに必死で探し出し、息子を病院まで連れて行こうとするが、「20年もほったらかしておいて、今さら親子などとムシのいいことを言わないで欲しい」と、拒絶されてしまう。
寅さんは仕方なくあきらめ、病院に戻ってみると、すでに仲間は息を引き取っており、極道者の惨めな末路をしみじみと実感するのだった。
このことがきっかけで、寅さんは堅気になろうと決意。千葉県の浦安にある小さな豆腐屋で働くことにした。
その店には、老いた母親と、若くて気立ての良い節子という娘が住んでおり、男手のなかった二人には寅さんが願ったりの働き手であった。
寅さんは朝早くから汗と油にまみれて働くのだが、それもこれも、例によって、節子という明るくチャーミングな娘に惹かれてのことだった。

皮肉なものだと思うのは、山田監督がこの5作目で一区切りつけようと思って、これだけゴージャスなキャスティングを揃えてやってみたところ、当然のように爆発的な人気を呼んだ。
結果、『男はつらいよ』のシリーズが延長されることになるのだから不思議だ。

さすがは天下の山田洋次監督の演出だけのことはある。
見ごたえたっぷりの内容となっている。

1970年公開
【監督】山田洋次
【出演】渥美清、倍賞千恵子、長山藍子

寅さんシリーズ『男はつらいよ』
20130707
コチラ


寅さんシリーズ『続・男はつらいよ』
20130714
コチラ


寅さんシリーズ『男はつらいよ フーテンの寅』
20130721
コチラ


寅さんシリーズ『新・男はつらいよ』
20130728
コチラ


20130124aisatsu





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最終更新日  2013.08.04 05:56:45
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