inti-solのブログ

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2011.08.24
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カテゴリ: 災害
少し前の記事ですが
高線量地域の国有化検討 「警戒区域」長期化も 福島原発

菅直人首相は27日にも現地入りし、今後の見通しや避難生活が長期化する住民への支援策をめぐり、地元自治体に直接説明したい考え。首相の現地入りは後継を選ぶ民主党代表選の日程や地元自治体の意向を踏まえて調整を進めている。
解除を見送る具体的な地域は、今後の放射線モニタリングなどの結果を見極めて決める。
政府は、来年1月までを期限とするステップ2により、放射性物質の放出が厳しく管理された段階で警戒区域の解除検討を始めるとしていた。
しかし、19日に文部科学省が公表した警戒区域内50地点の震災発生から1年間の積算被ばく線量(屋外で8時間、屋内で16時間過ごしたと仮定)の推計値は、原発のある福島県大熊町内などで極めて高い数値だった。
最も高いのは第1原発の西南西3キロの大熊町小入野で508ミリシーベルトと、緊急時でも20~100ミリシーベルトを超えないよう求めた国際放射線防護委員会勧告の上限の5倍に達した。また大熊町夫沢で393ミリシーベルト、同町熊川と浪江町川房で200ミリシーベルト超。50地点のうち、15地点で100ミリシーベルトを超えた。
こうしたことから、政府は警戒区域見直しを進める場合も、一部地域は対象外とせざるを得ないと判断した。
警戒区域のほか、20キロ圏外に「計画的避難区域」と「緊急時避難準備区域」を設定。緊急時避難準備区域は9月上旬にも解除の見通しとなっているほか、警戒区域のうち双葉町と大熊町にある3キロ圏内について、それぞれ8月26日と9月1日に初の一時帰宅を実施する方針を示している。

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やっぱりね、と思いました。事故の後すぐ、菅首相が原発周辺を「長期にわたって人が住めない」と言い、批判を浴びて「自分はそんなことを言っていない」と逃げたことがありました。あれは、おそらく菅首相自身が言ったことなのだろうと思うし、また歴然たる事実だとも思っていました。なぜそのことをきちんと説明せず、「言っていない」などと逃げを打ったのかは分かりませんが、案の定そのとおりになってしまいました。

年間被曝量が500ミリシーベルトというのは、とてつもない数字と言わざるを得ません。 少し前の記事 で、年間20ミリシーベルトの被曝による発ガンリスクについて書いたことがありますが、年間500ミリシーベルトはその25倍です。1万人・ミリシーベルトに1人の発ガンという大雑把な計算式に当てはめてみると、1年そこに住めば、20人に1人が発ガンする、ということになります。子どもなら5人に1人。つまりそんなところに5年も住み続ければ、子どものほとんどが将来発ガンする、ということです。逆に、50歳以上ならば、そんなところでもあまり死者は出ないかも知れませんが。
記事には放射性物質の名前は出ていませんが、現在でも残っている放射性物質は 大半がセシウム137 と思われます。(訂正、末尾参照)半減期は30年ですから、容易には減りません。全量がセシウム137だとすると、単純計算で、現在500ミリシーベルトの放射線量は、120年経ってもなお30ミリシーベルトが残っていることになります。実際には風雨に流されるため、もっと減るでしょうが。
1986年のチェルノブイリ事故では、25年経過した現在もなお、3700平方キロが立入禁止となっています。500ミリシーベルトの汚染地域は、チェルノブイリと同様で、今から25年後にはまだ立入禁止の状態が続いている可能性が高いでしょう。もちろん、立入禁止の面積はチェルノブイリよりはずっと狭くなるとは思いますが。ただ、記事にある地名を調べると、大熊町夫沢と熊川というのは原発から3キロ圏内なのですが、200ミリシーベルトの浪江町川房は20キロ近く離れているのです。年間200ミリシーベルトだって、とてもじゃないけれど人間の住める場所でありません。つまり、数十年にわたる立入禁止地域は、チェルノブイリよりはずっと狭いとは言え、かなり広範囲に及ぶ可能性があります。

このことについて、地元自治体の反発もあるようです。それはもちろん、住む場所を奪われた地元の人々の怒りは分かるのですが、かといってどうしようもないことです。さすがに年間200ミリシーベルトだの500ミリシーベルトなどというところでは、手の施しようがありません。除染作業といったって、仮に放射線量を10分の1にできたとしてもなお、20ミリシーベルトですよ。依然として人が長期居住できる環境にはなりません。だいたい、除染作業を誰がやるのか。先の記事で、20ミリシーベルトの汚染地域といえども、短期滞在なら神経をとがらせることはないと書きました。だけど、さすがに500ミリシーベルトとなったら、短期の滞在といえども神経をとがらせざるを得ません。除染作業が1時間や2時間で終わるものならまだしも、人家とその周辺、道路の除染に一体どれだけの時間がかかるかと考えたら、誰もそんな作業は出来ないことが分かるはずです。原発で命がけの作業を継続している作業員を引きはがして、周辺地域の除染に当たらせますか?できるわけがありませんね、そんなこと。



もっとも、別の選択肢もあります。どんな危険があろうが無視して、立入禁止を解除してしまう、という。そこに住民が帰ったとしても、「ただちに」は健康被害は生じないでしょうから。ただし、5年後10年後になって「しまった」と思っても、もう手遅れですが。

訂正・追記
本文に「現在でも残っている放射性物質は大半がセシウム137」と書きましたが、誤りのようです。 朝日新聞の報道 によると、実際は、セシウム137と、半減期が2年のセシウム134がほぼ半々だそうです。つまり、単純計算すると、2年後にはセシウム134が半減、セシウム137は1~2割の減で、併せると事故直後の7割くらいという計算になります。なお、本文中に「実際には風雨に流されるため、もっと減るでしょうが。」と書きましたが、それも計算に入れた試算値によると、2年後の放射線量(除染なし)は、4割減だそうです。2年で4割減ではね、500ミリシーベルトが300ミリシーベルトに、200ミリシーベルトが120ミリシーベルトに変わるだけ。とても人が住める状態ではない、ということに違いはないようです。





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最終更新日  2011.08.25 21:46:54
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