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2023.06.10
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カテゴリ: 読書初心者



息子は現代っ子らしく、活字は仕事で仕方なく読んだり書いたりする程度で、好んで本なんか読むタイプではない。そんな読書初心者でも読みやすく、かつ文学への入口に近付ければと思い、企画してみた。
昭和生まれの私の本棚から選んだ小説は、どれも最近のトレンドとはかけ離れている。
だが息子は「それでいいよ、むしろそれがいい」と言ってくれた。ならばと思い、まずは〝あ行〟で始まる作家から3作品を選んでみた。参考になれば幸いだ。



短篇が7作収められている。
カテゴリとしてはいわゆる大衆小説というものだが、さすが直木賞作家の書く世界観はどれもドラマチックで花がある。
代表作に『鉄道員(ぽっぽや)』『壬生義士伝』等があるけれど、我が息子のような初心者には、まず読み切りサイズの短篇から活字を追う訓練をさせたいところだ。なのでまずは『月のしずく』をすすめておく。
※余談だが、我が子がもし息子ではなく娘だったら、赤川次郎の『ヴァージン・ロード』をすすめたかもしれない。
赤川次郎と言えばミステリー作家の代表格のような気もするが、実はこの婚活小説(?)こそ赤川次郎の白眉と言っても差し支えない。




これから夏に向けて、身の毛もよだつような物語が涼しくて良いだろうと思った(笑)
いわゆるホラー小説というカテゴリに入るものだ。とは言え、山本周五郎賞を受賞した完成度の高い怪奇文学である。
文庫本には表題作ほか3作が収められている。
岡山地方の方言で語られる作風となっているが、これがまた恐怖感を煽るから不思議だ。
この小説を読んで『雨月物語』みたいな古典文学に目覚めてくれたら、、、という期待も込めておすすめしたい。



作品のテーマを探るのは難しくても、この小説の世界観に浸って欲しい、、、そういう類の内容である。
私も二十代でこの小説と出合い深い感銘を受けたので、息子にもぜひ読んでもらいたいと思う。純文学へ一歩を踏み出す際、まずはこの小説をおすすめしたい。芥川賞作家の紡ぐ〝文学とは何ぞや〟を知るのに最適な小説なのだ。
映画化もされているが、私としてはだんぜん小説で読む方がいいと思う。繰り返し繰り返し読みたくなる1冊である。

さて、ここまでざっくり紹介させてもらったけれど、これはあくまで母親的立場から考える読書案内である。
当ブログの筆頭管理人は文学部卒で、また違った視点から本の紹介をしてくれるに違いない、、、と思ったところで最後は筆頭管理人の本棚より、読書初心者におすすめする〝あ行〟から始まる作家の作品をいくつかご紹介いただこう!

筆頭管理人です。「あ行」の作家ときたらまず挙げられるのは氏で、紹介するのはやはりこれでしょう!


冒頭のこの一文に魅せられ、阿房列車の読者になったという同輩が数多おります。そして敬愛する新聞記者の乾正人氏もその口ですが、氏は小学6年生の時に阿房列車を読み『それ以降魂を揺さぶられるような作品に出会っていない』といい切ります。
なお、阿房列車は全三巻になりますが、軽妙な文体もあり読了する事は容易です。吟遊さんのご子息にもご一読いただき、百閒先生を倣い大阪に行ってもらいたいものです。

次にこちら。

小生、出家得度の折に再読し、僧〈業行〉に大変感銘を受けました。誠に厄介な小説ですが、あえて若者におススメしたい一冊です。願わくは、一言半句を噛みしめるように読み進められますことを。
以下〈天平の甍〉の白眉を書き写します。
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普照はふと、この老僧は日本へ帰って何をするのであろうかと思った。僧侶としての特殊な資格も持っていなければ、一つの経典に対する特殊な知識も、恐らく持っていないであろうと思われた。帰国の上に約束されているものは何もなかった。 すると、そうしたことを考えていた普照の心の内部を恰(あたか)も見抜きでもしたかの如く、「私の写したあの経典は日本の土を踏むと、自分で歩き出しますよ。私を棄ててどんどん方々へ歩いて行きますよ。多勢の僧侶があれを読み、あれを写し、あれを学ぶ。 仏陀の心が、仏陀の教えが正しく弘まって行く。仏殿は建てられ、あらゆる行事は盛んになる。寺々の荘厳は様式を変え、供物の置き方一つも違って来る」
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なおご参考まで。当ブログでは200冊以上の読書案内を投稿しております。ご覧いただけましたら幸いです。


コチラ から
★吟遊映人『読書案内』 第2弾(100~199)は コチラ から
★吟遊映人『読書案内』 第3弾(200~ )は コチラ から


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最終更新日  2023.06.12 07:32:21
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