inti-solのブログ

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2012.05.16
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カテゴリ: 災害
昨年の3月11日までは好感を持って読んでいた、あるブログがあります。コメントを投稿したことはなかったのですが、頻繁に見ていました。
そのブログの名を 「非国民通信」 と言います。
しかし、残念ながら去年の3月11日以降、このブログは原発大賛成を主張し始め、私の考えとは決定的に相容れなくなりました。
主義主張は人それぞれだし、「原発は必要だ」というのはそれはそれで一つの意見ではあるので、黙ってみていたのですが、ついには「年間100ミリシーベルト未満の緩慢な被曝の影響」は「ほぼ0」とまで言い出すに及んで、私はこのブログにはじめてコメントを書きました。

元になった記事はこちらです。
確実なことは分からなくても、だいたいのことは分かるのに

これに対して、私は以下のようなコメントを投稿しました。

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果たしてそうか (inti-sol)

100ミリシーベルト以下の被曝による健康被害はよく分かっていないというのは、「ほぼ0だから」ではなく、放射能の影響を何年何十年にもわたって追跡調査することが非常に困難だからです。その困難な調査をやった広島の放射能影響研究所は、これ以下の被曝量なら健康被害はないという「閾値」は存在しないとしています。

で、100ミリシーベルトでガンによる死亡率は0.5%上昇すると、被曝量がそれ以下なら発ガン率も0.5%以下なのは確かです。でも、「だからたいしたことはない」とは言えません。
日本人の5割はガンで死にますが、一般に発ガン率は年齢が上がるほど高くなる。多くの人がガンになるのは70代80代のなってからのことです。若い人はあまりガンにならない。小児ガンの発生率は年間で1万人に1人程度です。
しかし被曝による発ガン率は、若いほど大きい。100ミリシーベルトで0.5%というのは、全年齢層の平均値で、乳幼児の場合はその3~4倍と言われます。つまり、1.5%から2%ということです。20ミリシーベルトとすれば、その5分の1。先の小児ガンの発生率年間0.01%と比べて、相当の高率です。
逆に50代以上は被曝による発ガン率は大幅に下がるので、50歳以上ならあまり気にすることはないかもしれません。

小佐古敏荘内閣官房参与は、原発を推進する立場に立っている人ですが、学校の校庭利用基準を年間20ミリシーベルトにすることについて、「この数値を、乳児・幼児・小学生にまで求めることは、学問上の見地からのみならず・・・私は受け入れることができません。(中略)自分の子どもにそういう目に遭わせるかといったら絶対嫌です」と言って辞任しています。

確かに、ICRPの基準(年間1ミリシーベルト)をちょっとでも超えたら危険、というのはどうかと私も思います。年間1ミリシーベルトや2ミリシーベルトまで神経質になっても仕方がないと思います。だからといって100ミリシーベルト以下は「ほとんど0」という言い方は、逆に無神経そのものです。
だいたい、それが通用するものなら、放射線管理区域なんて規制はそもそもいらないし、原発の厳重な防護もいらないという話になります。だけど、世界にそんな甘い放射能の基準を定めている国はありません。
100ミリシーベルト以下でも被曝量に比例して健康被害があるだろうというのがICRPの見解であり、放射線防護に関して世界各国はICRPの基準に基づいて法律や制度を定めています。
私は医学の専門家でも放射線の専門家でもないけど、ICRPの見解と「100ミリシーベルト以下は(ほぼ)安全だ」と主張している人たちと、どちらを信用するかと言えば、現段階では前者ですね。

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Unknown (非国民通信管理人)

>inti-solさん

小佐古敏荘氏はある種の人々から熱烈に歓迎されましたが、言っていることは支離滅裂で、あれを鵜呑みにする人がいたら良識を疑われる代物だったのではないでしょうか。学問上の見地等ではなく、単なるヒステリーでしかないわけで、ああいう情緒不安定な人を起用していた行政サイドは大いに非難されるべきなのでしょうけれど、発言の内容は全く信用できないものです。少なくとも、小佐古氏の発言にツッコミの一つも入れられないとしたら不勉強が過ぎるかと。

また「閾値」は存在しなくとも、それは「0ではない」ことを意味するのみで、「0と大差ない」ことを否定するものではありません。それは本文で説明してありますしICRPの見解からも導けることですが、お読みになりましたか? そもそも生涯にわたる死亡リスクを、小児ガンとのみ限定して比較することがおかしい、比較は条件を揃えないと意味がありません。まぁ、放射線の影響を大きく見せかけて脅威を煽るためには、そういう誤魔化しをする必要があるのは分かりますがね。小児ガンさえ避けられれば不老不死のミュータントであるのならいざ知らず、子供は我々と同じ普通の人間なのですよ。

