inti-solのブログ

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2011.04.24
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カテゴリ: 音楽
フォルクローレと一口に言っても、実は様々な音楽があるので、一口にはくくれないのですが、世界的に見て(日本でも)もっとも知名度の高いボリビア系のアンデス・フォルクローレの場合、使われる楽器は管楽器のケーナ・サンポーニャ、弦楽器のギター(クラシックギター)・チャランゴ、打楽器のボンボ(太鼓)、だいたいこの5種類が中心です。

で、最後に残るのはボンボとギターということになるわけです。特にギターは、なかなか人がいません。何故って、「ケーナの音色が好きだからフォルクローレを始めました」という人はいても、「ギターがかっこいいからフォルクローレを始めました」という人はあまりいないじゃないですか。正直言って、私もそうなのです。

ところが、では実際にフォルクローレの演奏で何が一番重要かというと、実はボンボ(太鼓)とギターなのです。どちらもリズムの要だからです。特に重要なのはギターです。他の楽器がなくてもギターさえあればフォルクローレは成り立ちますが、ギターがなかったら音楽として成り立ちません。※

※あくまでも、現代的なスタイルのフォルクローレの場合です。古いスタイルでは、ギターのない音楽も存在します。

というわけで、日本のアマチュア・フォルクローレ界では恒常的にギターの人材が足りない。私がキラ・ウィルカというグループに参加した一番最初の担当はボンボと笛だったのですが、途中からギターのおおさかさんが休業→復帰→休業→復帰→休業と繰り返したため、私の担当楽器も笛→ギター→笛→ギター→笛→ギターと、行ったり来たりしています。この間、他にギター奏者はいないかと思ったのですが、前述のような事情で、なかなか見つからないのです。上手いギター奏者は、すでにグループをいくつも掛け持ちしていたり、仕事が忙しかったり。一時期、関西在住の助っ人(ギターも弾ける)に参加してもらったことがあるのですが、長続きはしませんでした。関西からずっと東京に通い続けてもらうわけにはいきませんからねえ。

もっとも、そのおかげで私も随分ギターの練習をしたから、腕前が多少回復しましたが。(ギターをまったく弾かない時期が数年続いたので、一時はかなり下手になっていました)
まあ、「腕前が回復した」と言っても、ストロークとアルペジオ、簡単なベースラインしか弾けない「なんちゃってギタリスト」なんですけれどね。
ただし、フォルクローレの伴奏ギターにとって、絶対必要なのはストローク。それさえできれば、最低限伴奏者としての役割は果たせます。難しいフレーズはチャランゴに弾いてもらえば何とかなる。(いしのさんのチャランゴはメチャクチャ上手いし)

彼女のギターの腕前は、明らかに私より上手い。私には弾けない難しいフレーズがちゃんと弾ける。ただ、練習に参加した当初は、音量が圧倒的に少なかった。私は、ギターの腕前はないけれど、音量だけは自信ありなのです。フォルクローレの楽器の中で、ギターはもっとも音量の小さい楽器です。ケーナの3オクターブの爆音に負けないためには、とにかく強く弾くしかない。私は、長年フォルクローレの伴奏ばかりやってきたおかげで、音だけはでかい。おかげで左手人差し指は時々爪が剥がれるんですけどね。実は、私のギターそのものも、彼女のギターと比べると弦長が長くて音量が出ます。
しかし、1年一緒に練習したら、彼女のギターも見違えるほど音量を増しました。先日のライブの時は、充分な音量が出ていたと思います。

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ところで、フォルクローレのギター・ストロークというのはギターの弾き方としてかなり特殊な部類に入るかもしれません。何が特殊かというと、カッティングを多用するところです。カッティングができないとフォルクローレのギターは弾けません。

具体的にどういう音かというと、ま、まずは実例から。
手前みそで恐縮ですが、私が弾いているギターの例から。

ギターは冒頭部分と間奏から後半途中までにしか映っていませんが、ギターの音はずっと入っているので、どんな音かは分かると思います。このリズム(クエッカといいます)を譜面にすると↓のようになります。
クエッカのリズム譜面
下段のチャランゴのリズムはとりあえず無視して、上段のギターのリズムの×のついている部分に使われている音、カットコトンカットントンという「カッ」の部分の音がそれです。

私は、ギターを弾き始めた頃(20台前半)、周囲にフォルクローレを演奏する知り合いが1人もいなかったので、カッティングの音が、どうやって出しているのか、どうしても分からなかったのです。ああでもない、こうでもないと試行錯誤したのですが、さっぱり分からない。それがカッティングという奏法であること自体に気がついていませんでした。
というのは、一般的なギターの教則本には、カッティングとは弦の振動をとめて音を消すことだと書いてあるのですが(当時私が持っていた教則本にもそう書いてあった)、フォルクローレのカッティングはそれとはかなり違うのです。実際のところ「カッティング」という言葉であの奏法を表現するのが正しいのかどうかは私には分かりません。ただ、より正しい他の表現も存在しないと思うので。

だから、私がフォルクローレの仲間と知り合ったとき、真っ先に聞いたのは、「ギターのあの音はどうやって出しているんでしょうか」ということでした。知ってみれば、ある意味簡単なことだったのですが。

弦に親指の付け根を当てている時間が長ければ、教則本どおりの「音の消えるカッティング」に近くなりますが、そのあたりは微妙なタイミングです。

私の演奏は真正面から撮影しているので、指の動きが分かりにくいので、他の動画で指の動きが分かりやすいものを探してみました。


カッティングが分かりやすいのは、前奏と間奏の、それぞれ最後の方だけですけれど。このリズムはアルゼンチンサンバといって、リズムを譜面にすると下記のようになります。
アルゼンチンサンバのリズム譜面
やはり、×のところにカッティングが入っています。1小節に1回だけです。

次はもっと分かりやすい映像。アルゼンチンのチャカレーラというリズムですが、教則用ビデオとして撮影したもののようです。



このリズムを譜面にすると、以下のようになります。(先と同様、×のところがカッティング)
アルゼンチンサンバのリズム譜面
(弾き方のバリエーションが幅広いので、これは一例です)

このカッティングができれば、フォルクローレのギターは弾けたも同然(えっっっっ)

さあ、あなたも是非フォルクローレのギターを弾いてみませんか・・・・・・

参考までに、フォルクローレで使われギターはクラシックギターです。「フォルクローレ」という名前から、まれにフォークギターを使うと思う人もいるようですので念のため。クラシックギターは、更にフラメンコ用と(狭義の)クラシック用に分かれますが、一般的にフラメンコギターはフォルクローレには合いません。フラメンコギターは高音が重視されますが、フォルクローレのギターは低音の響きが求められるからです。





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最終更新日  2011.04.24 21:53:04
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