inti-solのブログ

inti-solのブログ

2014.01.31
XML
カテゴリ: 災害
電力業界、自民に原発新増設促す 「模範解答」配布
安倍政権が策定を進めるエネルギー基本計画の閣議決定を前に、電力会社などでつくる電気事業連合会(電事連、会長=八木誠・関西電力社長)が自民党議員に原発の必要性や新増設を訴える文書を配っていたことが30日、わかった。同党が計画内容について行った党所属国会議員へのアンケートについて、原発推進の立場で答えるよう促す内容。原発新増設は政権の方針も超えており、業界が自らの利益を前面に押し出した形だ。
朝日新聞が入手した電事連の文書によると、エネルギー需給の基本方針として「原子力が重要な電源であるとの位置づけを明確化する」と強調。「原子力発電を一定程度の規模を確保する」として、「そのための新増設・リプレース(建て替え)の必要性を明確化する」とした。安倍晋三首相は新増設について「現在のところまったく想定していない」としている。
再稼働についても、文書は「安全の確認された原子力の再稼働を効率的かつ迅速に行う」と明記。核燃料サイクルも「着実に推進する」としている。

---

喉もとすぎれば暑さわするる、なんて言葉がありますが、いくら何でも、今から原発の新・増設というのは、あまりに無茶苦茶な話です。さすがに、あの安倍でさえも、原発新・増設はまったく想定していないと言っている(言わざるを得ない)のが現状です。

福島第一原発の事故で放出された放射性物質の量は、チェルノブイリ原発事故の1割前後と見積もられています。実際に原子炉内に溜め込まれていた放射能のうち、放出された割合は2%前後と推定されています。チェルノブイリの場合は、原子炉内の20~60%の放射能が放出されたと推定されています。
ということは、福島第一原発も、事故の成り行きによっては、もっと多くの放射能が放出されてしまうことだってあり得たわけです。福島原発の4基の原子炉に溜め込まれていた放射能の総量は、チェルノブイリのそれの、おおむね2倍程度でした。ということは、もし事故の規模がチェルノブイリと同程度になった場合、放出された放射能量はチェルノブイリの2倍(実際の事故の20倍)となった可能性があるわけです。

東日本大震災の直後、政府内で検討された最悪事態のシミュレーションが、後に公開されています。

福島第一原子力発電所の不測自体の素描 平成23年3月25日近藤駿介

結論として、以下のように記述されています。


しかし、続いて4号機プールにおける燃料破損に続くコアコンクリート相互作用が発生して放射性物質の放出が始まると予想されるので(略)50kmの範囲では、速やかに避難が行われるべきである。
その外側の70kmの範囲ではとりあえず屋内退避を求めることになるが、110kmまでの範囲においては、ある程度の範囲に土壌汚染レベルが高いため、移転を求めるべき地域が生じる。また、年間線量が自然放射線量を大幅に超えることを理由に移転を希望する人にそれを認めるべき地域が200kmまでに発生する。(容認線量に依存)
続いて他の号機のプールにおいても燃料破損に続くコアコンクリート相互作用が発生して大量の放射性物質の放出が始まる。この結果、強制移転を求めるべき地域が170km以遠にも生じる可能性や、年間線量が自然放射線量を大幅に超えることをもって移転を希望する場合認めるべき地域が250km以遠にも発生することになる可能性がある。
これらの範囲は、時間の経過とともに小さくなるが、自然(環境)減衰にのみ任せておくならば、上の170km、250kmという地点で数十年を要する。


要するに結論として、最悪の場合は強制避難の対象が半径170km以上、希望者の避難を認める対象が250km以上に達する可能性がある、と踏んだわけです。
戦慄すべき事態です。
福島第一原発から東京(大手町)までの距離は、おおむね220kmです。だから、東京のほとんどが任意避難の対象となります。北関東や新潟、仙台などは強制避難の対象。避難者総数は、何と3000万人です。


「いったい、天皇陛下はどこへ移せばいいのか、国会は、各省庁は・・・・・・そんなことを考えた。はたして政府機能は維持できるのか。内閣はどうするんだ。戒厳令がないのにそんな避難ができるのか。それに選挙は今後どうやればいい。GDPはどこまで落ち込み、失業率はどのくらいになるのか。そもそも日本の1/3が使えなくなって北海道と西日本とに分断されたら、国家として統治できるのか。国家の自滅だ。そんなことをずっと考えていたんだ。3000万人が避難を強いられるようになったら、避難途中で病人やお年寄りが数十万人単位でなくなるかもしれないとも思っていた。」(講談社文庫「メルトダウン」大鹿靖明 P188-189)

この想定は、事故がチェルノブイリ級の事態まで発展した場合には、決して杞憂ではすまなかったはずです。もしこんな事態にまで至っていたら、「日本終了」じゃないけれど、国家として破滅的な事態に至っていたことは間違いありません。。
そして、原発が稼動している限り、原発が大地震に襲われて、そのような最悪の事態が発生する可能性は否定できません。例えば浜岡原発や柏崎刈羽原発がそのような事故を起こした場合も、日本は破滅的な事態に至るでしょう。

追加燃料代が国富の流出だとか、電力会社の赤字がどうとか、そんなレベルの話など、3000万人避難生活に比べたら、実に小さな話だと、私には思えます。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2014.01.31 23:34:24
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: