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2015.03.07
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カテゴリ: 映画/SF
【トランセンデンス】
20150307

「人間は未知のものを恐れる。(超越した)私を殺したいのか?」

「違う。人類を救うんだ」


アメリカ本国では興行的に伸び悩んだ作品らしいが、私個人としては、それはもう楽しめた。
もちろん、細かいところではツッコミを入れたくなる場面がいくつかあったし、取り立てて斬新さを感じるところもなかった。
だが、見終わった後の何とも言えない切なさとか、寂しさが、私の胸の内を渦巻いたのだ。
それは『エイリアン3』を見終わった後にも似ているし、『ミッション:8ミニッツ』の純愛の要素を含ませたSF映画に通ずるものを感じたからかもしれない。
さらには、演じた役者の顔ぶれも、見事に一流どころを揃えただけのことはあった。
ジョニー・デップを始めとし、モーガン・フリーマンやクリフトン・コリンズ・JRなど、何も心配はいらない。
その存在だけで作品が良質に思えて来るから不思議だ。

物語は、人工知能が人類を救済するか否か、あるいは神の領域へと踏み込もうとする暴走について語られている。
あらすじはこうだ。


死を間近にしたウィルの傍で、妻のエヴリンは何とかして夫を助けたいと願い、友人であり科学者でもあるマックスの助けも借り、ウィルの頭脳をスーパーコンピューターへインストールした。
ウィルの頭脳が見事、人工知能へとアップロードされたことを喜ぶエヴリンだったが、ネットに接続することで想像をはるかに超える進化をし始めるのだった。

この作品が他のSF映画にはない魅力に包まれているのは、完全なる人工知能に対する否定ではないことだ。
たいていはテクノロジーを否定するような、コンピューターなんか諸悪の根源的である扱いを受けがちなところ、珍しく中立の立場を取っている。
例えば、作中、全盲の男がナノテクノロジーによって、みるみるうちに開眼するシーンなどは感動的だ。
さらには、作品冒頭とラストで、コンピューターがウィルス感染されて使い物にならなくなってしまった時、荒廃した世界が茫々と広がることの恐怖さえ感じさせる。
つまり、この現代社会では、ある程度のテクノロジーが許容され、人工知能と人類とが共存することこそ望ましいとさえ訴えているようでもあるのだ。

主人公であるウィルが目指したものが、人類の救済だとしたら、やり方は無謀だったかもしれないが、間違いではなかったはずだ。
しかし何より、ウィルの意識と自我を持った人工知能が肉体の再生を計り、愛するエヴリンを抱きしめるシーンは最高の純愛だと思った。
人は皆、崇高な理念・目的意識を持ち、世のため人のためと、社会貢献こそ良しとする傾向にあるが、結局のところ、大切な人を抱きしめ、愛を語らい合うことの方がよっぽど重要で切実なことなのだ。
逆に言えば、それなくして人類を救済するテクノロジーなど、幻に過ぎない。


2014年公開
【製作総指揮】クリストファー・ノーラン
【監督】ウォーリー・フィスター
【出演】ジョニー・デップ、レベッカ・ホール、ポール・ベタニー


20130124aisatsu





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最終更新日  2015.03.07 07:05:24
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