inti-solのブログ

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2016.04.15
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カテゴリ: 政治
露外相発言 北方四島の帰属交渉「拒否しない」は日本引き込む詐術だ


外相は平和条約の締結交渉と領土問題の切り離しを繰り返し主張した。むしろ、北方領土を返すつもりがないことが改めて分かったと、冷徹に分析すべきだ。
会見は、15日の訪日を前に行った。内容を吟味すれば、およそ楽観などできないことが分かる。
ラブロフ氏を筆頭に、ロシア政府高官は、領土問題の存在を否定する言動を重ねてきた。今回の会見でも、領土交渉に入る必要性など認めていない。
四島をめぐる話し合いに応じるといっても、平和条約を結ぶ前に、実質的な領土交渉を行う気などないというのだから、とても信用はできない。
あきれるのは、日本に対し、北方領土は第二次世界大戦の結果、ソ連・ロシア領になったと認めるよう、改めて迫っている点だ。
到底、容認できない。ソ連は、日ソ中立条約を破って参戦し、日本がポツダム宣言を受諾して終戦となった後に、武力で四島を不法占拠した。何の正当性もない「力による現状変更」は、火事場泥棒といえる行為だった。それが歴史の事実である。
四島は日本固有の領土であり、その帰属を明確にし、返還を実現することこそ、平和条約締結の大前提だ。政府はその一貫した立場を崩してはならない。
安倍晋三首相は5月にロシア訪問を予定しており、その後に伊勢志摩サミットを主宰する。ロシアのクリミア併合問題も重要な議題となる。
ロシアとしては、プーチン大統領との首脳会談の前に、領土交渉をめぐる発言を変化させ、議長国日本を懐柔する必要がある。
原油安による経済的苦境が続いており、自国への圧力を少しでも減らしたいからだ。日本もサミット参加国も、この程度の詐術に惑わされてはなるまい。
ロシアがなすべきは、領土を不法に奪ったことへの謝罪と返還だ。北方領土の軍事基地強化の方針も直ちに撤回すべきだ。

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例によって産経新聞の社説です。
右派陣営が平和運動などに対して発する批判用語のひとつに「空想的平和主義」というのがあります。「平和」「平和」と念仏を唱えていれば平和が守られるのか、というわけです。産経新聞も、その種の批判をよく行う新聞です。
しかし、この「主張」(社説)を読むと、産経新聞のような「愛国主義者」(自称)こそが、空想的愛国主義であることがわかります。ここには、何一つ具体策がない、「北方領土を返せ」と叫び続けろ、というだけです。
「北方領土を返せ」と念仏を唱えていれば、北方領土は帰ってくるのですか?
帰ってきません。全日本国民が「北方領土を返せ」と叫んだところで、返ってはこないのです。それは、逆を考えればわかることです。10億の全中国人が「釣魚諸島を返せ」と叫んだら、日本は尖閣諸島を中国に引き渡すんでしょうか?

以前にも何度か書いたことがありますが、「固有の領土」などという言い方自体が、硬直思考の産物です。それに、旧ソ連の北方領土占領が不法なものであったことは確かですが、サンフランシスコ条約で日本はその状態を一度は受け入れています。外務省は、サンフランシスコ条約締結前後の時期は、国会答弁において「国後・択捉はサンフランシスコ条約で放棄した千島列島に含まれる」と明言しています。ところが、後になって「国後・択捉は千島列島には含まれない」という奇妙な説を持ち出して、国後・択捉は放棄していない、と言い始めたのです。
尖閣諸島に関して、中国はかつては領有権を主張していなかったのに、後になって領有権を主張し始めた、というのはよく言われる話です。しかし、実のところ北方領土に関しての日本の主張も、それと同じなのです。

いずれにしても、北方領土は帰ってきません。少なくとも、国後・択捉の2島が帰ってくることはない、これは間違いありません。それに対して、歯舞・色丹が帰ってくる可能性は、皆無ではない。平和条約を結び、相応の経済協力や投資などと交換でなら、両島が返還される可能性はある。


しかし、もし日本政府が2島返還で北方領土問題を妥協しようとしたら、産経などの右派勢力は発狂して妨害を図るでしょう。もちろん、安倍政権がそんな解決を図ろうとするとは思えませんが。
産経や右派勢力の深層心理としては、むしろロシアに対する敵愾心を煽ることは自らの商売、支持拡大のタネになるので、北方領土問題は永久に解決しないほうがいいのと思っているのではないか、と思ってしまいます。





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最終更新日  2016.04.16 09:47:45
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