inti-solのブログ

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2016.01.03
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カテゴリ: 災害
原発はテロに勝てるか? 航空機が撃墜したら? テロリストが侵入したら? 検証してみると…


巨大ヘリが原子炉に落ちたら…

「史上最悪の原発テロ発生。巨大ヘリ墜落まで、あと8時間!」「人質は日本」。
映画「天空の蜂」の告知ポスター。物々しいキャッチコピーと、激しく炎上するヘリの写真は海外のパニック映画さながらの迫力だった。
テロリストが防衛省の巨大ヘリを乗っ取り、原発の真上でホバリングさせて、政府に国内の全原発停止を要求するという現実離れした設定だが~映画や小説の結末がどうなるかはさておき、そもそも国は原発に航空機が墜落することを想定しているのだろうか?

徹底対策を求めた原発の新規制基準
原子力規制委員会の前身である原子力安全・保安院は、9・11のテロの翌年の平成14年、「実用発電用原子炉施設への航空機落下確率に関する評価基準」を策定している。
ここでは、航空機の落下確率を過去の事故の傾向や飛行場との位置関係から原発ごとに算出し、米国やフランスなど諸外国の基準を参考として、原子炉などに直撃する可能性が「年1000万分の1回」を超えなければ、「設計上考慮する必要はない」としている。
しかし、福島第1原発事故後に作成された新規制基準は、原発の敷地内に航空機が落下し、爆発的な火災が発生した場合の原子炉への影響についても評価するよう求めた。
九州電力川内原発1、2号機では、原子炉などの重要施設に航空機が落下する確率が年1000万分の1を超えないことを確認した上で、敷地内に航空機が落下し、火災が起きた場合の影響を評価した。(以下略)

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長々と続く、原発の安全性を礼賛する産経の電力界提灯記事ですが、引用部分を読んだだけで、てんで話しにならないことが一目瞭然としています。「巨大ヘリが原子炉に落ちたら」という小見出しをつけておきながら、それに対する回答は「原子炉などの重要施設に航空機が落下する確率が年1000万分の1を超えない」から「敷地内に航空機が落下し、火災が起きた場合の影響を評価した。」というのです。
そのような評価を、9.11のあとで策定したというのだから、あきれ返るしかありません。

確かに、単純な事故として、飛行機が原子炉に直撃する可能性は高くはないでしょう。それでも、「年に1000万分の1以下」ほどまで低かどうかは、いささか疑問の余地はありますが。
しかし、問題はそんなことではなく、テロリストが人為的に飛行機を原発にぶつけた場合はどうなのか、でしょう。目標は原発ではなかったものの、9.11はまさしくそういうテロだったわけだし、日本でも、政治的目的も自爆の意図もなかったものの、ジャンボジェットを操縦したいという意図からハイジャックを行い、機長の殺害に至った事例がありました。(1999年の 全日空61便ハイジャック事件

テロリストが航空機をのっとって原子炉に向かって突っ込む、という事態を起こす可能性は、年に1000万分の1なんて低い確率のはずがありません。また、犯人に操縦の技術があれば、「目標」を直撃する可能性はかなり高いと思われます。9.11では、ハイジャック犯は単発の軽飛行機の操縦訓練を受けた程度でしたが、4機のうち3機までが「目標」を直撃しています。だから、どう考えたって、原発の敷地内に(重要施設は外して)落下する可能性より、重要施設を直撃する可能性のほうが高いでしょう。
要するに、ジェット旅客機が(もちろん、爆装した軍用機ならなおさら)原子炉本体や重要施設を直撃したら手の打ちようがないから、そういう事態は起こらないことにする。しかし9.11もあったのに、一切そういう危険を無視もできないから、原発の敷地内に墜落する想定だけはしておく。-そんなところでしょう。別の言い方をすれば、「原発の安全対策は問題ない」という結論が先にあって、その結論を脅かさない程度の「リスク」だけを想定した、ということでしょう。
そういう「安全対策」の果てに起こったのが、福島第一原発の事故だったわけですが。






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最終更新日  2016.01.03 09:43:49
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