inti-solのブログ

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2011.09.19
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テーマ: 戦争反対(1197)
カテゴリ: 戦争と平和
同時テロ10年
一貫して「産・読」VS「朝・毎」 産経は安保環境悪化に言及


米国に対して厳しい目を向けたのは朝日、毎日、東京の3紙である。朝日は「米国が力を過信し、その価値観を世界に押しつけようとした10年は失敗」と総括し、当時の小泉純一郎首相がイラク戦争を支持したことについても「『米国追随』という反発を日本国内に呼んだ」と批判的に評した。
毎日も「『大量破壊兵器の脅威』を大義名分としてイラク戦争に突入したのは、返す返すも短慮だった」とし、東京も「宗教国家とも見紛(みまご)う単独主義的行動」だったと断じた。
逆に、対テロ戦争に理解を示したのが産経と読売だ。両紙は多大の犠牲が払われた点にも言及したうえで、武力行使は必要であるとの論陣を張る。
(中略)
「(日本には)対テロ戦を主導する米国の負担を軽減する役割がある」とした産経は、日本周辺の安全保障環境の悪化を挙げ「アジアで米軍が存在感を維持することは、日本の国益そのものである」と同盟強化の重要性を強調する。
同時テロの犠牲者約3千人の中に日本人24人が含まれていたことに触れたのは産経だけだった。「9・11」直後の9月20日付で産経が「主張」に書いたように、わが国は紛れもなく「24人の生命が失われたテロの直接当事国」なのである。この基本認識さえあれば、米とともに戦う日本を「米国追随」と批判するなど、全くの見当外れであることが分かるはずだが。

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途中までは、産経には珍しく「客観的比較」に徹しているなと思いきや、やっぱり最後はやっぱり産経。お決まりの結論という奴です。

犠牲者に日本人が含まれていたから、テロの直接当事国である、と。そこまではまあいいでしょう。しかし、だから日本は米国とともに戦え、「米国追随」などと批判するな、というのは、それこそ「全くの見当外れ」の結論としか思えません。
同時多発テロの犠牲者の国籍は多岐にわたっています。うろ覚えですが、確かイスラエルに支配される東エルサレム出身のパレスチナ人の犠牲者もいた、と当時報道されていた記憶があります。イスラム圏に属するパキスタンやレバノン、エジプトといった国々の出身者もいました。これらの国々に対しても、「テロの直接当事国だから米国とともに戦え」と言うのでしょうか。産経なら大まじめにそう主張しそうですが、鼻で笑われるだけのことでしょう。

「対テロ戦」と称する戦争を仕掛けることがテロを根絶するための有効な手段ではないことは、同時多発テロ以降の10年間を見れば明らかでしょう。
2001年アフガニスタン、2003年イラクと、米国(の主導する多国籍軍)は立て続けに戦争を仕掛けたけれど、それによってテロはなくなりましたか?
明らかになくなっていません。それどころか、むしろ以前より状況は悪くなっている。

そもそも、アフガニスタン(タリバン政権)はともかく、イラクは同時多発テロとは関係なく、米軍の侵攻は根拠のない言いがかりに基づくものでしかありませんでした。もちろん、サダム・フセインは恐怖政治を行う独裁者ではあったけれど、同時にイラクという国を統一して、近代国家としての体裁を整えた立役者でもあります。イスラム原理主義はフセインにとっても敵でした。だからこそ、隣国イランでイスラム原理主義のホメイニ政権が出来たとき、フセインはそのイランに戦争を仕掛けたのです。当時は欧米諸国も、フセインが残酷な独裁者であることを知りながら、イラクを公然と援助していました。
フセイン政権は凶悪でも、いや凶悪だからこそ、もっと凶悪(欧米諸国から見て、です)なイランやイスラム原理主義勢力を押さえ込む役に立つと、欧米諸国は考えたのでしょう。いわば毒を以て毒を制そうとしたわけです。

米国にとっての敵であるはずのイスラム原理主義勢力も、フセイン時代より勢力を伸ばしている。現在、イラクは数年前の最悪の状態は脱していると言われますが、テロの横行が止まったわけではありません。

当の米国民自身が、このようなイラク戦争は失敗だったと痛感したからこそ、イラク戦争開戦当時、この戦争に反対したバラク・オバマを大統領に選んだわけです。(大統領になって以降のオバマの政策には疑問が多いですが)

アフガニスタンも状況は同じです。米軍侵攻によってイスラム原理主義勢力タリバンは政権を追われたけれど、それに代わって米軍の後押しで政権に就いたカルザイ大統領が実効支配しているのは首都カブールだけ。戦国時代の足利幕府のようなものです。
オバマ政権は米軍はイラクからは撤退を進めており、そのおかげでイラクでの米軍の戦死者はどんどん減っていますが、そのかわりアフガニスタンでは戦死者がどんどん増えている。

いつまで続くぬかるみぞ、です。10年戦争を続けて、フセインを殺した、ザルカウィも殺した、ビン・ラディンも殺した、でも戦争は終わらない。いつ終わるんですか?50年後ですか100年後ですか、それとも世界中から500万人くらいの部隊を送り込めば戦争が終わるんですか?どれだけの犠牲者を出せば済むんですか?現段階でも戦費は天文学的な額ですが、更にどれだけの金額を注ぎ込むつもりですか?そのときには別の国に「テロの温床」が生まれているんじゃないかと思うのですが、そのときはどうするんですか?また戦争するんですか?

前述のとおり、かつて30年前の欧米諸国(旧ソ連も含む)は、フセインという残酷な独裁者を利用し、その武力でイスラム原理主義という敵を打倒しようとしました。しかしイラン・イラク戦争は、長い戦いの後引き分けに終わり、イスラム原理主義を打倒することは出来ませんでした。次は、欧米諸国自らの武力で、かつて利用したフセインもろともイスラム原理主義勢力を打倒しようとした。しかし、それもやっぱり成功していない。
つまり、武力によってテロを撲滅することはできないということです。
起こってしまった戦争は、元に戻すことは出来ません。しかし、今後二度と同じ失敗を繰り返さないことはできる。しかし、産経新聞は(読売新聞も?)同じ失敗を今後も続けろと、その失敗に日本も協力し続けろと言っているわけです。産経は、やたらと「反日」という言葉を投げつけることを好む新聞ですが、産経新聞の言っていることの方が、どう考えてもよほど「反日」です。





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最終更新日  2011.09.19 10:49:41
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