inti-solのブログ

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2009.08.09
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テーマ: 戦争反対(1197)
カテゴリ: 戦争と平和
今日8月9日は長崎原爆投下の日です。1945年8月9日午前11時2分、B-29爆撃機「ボックス・カー」から投下された原爆「ファットマン」によって、推定7万数千人が亡くなっています。(被爆数カ月以内の死者のみで)
広島に投下された「リトル・ボーイ」はウラニウム爆弾でしたが、長崎の「ファットマン」はそれとは方式の異なるプルトニウム爆弾で、威力は広島原爆より5割増の22キロトンと推定されています。ただ、長崎の地形が起伏が激しく、放射線や爆風が届かない場所もあったため、広島に比べれば犠牲者が少なくなったようです。
米軍は何故広島だけではなく長崎にも2発目の原爆を落としたのか、それはウラニウム爆弾とプルトニウム爆弾という、方式の異なる2つの原爆の両方ともを実戦で使ってみたかったから、としか考えられません。

それにしても、と思います。太平洋戦争の日本の死者は約300万人と言われています。そして、その大半は戦争の最後の1年で亡くなっています。
敗戦の前月、7月26日に連合軍からはポツダム宣言が発せられていますが、もしも、日本がポツダム宣言を直ちに受け入れて降伏していれば、広島も長崎もなく、旧ソ連の参戦による旧「満洲」の悲劇も、完全にとは言いませんがある程度回避可能だったはずです。敗戦がたった3週間早いだけでも、犠牲者の数は実際より50万人以上も少なくて済んだと思われます。(広島14万、長崎7万、旧満州と戦後のソ連抑留死者合わせて30万以上として)

ところが、日本はこのポツダム宣言を「黙殺」した。黙殺して逆転勝利でもできる可能性があったのかと言えば、1945年7月26日の時点で逆転勝利など、天地がひっくり返ったってあり得ないことは誰の目にも明らかだったでしょう。その明白な事実に目を背け、戦争をずるずると続けていったために、広島に原爆が落ち長崎に原爆が落ち、ソ連が参戦して、やっと戦争が終わったのです。
日本がポツダム宣言を黙殺したのは、そこに「国体護持」が保証されていなかったからです。そして、おどろくべきことに、8月6日、1発目の原爆が広島に投下されてもなお、日本は戦争終結に踏み出そうとはしなかったのです。最高戦争指導会議が戦争終結問題を討議したのは、やっと8月9日になってからです。時間的に言うと、ソ連の対日参戦が分かった時点で、さすがに戦争終結に向けて動き始めた、その会議の途中で長崎への2発目の原爆投下の報が飛び込んできた、ということです。

つまり、この経過から分かることは、最高戦争指導会議の面々(首相・外相・陸軍大臣・海軍大臣・陸軍参謀総長・海軍軍令部総長)にとって、原爆よりソ連の対日参戦の方が遙かに戦争終結への強い動機になった、ということです。
理由はおそらく二つあります。一つは、日ソ中立条約の存在によってソ連が攻めてくるとは思っていなかった、それどころかソ連に対して和平仲介を依頼するような「空気読めない」行動を、その直前まで日本側は行っていたのです。冷静に経過を見れば、ソ連の対日参戦は絶対確実と言っていい情勢だったのに、そのことに気が付かなかった。いや、気が付かないフリをしていたという方がおそらく正確でしょうが。その「思わぬ相手」から攻められて動揺したということ。

だいたい、「国体」が相容れないからと徹頭徹尾敵視してきた国に対して和平仲介をすがろうという時点で、すでに支離滅裂、まともな論理などありはしません。すがれるものなら何でもすがろうと、浮き石にしがみついたようなものです。

いずれにしても、明らかなのは、敗戦の時点でさえ、最高戦争指導会議は「国体」(天皇制)を守ることばかりを優先し、国民の命を守ることは二の次だった、ということです。8月10日、日本はついにポツダム宣言受諾を決めますが、その時点でもなお、「国体護持を条件にポツダム宣言を受諾」などと連合国側に打電しているのです。もしも「国体護持まかりならぬ」という返電だったら、日本軍はそれでもまだ戦うつもりだったのでしょうか。

ことは必ずしも天皇制に限らないかも知れません。ある思想を人の命よりも重視しようという考え方の行き着く果てには、このような悲惨な結末が待っている、ということなのだと思います。思想に自分の命を賭けることは立派です、しかし他人の命を賭ける(賭けさせる)ことは最低最悪の行為と言わざるを得ないでしょう。





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最終更新日  2009.08.09 13:39:11
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