それから放射線の基準も、必要以上に厳しく定めているのは、その影響を考慮してではなく「そこまで下げることに無理がないから」です。だから、原発直後など非常時には基準値を引き上げることが認められているわけで、その程度のことぐらい原発事故を経験した国の人間なら当然、知っておいて欲しいものです。ICRPとECRRを混同していませんか? ECRR説に立つなら、inti-solさんの見解が正しいのでしょうけれど……

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ここまでは、リンク先のコメント欄に記載されているとおりです。
それに対して、私はさらにコメントを投稿したのですが、残念ながらそれ以上の対話はとぎれてしまいました。私のコメントは公開されなかったのです。私とこれ以上対話する気はない、ということなのでしょう。「非国民通信」氏がどのようなコメントを許容するのも氏の自由裁量ですから、それは仕方がありません。ただ、せっかく書いたコメントがもったいないので、この場に記録として残しておこうと思います。

なお、タイトルはバックアップを取っていなかったので改めて付けたことと、計算間違いの数値があったので修正したことをお断りしておきます。

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算術的真実

> そもそも生涯にわたる死亡リスクを、小児ガンとのみ限定して比較することがおかしい、比較は条件を揃えないと意味がありません。

「生涯にわたる死亡リスク」は100%に決まっています。この世に不死の人間はいませんから。だけど、80歳で死んでも20歳で死んでも同じというわけにはいかないのです。

日本人の年齢別死亡率の統計があります。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai05/kekka3.html

4歳以下の死亡率は年間10万人あたり73.5人、5歳から14歳までは10人前後です。それ以降死亡率は次第に上がりますが、20歳までの累計で死亡率は約0.6%、30歳まで1.1%、40歳まで1.8%です。1000人の新生児が、おぎゃあと生まれて、40歳までに死ぬ人は18人ということです。
一方、被曝によるガン発生率はどうか。100ミリシーベルトの被曝でガン発生率は0.5%増えるということですが、もっと多いという説もあります。とりあえずはあなたの主張どおりの数値を採用しましょう。
年間20ミリシーベルトならガン発生率は5分の1の0.1%、ではありません。セシウム137の半減期は30年、その後も放射能汚染は長く続きます。累計の放射線量は最初の年の10倍を超えるでしょう。とりあえず10倍として年間20ミリシーベルトは累計では200ミリシーベルト、ガン発生率は1%になります。子どもに限定すれば3~4%に達します。
もちろん、ガンになったから全員が確実に死ぬわけではありませんが、いったん治癒したとしても、ガンはその後の人生にきわめて大きな影響を与えます。

この数値をどう見るかは、それぞれの主観ではあるでしょうが、私は相当に高い数字だと思います。少なくとも、自分の子どもをそんなリスクのある場所に永続的に住まわせたいとは思いません。(短期の滞在ならいいですが)

> その影響を考慮してではなく「そこまで下げることに無理がないから」です。

ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考えのどこを見ても、そんなことは書かれていません。
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-04-01-08

> 原発直後など非常時には基準値を引き上げることが認められている

それは知っています。しかし、それは引き上げても問題ないからではなく、守れない基準では意味がないから、例外的やむを得ない措置として、ということでしょう。「直後」はともかく、その後も半永久的に引き上げっぱなしでよいはずがありません。
先のコメントを繰り返しますが、私も年間1ミリシーベルトをちょっとでも超えたら直ちに危険とは思いません。だからといって100ミリシーベルト以下なら0と同じという意見が正しいとは、まったく思えないということです。

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他にもう一つ、 こちらの記事 にもコメントを書いたのですが、こちらも公開されませんでした。バックアップを取っていなかったのですが、おおむねの趣旨としては、元記事の

東京電力管内の場合ですが、昨年の夏、大口利用者の電力需要(ピーク時)は29%、小口は19%それぞれ減ったものの、家庭は6%減にとどまったそうです。「節電すれば大丈夫」と豪語しつつも、実際は節電ごっこに励むだけの家庭レベルでは何もできていなかった一方で、大口利用者が相当な無理をしたであろうことが窺われます。(中略)
なにはともあれ、大口利用者はピーク時の使用電力を大幅に削減しました。景気の低迷も影響したことでしょうけれど、単に「シフトさせた」部分も少なくありません。つまり、電気を大量に使う工場の操業を、平日の昼間から土日や夜間に移したわけです。


という部分に対して、休日シフトによる節電の効果は100万キロワット(「非国民通信」氏が「節電ごっこに励むだけの家庭レベルでは何もできていなかった」と言い放つ一般家庭の節電幅と同じ)でしかなかったことを指摘する内容でした。まあ、非国民通信氏にとっては見たくないコメントだったのでしょう。仕方がありませんね。





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最終更新日  2012.05.17 00:44:54
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