2006年12月08日
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# 077

【 前回のおはなし 】

3匹の中で一番 警戒心の強い くつした 。ごはんも食べずに遊んでばかりでしたが、

ふと それは母猫のそばで安心して遊ぶ子猫の姿なのだと気付きました。





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子猫たち にエサをやるようになって数日、少し困ったことになりました。


どうやっても 子猫たち がアパートまで付いてくるようになったのです。


子猫たち がごはんを食べ終え 遊び始めるのを見届けると、隙を見て走って帰るのですが、私たちがいなくなったことに気付くとあわてて追いかけてくるのです。

私たちの姿が見えなくなった後でも、既に私たちが公園の道を挟んだ向かい側へ帰ることを覚えてしまった 子猫たち は、細い道を渡り 狭い通路を通ってアパートの敷地内へ入り込み、私たちが上った階段の下までやって来るとそこからどこへ行ったものかとその場をうろうろとしていました。

階段を上ることを覚え 2階までやって来られると厄介なので、私たちは 3匹 に気付かれないようそっと部屋の中へ入るのですが、そうするとドアの外、階下から 子猫たち の鳴き声が聞こえてくるのです。それは普段の「にゃ~にゃ~」という可愛いものではなく、「ニャーオニャーオ」という母猫を呼ぶようなとても大きな声です。

私たちを探し 呼んでいることは明らかでしたが、今出て行ったところで結局は私たちがここに居ることを分からせてしまうだけなので、私と まる はその声が聞こえなくなるまでいたたまれない気持ちでドアの前にいるだけでした。


No077-002そんなことが数回続くと、やはりアパートの住人の中にも 子猫たち の存在に気付く人が出てきました。

特に1階の人などは窓のすぐ外で鳴かれる訳ですから、否が応でもその声を耳にしてしまいます。窓を開けて見るとそこに小さな 子猫たち がうろうろしている。少しでも猫が好きな人なら、やはり構いたくなるのが当然なのでしょう。

狭いベランダに入り込み、窓枠に前足を掛けて背伸びし、部屋の中から何か食べ物をもらっている風な クロちゃん の姿を時々見かけるようになりました。

別の部屋の玄関ドアが少し開き、そこから中に招き入れられる しっぽ の様子を目にすることもありました。

そして階段の下あたりに、残飯か何か食べ物が入った小さな器が置かれるようになりました。


私は少し困惑しました。
みんなが 子猫たち を可愛がり 世話をするのは 子猫たち にとってありがたいことかもしれませんが、ペット禁止のアパートで堂々と猫を飼うような真似をするのは何かと問題になるのではないかという不安があったのです。中には猫や動物が嫌いな人もいるかも知れません。アパートの清掃に来る人が小皿を見つけて管理会社に連絡するかも知れません。

いや、それ以前に私は  『私たちだけの子猫』 でなくなってしまうことに複雑な思いを抱いていたのです。


夜、私や まる が帰ったときに アパートの脇で 子猫 の声を耳にし、いつものようにチッチッチッチッ…と舌を鳴らして呼んでも、既に別の人に食べ物をもらおうとしている クロちゃん などは寄って来ないこともありました。No077-003

また 3匹 そろっているときでも、いつも食べ物をもらう部屋の窓が開くと クロちゃん しっぽ はそちらへ走って行ってしまうこともありました。

くつした だけはそういう姿を目にすることはなく、相変わらず警戒心は強い様子でした。私たちには随分と馴れて、しゃがむとそばまで寄って来て足元でごはんを食べるようになりました。食べている間、そーっと指で背中をなでると 食べるのに夢中なのかしばらくはそのままなのですが、ふいになでられていることに気付きビクッとして飛びのきます。しかしまたすぐに戻ってきて、今度は耳を背中の方へ向けながら続きを食べるのでした。


公園に置くキャットフードも減るのが遅くなりました。
夜中にカーテンを開けて見ると、別の大きな猫がそれを食べていたりしました。

朝、木に登ったり草の間を飛び跳ねたり いつものように元気に公園を走り回る 3匹 を見ると安心しましたが、それでも 子猫たち の生活の場が公園からアパートへ移りつつあるのではないかと 少し不安に思っていました。


そして、さらに困ったことが起きました。

ある朝、急いで仕事へ向かおうと自転車を出していたとき、何かすごい異臭が鼻を突きました。
なんだろうと臭いをたどると、自転車置き場のすぐ横に1箇所だけコンクリートで舗装されていない場所があり、そこに小さな らしきものが落ちているのです。 子猫たち のいずれかのものに間違いないと思いました。

当たり前のことですが、ごはんを食べれば排泄をするのです。今までは全ての生活の基盤が公園だったため 用を足すのも公園の中だったのでしょうが、この数日アパートの敷地内で食事をすることが多くなり その近くにトイレとなる場所があれば、そこで用を足すのは自然なことでしょう。

これは予想できたことでしたが、実際にそれを目にするまでは 正に 臭いものに蓋をする が如く気にしないようにしてきたことでした。あらためて、私たちの行動による影響を考えさせられ、そしてこれからどうして行くべきなのか考えなくてはならなくなりました。


そんな折、大きな台風が日本に接近し しだいに風と雨が激しくなっていきました。







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はじめましての方





くつした

我が家の箱入娘




* この話の登場人物 *


ネコチビーズ
子猫たち

グレーの尾長「しっぽ」
真っ黒「クロちゃん」
足先だけ白「くつした」




大人その1
人間のオス

○○さん
仮に「まる」とする




大人その2
人間のメス

私(me)
仮に「みー」とする










野良猫・捨て猫の今






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Last updated  2014年09月14日 15時11分06秒
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さくらもち市長

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くーちゃんが生まれ変わって帰ってきたときのこと



「3ヶ月すっとばして、ご報告。」





「会ってからと、初日」






生まれ変わりを待つ日々



「二日で終わったペットロス」





くつしたの体の寿命が突然きた


「夏のこと(ご報告)」





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