inti-solのブログ

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2017.01.11
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経済成長は永遠なのか 「この200年、むしろ例外」


思えば「成長よ再び」という威勢のいい掛け声と、「必ず物価は上がって経済は好循環になる」と自信満々の公約に、人々は希望を託したのかもしれない。
希望をくじいたのはくしくも日銀が放った新たな切り札「マイナス金利政策」だった。昨年1月に日銀が打ち出すや世論調査で6割超の人が「評価できない」と答えた。いわばお金を預けたら利息をとられる異常な政策によって、人々がお金を使うようせかす狙いだった。これには、そこまでする必要があるのか、と疑問を抱いた人が多かったのだろう。
政府も国民も高度成長やバブル経済を経て税収や給料が増えることに慣れ、それを前提に制度や人生を設計してきた。
だがこの25年間の名目成長率はほぼゼロ。ならばもう一度右肩上がり経済を取り戻そう、と政府が財政出動を繰り返してきた結果が世界一の借金大国である。
そこで疑問が浮かぶ。ゼロ成長はそれほど「悪」なのか。失われた20年と言われたその間も、私たちの豊かさへの歩みが止まっていたわけではない。

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朝日新聞のこの記事が、ネット上では大変不評のようです。左右から袋叩きにあっています。曰く、「この200年が例外と言うなら、新聞の宅配だってそうだろう」「民主主義だって」云々。
まあ、確かにそのとおりではあります。私は朝日新聞を購読していないので、記事の全文は読めません(実家は購読しているけど、1月4日の新聞では、もう処分してしまっていると思う)。なので、ネットニュースに掲載されている部分だけの批評になってしまいますが

「ゼロ成長はそれほど『悪』なのか」

そりゃ、よいことではないでしょう。経済成長しないより、するほうがずっといい、その限りにおいて、記事全体の趣旨が「経済成長なんかいらない」というものだとすれば、それはちょっとどうかと思います。
でも、だからこの記事はけしからぬ、というのであれば、「では、どうすれば経済成長できるんでしょうか」と言わざるを得ません。バブル崩壊後20年以上、自民党政権も民主党政権も、経済成長を実現しようといろいろな政策を行いました。歴代政権は、「経済成長なんかいらない」などという発想に基づいて政権運営を行っていたわけではありません。でも、成功しなかった。結果から見れば、歴代政権は経済成長を実現しようとあれこれ試したけれど、何も成功せず、財政赤字だけを膨らませた、ということになります。
唯一例外は小泉政権で、経済はマイナス成長だったけれど、財政赤字も(それほどは)拡大させなかった。ただし、小泉政権はいわゆる建設国債は縮小させたけど、赤字国債は全然縮小させていません。それに、それ以外の面で小泉「改革」の痛みはすさまじいものがありました。

では、安倍政権のアベノミクスはどうか。経済政策としては、小泉「改革」とは正反対のように見えますが、企業の利益拡大が最優先で、個々の国民の利益は二の次である、という意味では似たようなものと思えます。トリクルダウンなどと称して、企業が儲かれば、そのおこぼれが個々の国民まで(多少は)行き渡る、という理屈なのですが、個々の国民に利益が還元される効率は非常に低い上に、現実にはうまく行っていません。経済成長率は低迷したまま、財政赤字だけがすさまじい勢いで拡大しています。アベノミクスで達成されたのは株価上昇だけ(それも、最初のうちだけ)で、それが経済成長には結びついていません。結果としてみれば「株価を上げて企業に貢ぐために財政赤字を拡大させただけ」ということになります。しかも、株価を上げるために使われたのが各種年金財源です。アベノミクスが完全に破綻して株価が暴落したりすると(その可能性は、かなり高いと思います)、我々が将来もらう年金積み立て金が消滅する、というなかなか心楽しい未来図が待っているわけです。

ならば、結局実現しない経済成長のために財政赤字を更に増やすよりは、経済成長はあきらめて財政赤字の拡大は最小限にとどめる方が、よい、とは言いませんが、まだしも被害が小さい、とはいえるかもしれません。善悪で言えば、経済成長がないことは悪です。でも、その悪から逃れるすべがないとするなら、できるだけ被害が少ないやり方で、その悪と共存するしかないじゃないですか。
いや、実際「こうすれば経済成長できる」という方程式があるなら、是非そうすべきです。でも、そんな方程式がない(みつからない)からうまく行かないわけで。





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最終更新日  2017.01.11 18:00:08
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