inti-solのブログ

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2017.01.28
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カテゴリ: 政治
トランプ大統領 壁の建設費でメキシコの輸入品に課税へ


この中でトランプ大統領は、メキシコのペニャニエト大統領が中止すると発表した首脳会談について、「取りやめることで合意した」と述べ、双方合意のうえで中止の結論に至ったという認識を示しました。
そして、アメリカはメキシコとの不公平な取り引きで多額の貿易赤字を抱えていると主張し、「メキシコがわれわれに対し公平かつ敬意を持って接しないかぎり、会談をしても実りがない」と述べて、NAFTAの見直しを迫る考えを改めて示しました。
さらにトランプ大統領は、メキシコとの国境沿いに壁を築くよう命じる大統領令に署名したことを受け、壁の建設費用に充てるため、メキシコからの輸入品に課税できるよう税制改革を進める考えを示しました。
演説のあと、ホワイトハウスのスパイサー報道官は記者団に対して、「メキシコからの輸入品に20%の税金をかける」と説明していて、メキシコ側の反発が予想されます。

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いやはや、就任したら穏健化するのでは、という観測もありましたが、トランプの就任後の言動は滅茶苦茶度を増すばかりです。
メキシコとの国境に壁を作る、という話(実際には、米墨国境のかなりの部分にはすでに壁があります。これを国境全部に拡大して、かつより強固なものにする、ということのようです)も、実行に移すそうで。そして、その費用はメキシコが後で全額返済する仕組みを作る、とのこと。しかし、どう考えても、メキシコ政府がそんな費用を払うわけがありません。案の定メキシコ政府は支払いを拒否(当たり前ですね、世界中どこの国だって、そんなお金を払うわけがない。払うとしたら、米国の言うことには一切逆らおうとしない日本くらいのもので)。
さて、どうするのかなと思ったらメキシコからの輸入品に課税してそれを費用に充てるのだそうです。
はて、それって「メキシコに払わせる」ことになるのでしょうか。輸入品に税金をかける、つまり購入者がその税金を負担するわけです。米国の輸入企業、あるいは購買者ですね。それを「メキシコに払わせる」と表現するのは無理があるのではないでしょうか。まあ、実際のところはそれによってメキシコからの輸入を減少させて、米国内の産業を保護しよう、ということなのでしょうけど。
しかし、それをやれば、WTOの協定違反になるとの指摘もあります。ところが、トランプはWTOからの脱退にも言及しているとか。でも、そこまでやれば、メキシコに対する差別的な関税、あるいは壁建設そのものが国連で非難決議の対象になることも考えられます。米国は安保理の拒否権がありますが、この拒否権というのは、自国に対する決議に対しては使えないのだそうですね。そうすると、非難決議が通ってしまうことも考えられます。拒否権を持つ他の国、たとえばイギリスやフランスがトランプのために拒否権を使わなければ、ですが。
そうなると、トランプは国連脱退と言い出しそうです。

それ以前の段階として、米国がメキシコからの輸入に課税すれば、当然メキシコ側だって報復で米国からの輸入に課税するでしょう。米国にとって、メキシコは米国にとって第3位の輸入相手国ですが、第2位の輸出相手国でもあるのです。したがって、このような報復合戦は米国の経済にも大きな打撃を与えることになるでしょう。
トランプはNAFTAの見直しを叫んでいます。確かに、NAFTAにはいろいろな問題があって、かつてはメキシコの左派勢力もNAFTAに対しては反対の姿勢でした。あのサパティスタが武装蜂起したのも、NAFTAに対する抵抗が契機になっています。

そうなると、NAFTAは破綻、ということになる。そうなるくらいなら多少譲歩しても、とメキシコ側にもトランプと妥協しようという動きは、(自由貿易派の中には)生じるかもしれません。が、その状況に至ると、メキシコも国内世論的に妥協が難しくなるのではないかと思います。
米墨関係というのは日韓関係と少し似たところがあります。そもそも、トランプは「国境に壁を作る」と息巻いていますが、米国のメキシコと接する領土はすべて、もともとメキシコ領です。米墨戦争とそれに先立つテキサス独立と米国併合によって、メキシコから奪い取った土地です。※

※今更説明の必要もないでしょうが、米国南西部にはスペイン語の地名のオンパレードです。サンフランシスコ、ロサンゼルス、ラスベガス、コロラド、エルパソ、サンノゼ(サンホセ)、シェラネバダ・・・・・・・・、フロリダ(スペインの植民地だったけれどメキシコ領になったことはない)以外は、これらはみんな元のメキシコ領の地名です。

メキシコの国民感情の中には、かなり根強い反米意識があります。そもそも、現在与党のPRI(制度的革命党)自身、1970年代までは、米国に対して常に対立的な姿勢を維持してきました。近年はそれが相当薄らいで、PRIも1988年のサリナス政権以降は、米国への言いなりの方向性ですが、反米意識がメキシコから完全になくなったわけではありません。
トランプの行動は、メキシコの面子を踏みにじるものであり、トランプが「米国第一」を叫べば叫ぶほど、メキシコ側でも反米意識が高まることは必然です。そうなると、メキシコ政府としても米国に対して安易な妥協はできなくなるでしょう。

まあ、これからどうなっていくのかは皆目分かりませんが、ことは米国とメキシコだけの関係ではすまないでしょう。
果たして日本は、このトランプ政権の米国に対して、どこまで従属を続けるつもりでしょうか。依存したって裏切られるだけですが、それでも世界を相手に米国と二国だけになっても心中するつもり、なのでしょうか。





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最終更新日  2017.01.28 10:20:01
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