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2014.06.01
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カテゴリ: 映画/ヒューマン
【ハーモニーベイの夜明け】
20130317

「彼は出て来ないよ。この檻から出られるのに。塀一つ向こうには自由があるのに、自由が匂うのに、出ようとはしない。あきらめているんだ。自由とは夢見るだけのものだとね」
「あなたもそうなんですか? あきらめてるんですか? あそこを出られるかもしれない。私ならあなたが正常だと証明できる。自由は夢じゃない。実現できる」


動物の生態学者というのは、とかく変わり者が多いのかもしれない。
人里離れた密林にテントを張って、何日も何週間も人と隔絶されたところでひたすらに動物の生態を調査するのだから。
普通なら人とのコミュニケーションが途絶えた時点で発狂してしまいそうだが、人類学者ともなれば、かえってその分動物と密接な関係を結ぶことができて、有意義でさえあるのだろう。
昔からこういう設定のお話は多くある。もちろん対象はゴリラとは限らないが、オオカミだったりライオンだったり、そういう自然界の動物の群れに属して共生する特別な人も実際にいるので、話題には事欠かない。
『ハーモニーベイの夜明け』は、人が動物との共生によって何を学んだかというテーマには着地しない。
というのも、主人公イーサン・パウエルが収容されたハーモニーベイ刑務所内における様々な問題点さえも、告発しようとする意図が見え隠れするからだ。
そう考えると、単純なストーリー展開のように思える作中には、製作者サイドの複雑な思惑がてんこもりに載せられているわけだ。

舞台はルワンダの密林。
人類学者であるイーサン・パウエルは、ゴリラの生態を日々記録していた。

ゴリラの群れとすっかり打ち解けたころ、イーサンを捜索する森林警備隊がゴリラに発砲。
それを目の当たりにしたイーサンは激怒し、数人を撲殺してしまう。
その後、イーサンは精神異常とされ、重犯罪刑務所であるハーモニーベイに服役することとなる。
そして貝のように押し黙ってしまったイーサンを精神鑑定することになったのが、若くて有能な精神科医であるテオ・コールダーであった。

主人公イーサン・パウエルに扮するのはこの人、アンソニー・ホプキンスだ。さすがの貫禄と存在感で、視聴者を飽きさせない。
『羊たちの沈黙』におけるレクター博士の持ち合わせていたような超人的な性質を、ここでも存分に発揮し、限りなく野性味を感じさせる人物を演じている。
また、テオ・コールダーに扮するキューバ・グッディングJr.も、出世への野心を抱く若き精神科医というキャラを地味ながらも好演。アンソニー・ホプキンスと互角に渡り合う演技にひとまず納得だ。
ただ、一つ難を言えば、やっぱり最後のオチだろう。最後の最後に来てあれれ?という展開になるのだ。
にわかに雲行きが怪しくなるのは、うん、あのシーンだ。
それはきっと視聴者のほとんどが感じるのではなかろうか。
「あれ? 『ショーシャンクの空に』のラストに似てるなぁ・・・」


1999年(米)、2000年(日)公開
【監督】ジョン・タートルトーブ
【出演】アンソニー・ホプキンス、ドナルド・サザーランド、キューバ・グッデイングJr.

20130124aisatsu





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最終更新日  2014.06.01 06:04:18
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