inti-solのブログ

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2016.04.02
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カテゴリ: 政治
「世界でいちばん貧しい大統領」 ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領が4月に来日
「世界でいちばん貧しい大統領」として知られるウルグアイの前大統領、ホセ・ムヒカ氏が4月に初めて日本を訪問することが決まった。出版大手KADOKAWAの子会社である出版社「汐文社」の招聘に応じたもので、東京都内で記者会見や講演会などを予定しているという。

ムヒカ氏は1935年、モンテビデオ出身。2010年から15年までウルグアイ大統領を務めた。任期中の12年に、ブラジルで開催された「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」でのスピーチが話題を集め、ノーベル平和賞の候補にもなった。(以下略)

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産経新聞の記事からの引用です。産経には珍しく、左派政権の大統領経験者に対して好意的な記事内容です。
ホセ・ムヒカは、現在の好々爺的な風貌とは裏腹に、かつては左翼ゲリラ組織トゥパマロスのメンバーであり、受けた銃弾は6発、逮捕歴4回という筋金入りの闘士(彼の妻ルシア・トポランスキーもトゥパマロスのメンバーだった)ですから、もし日本で彼が首相になったら、産経新聞が発狂することは確実です(笑)
ただ、1985年に釈放されて以降、トゥパマロスは武力闘争を放棄、Movimiento de Participación Popular(人民参加運動)という政党を作り、更に中道左派~左派政党の連合体である拡大戦線に加わっています。ウルグアイという国は、独立以来コロラド党と国民党という保守系の二大政党が、時には内戦を交えて政権を交互に担ってきました。しかし、2004年に拡大戦線が選挙に勝ち、ウルグアイ史上初めてコロラド党、国民党の二大政党以外の政党が政権をとります。このとき大統領に当選したのがタバレ・バスケスで、ムヒカはこのとき農業大臣として入閣しています。その後、バスケスの大統領任期切れに伴い、後継候補者としてムヒカが2009年の大統領選に当選、2015年に任期を終えています。ムヒカの後継は再びバスケス大統領です。ウルグアイは大統領の連続再選を禁じているので、大統領の再選はこのような飛び石でしかできません。ムヒカも、したがってバスケスの次の大統領に立候補することは可能ですが、さすがに現在80歳では、もう次の立候補はしないでしょう。

左派政党の連合体である拡大戦線の中でも、ムヒカは最左翼に位置しますが、複数政党の連合体という条件もあって、その政策はそれほど過激なものとはなりませんでした。注目される実績としては、カトリックの国であるウルグアイで禁じられていた人工妊娠中絶の合法化、同性結婚の承認、大麻の合法化などです。

ラテンアメリカで歴史に名を残す大統領はいずれも、演説の達人です。フィデル・カストロ、サルバドル・アジェンデ、ウーゴ・チャベス、みんなそうですが、ムヒカは、高齢で滑舌がよくなくなっているためか、正直なところ話し方という意味ではそんなに演説の名人とは思われません。

リオ+20でのスピーチ


が、話の内容が人のこころを掴む、という意味ではやはり演説の天才なのだろうと思います。

「世界一置貧しい大統領」と言われますが、実際のところウルグアイの大統領の給料はかなり高額なものの、彼はそれをほとんど寄付してしまうので、実際の生活費はとても安上がり、ということです。保有する唯一の資産は1987年型のフォルクスワーゲン・ビートルだとか。




というのは、ドキッとしますね。

「私たちは、代表民主制と呼ばれるものを発明しました。これは、多数派の人が決定権を持つ世界だと私たちは言います。ならば、私たち(各国の指導者たち)は、少数派ではなく多数派のような暮らしをすべきだと私には思えるのです」

なるほどね。ただし、彼は金持ちを否定しているのではありません。

「こと政治においては、きちんとすみ分けがなければいけない。政治と金。これを完全に分離して考えられなければ、世の中はひとつとして良くはなっていかない。お金に関心があるならば、産業や通商に精を出したほうが、よっぽど健全さ。でも政治だけは違う。みんなの幸福のための闘争なんだよ」

ということです。確かにそのとおりだと私も思います。

話は変わりますが、ムヒカというのは割と珍しい苗字だなと思ったら、バスク系なんですね。バスク系と言えば、南米独立の父シモン・ボリバルはバスク系であり、かのチリ大統領サルバドル・アジェンデもそうです。ということは、同じ苗字を持つメキシコ独立の英雄の1人イグナシオ・アジェンデもそうであるはずです。何と、アジェンデ政権をクーデターで倒したピノチェト将軍も、母親がバスク系。チリからは2人のノーベル文学賞受賞者が出ています(ガブリエラ・ミストラルとパブロ・ネルーダ)が、その2人ともバスク系。アルゼンチン出身の革命家ゲバラもバスク系。ラテンアメリカの政治家・軍人の系譜はバスク系で溢れているのです。





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最終更新日  2016.04.03 18:10:47
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