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2013.10.27
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カテゴリ: 映画/パニック
【127時間】
20120930


「この岩は・・・俺が来るのを待っていたんだ。ずっと宇宙の隕石の時から・・・何十億年も前から・・・宇宙で待っていた・・・俺が落下するのを・・・ちょうどこの場所で・・・俺の人生は生まれて以来、毎日のあらゆる行動が・・・ここへとつながっていたんだ・・・この大地の裂け目へと・・・」

映画としての完成度と言ったら申し分なく、見事な出来映えだと思う。
ストーリーは至ってシンプルで、腕を挟まれ身動きの取れなくなった127時間を追ったものだ。
登山家のアーロン・ラルストンが体験した実話を、ほぼ忠実に再現しているらしい。
とはいえ、娯楽として鑑賞するにはいささかしんどい。
じっくりと腰を据えて、映し出される画像を舐めるようにして味わうぐらいの意気込みが求められるかもしれない。

主役のジェームズ・フランコは本当に良かった。彼の演技は本物だと思う。
何と言うか、まばたき一つにしても考えられた演出のようにも思え、目が離せない。
しかも、作品から一番かもし出さなければならない“生命への執着”を、それはそれは見事に表現していた。
なにしろ他者とのからみが少なく、作中、道に迷った二人の女性とのやりとり以外は、ほぼ自分との闘いを描いているため、主役のジェームズ・フランコに寄せられた演技力の期待度は、絶大なものだったに違いない。


車中で一泊した後は、マウンテンバイクで道なき道を走り抜け、その後は徒歩で目的地を目指した。
それは、アーロンにとってごくごく普通の週末になるはずだった。
途中、道に迷った二人の女性に出会い、慣れたアーロンはガイドブックには出ていないような珍しい地下水のある場所へ案内する。
女性らと別れた後、アーロンは一人、目的地へと向かい、幅の狭い峡谷を通って楽しんでいた。
ところが何かの拍子に滑落してしまい、腕が落石と岩壁に挟まれてしまう。
アーロンは身動きが取れなくなってしまうのだった。

作品の冒頭では、アーロンがいそいそと出かける準備をするシーンがある。
そこでは水筒にジャージャーと水道水を注ぐのだが、とっくに溢れ出しているのに蛇口を閉めない。
主婦感覚からして「もったいないなぁ」と思っていたところ、作品終盤では、アーロンが飲み水に不自由して自分の尿まで飲むシーンがある。
この対比はスゴイと思った。
監督が意識的に挿入したのだとしたら、あの冒頭部は全く無駄なシーンではない。

身動きの取れない、自由を失くした男がたどりついた結論は、これまでの人生全てが、今のこの状況になることに定められていたのだと。

この作品を見ると、本当のサバイバルがいかに過酷なものかを思い知らされる。
生きるということは、生易しいものではないのだと。
『127時間』は、素直に「映画って本当にすばらしい」と思える、根っからの映画ファンの方々におすすめだ。

2010年(米)、2011年(日)公開 

【出演】ジェームズ・フランコ

20130124aisatsu





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最終更新日  2013.10.27 06:02:29
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