inti-solのブログ

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2012.08.06
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カテゴリ: 災害
災害対策基本法 非常時の私権制限は必要


報告はまず「災害から国民と国を守ることは政治の究極の責任」とし、「『国難』ともいうべき大規模災害を意識する」姿勢を国に求めた。これも大切な提言だ。
私権の制限は「国家的な緊急事態への対応のあり方」の項で言及されている。現行の災害対策基本法が緊急措置について、生活必需品の配給制限や債務の支払い猶予など経済的な対応に限っている点を指摘し、「帰宅困難者対策や治安維持」などの観点から範囲の拡大を検討すべきだとした。
例えば、首都直下大地震の場合、救助・消火活動の妨げになる道路や駅の混雑を防ぐため、帰宅困難者を職場に強制的に待機させる緊急措置も必要になろう。
報告は、現行の災対法で、緊急措置のための政令を制定できる条件が、国会閉会中か衆院解散中などの場合に限定されている問題点も指摘し、再検討を求めた。
東日本大震災では、野党側から災対法に基づく緊急措置と首相の緊急事態布告を求める声が上がった。ところが当時の菅直人政権は国会開会中などを理由に見送り、生活必需品の配給制限などの緊急措置すら実施しなかった。
このため、被災地ではガソリンや医薬品が不足し、救援活動に支障が出る事態が生じた。菅政権の判断ミスに加え、災対法自体に使いにくい面があったことも事実だ。災対法の改正が急がれる。
また、現行憲法も非常時については、衆院解散中の参院の緊急集会の規定(54条)しかない。非常事対処の規定がないに等しい憲法は、世界でも皆無に近い。
大規模災害だけでなく、カルト集団や外国工作員らによる国家テロなどに備えるためにも、憲法を中心とする非常時の法体系全体を抜本的に見直す必要がある。

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どこの新聞の社説かは、あえて説明するまでもないでしょうが、産経新聞です。
どこまでも、人権に制限を設けることを好む新聞です。もっとも、これは産経新聞だけの問題ではなく、国の中央防災会議まで同じことを言っているのですが。

確かに、大規模災害の発生時は、平時とは違った行動原理を要求されることは事実です。しかし、それを国民に強要しろというのはどんなものでしょう。
たとえば、私権制限の具体的内容としてこんなことが書かれています。
「救助・消火活動の妨げになる道路や駅の混雑を防ぐため、帰宅困難者を職場に強制的に待機させる緊急措置も必要になろう」(中央防災会議も 同じことを言っている
私自身は、仕事の関係上震災の日は家には帰れませんでしたし、今後も今の仕事をしている限り、同種の大規模災害が生じた場合は帰宅するわけにはいかないでしょう。ただ、もし帰る気であれば、通常時なら徒歩(早足)で2時間あまりで帰れます。徒歩帰宅者で道路が埋まっていればもっと時間はかかるでしょうが、私にとっては、徒歩で帰宅することに特に問題のある距離ではありません(道路などが通行不能になっている場合は、話が違いますが)。

ひとくちに帰宅困難者といっても、その「困難度」は人により千差万別ですし、帰宅したい事情や切実さも千差万別です。もし家族に万が一のことがあったとしたら、多くの人が、矢も楯もたまらず家に帰ろうとするでしょう。多分、私自身もそうです。


「生活必需品の配給制限などの緊急措置すら実施しなかった。」ともありますが、これもまた当然の判断だと私は思います。現行法の規定でも生活必需品の配給制限はできるようですが、そんな規定をむやみに振り回すべきではありません。
そもそも、配給制限を行えば、逆に買いだめを誘発する可能性もあります。(商品が足りないことを政府が公認しているんですからね)
生活必需品の配給制限を行えば「被災地ではガソリンや医薬品が不足」せず、「救援活動に支障が出る事態が生じ」なかったとは思えません。震災の直後に この件については記事を書いた ことがありますが、社会全体が在庫、備蓄を無駄なものと捉えて、在庫を持たないようにしてきた傾向が根本的な原因だと私は思っています。
加えて、被災地への輸送網が寸断されてしまったことも原因の一つでした。たとえ私権制限を発動して生活必需品を配給制にしたところで、輸送道の寸断や在庫を持たない傾向などの条件が同じなら、結果もだいたい同じになるはずです。

しかも、末尾に「大規模災害だけでなく、カルト集団や外国工作員らによる国家テロなどに備えるためにも、憲法を中心とする非常時の法体系全体を抜本的に見直す必要がある。」とまで書いています。私権制限を濫用する気が満々のようですね。





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最終更新日  2012.08.07 01:02:08
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