inti-solのブログ

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2015.09.22
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カテゴリ: 音楽
先日、「沖縄を返せ」という歌について記事を書いた際、「(原曲は)沖縄の雰囲気のまったくない曲」と書きました。

沖縄民謡の音楽的な特徴をひとことで説明すれば、レとラを抜いた、「ドミファソシド」という5音音階を基礎にしている、ということに尽きます。この音階をただ奏でるだけでも、沖縄っぽさが醸し出されるのだから不思議なものです。



「音階」と言えば、通常われわれは「ドレミファソラシド」という7音音階を思い浮かべます。厳密に言えば、半音も含めて12音音階ということもできますが。
ところが、世界の伝統的な音楽には、7音のうちのいくつかが抜けている音階がかなり多いのです。ただ、レとラを抜いく5音音階は沖縄以外ではあまり例がないので、音階を弾くだけで「沖縄っぽい」という感じに聞こえるのでしょう。
一方、沖縄以外の日本の民謡の音階ははどうかと言うと、実はこれも5音音階なのです。。ただし、沖縄音階とは抜く音が違う。ファとシを抜く(通称ヨナ抜き)と呼ばれる5音音階です。これは、日本特有のものではなく、実は世界各地に同じ音階があります。実は、私のやっている南米のフォルクローレも、先住民系のメロディーはヨナ抜き5音音階を基礎にしています。そのため、日本の民謡と南米のフォルクローレの曲調の類似性がしばしば指摘されることがあります。
たとえば、この曲なんか「日本の民謡をフォルクローレの楽器で演奏しました」と言っても通用してしまうそうです。



フォルクローレで使われるサンポーニャという笛は、通常ト長調/ホ短調で調律されています。だから、いろいろな手立てで半音を出さない限り、他の調は演奏できない、はずなのですが、実際には半音を出すための手を講じなくても、たいていの曲はハ長調/イ短調でもメロディーがふけてしまうのです。それは、これらの曲が5音音階でできているからです。

ただし、注意しなければいけないのは、ヨナ抜き5音音階は日本の民謡とフォルクローレだけの共通点ではなく、世界中に同じタイプの5音音階が存在するということです。非西欧世界に限られるわけでもなく、ヨーロッパの民族音楽でもヨナ抜き音階は存在します。スコットランドの音楽がそうなのだそうです。クラシックの名曲でも、少なからず例があります。たとえば、ドボルザークの交響曲第9番「新世界より」の第2楽章、「遠き山に日が落ちて」という歌として有名ですが、後半一部に例外はありますが、大体はヨナ抜き5音音階でメロディーが作られています。スコットランド民謡が原曲である「蛍の光」も同様です。また、日本の「民謡」と書きましたけど、民謡に限らず、日本の伝統っぽい雰囲気を前面に出す音楽、たとえば演歌などでも同じ音階が使われます。

こうやって見ると、実はむしろ5音音階のほうが世界の標準で、7音音階のほうが例外的、なのかも知れません。





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最終更新日  2015.09.22 22:54:14
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