inti-solのブログ

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2009.08.12
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テーマ: 戦争反対(1197)
カテゴリ: 戦争と平和
前回の日記に続き、特攻隊についての話です。

それはともかく、このレイテ沖海戦の段階では、特攻はかなりの戦果を上げます。
菊水隊と朝日隊(特攻4機・直掩4機)護衛空母2隻に損傷
敷島隊(特攻5機・直掩4機)護衛空母1隻撃沈
たった10機の戦果としては破格のものといえます。

がしかし、特攻という戦法が威力を発揮したのは、実はこのときだけだったとも言えるのです。レイテでたった10機で護衛空母を1隻撃沈した後、敗戦までに総計2000機以上の特攻機が出撃し、3000人以上の搭乗員が戦死しましたが、護衛空母はあと2隻撃沈しただけに留まりました。ちなみに、護衛空母というのは商船を改造したり、その設計図を流用して大量に建造された小型・低速・低防御の空母です。米軍は、これを第二次大戦に100隻以上も投入しました。そのうちのたった3隻を撃沈しただけなのです。
そして、巡洋艦・戦艦・正規空母などの大型艦は1隻も撃沈できませんでした。
結局、2000機以上も特攻作戦に投入して、撃沈した艦船は、全部で40隻ほどに過ぎませんでした。


米軍が対処方法を確立し、パイロットの技量が低下した沖縄戦の段階では、特攻の成功率は惨憺たるものだったようです。
パイロットの技量が低下してきたから特攻という「統率の外道」の作戦を採ったのだけど、特攻でもやっぱりパイロットの技量が高くないと成功しないのです。矛盾です。
しかも、通常の戦法なら、撃墜されなければ何度でも出撃できますが、特攻は一度の攻撃で飛行機も搭乗員も確実に失われます。(もっとも、戦争末期には通常の攻撃法でも撃墜される確率は非常に高くなっていましたが)

そして他にも特攻には欠点がありました。それは爆弾の威力を殺ぐ攻撃法だということです。飛行機に爆弾を抱えて体当たりというと、何となく爆弾単独より威力がありそうな気がします。しかし実際には違うのです。(条件にもよりますが)
まず、爆弾の落下速度が低いという問題がありました。当時のプロペラ機は、どんなに猛然と急降下しても、爆弾の落下する速度に追いつくことはできませんでした。だから、爆弾を投下する高度が高い方が、爆弾の落下速度が速く、威力があったのです。当然、爆弾を抱えたままの体当たりは、もっとも落下速度の遅い攻撃法でした。
更に、飛行機の柔らかい機体そのものも、爆弾の威力を殺ぎました。爆弾は野球のボールみたいなもの、飛行機はグローブのようなものと考えると分かりやすいでしょう。時速150kmの剛速球を人に向かって投げつけたら、大けがをする可能性があります。しかし、ボールを縛り付けたグローブを時速150kmで投げつけても、それほど危険ではないでしょう。同じことが爆弾を抱えたままの体当たり攻撃にも言えるのです。

それに何より、レイテ沖海戦の敗北以降、日本の敗北はもはや動かしようのない状況となっていました。もはや覆しようもない敗戦を、ただ先延ばしするために多くの搭乗員が命を落としていったのです。人の命を無駄に奪ったと言われても仕方がないでしょう。

前回の日記で、特攻を巡る源田実の言動を紹介しましたが、これを上回る素晴らしい行動を起こした者が、陸軍にいます。富永恭次中将です。彼はフィリピン戦で、「最後の出撃で本官も特攻する」と訓示しては特攻隊を出撃させていきました。(もっとも、その訓示は、時には酒を飲みながらだったようですが)そして、いよいよフィリピンの失陥が確定的になったとき、彼は日頃の訓辞のように特攻出撃するのではなく、輸送機を仕立てて台湾に逃げてしまった。しかも、そのときの積み荷は芸者と酒類だったというのです。まさしく敵前逃亡ですが、彼は軍法会議にすらかけられていません。中将という立場の人間は、敵前逃亡すら不問に付されるのが旧日本軍だったわけです。





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最終更新日  2009.08.13 00:05:40
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