inti-solのブログ

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2018.10.08
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カテゴリ: 政治
石破氏大善戦と玉城氏圧勝を騙る報ステの矛盾
2018年9月後半に自民党総裁選挙(9月20日開票)と沖縄県知事選挙(9月30日開票)という話題を集めた選挙がありました。2つの選挙に共通していることは、事実上一騎打ちであり、マスメディアが、一方の候補を「力でねじ伏せる傲慢な圧制者」のように報じ、一方の候補を「虐げられながらも圧制者に果敢に立ち向かう誠実な民衆のヒーロー」のように報じたことです。そして2つの選挙で異なることは、マスメディアが推した人物が自民党総裁選挙では落選し、沖縄県知事選挙では当選したことです。この記事では、この2つの選挙結果に関するテレビ朝日『報道ステーション』の論評を論評したいと思います。~
偶然ではありますが、自民総裁選の党員票と沖縄知事選における当選者と落選者の得票率はほぼ同じような数値であったと言えます。
【自民総裁選】 安倍氏:55.3% 石破氏 :44.7%
【沖縄知事選】 玉城氏:55.1% 佐喜眞氏:43.9%
ちなみに、沖縄知事選で、玉城氏と佐喜眞氏の二人の得票に限定すれば、玉城氏55.6%、佐喜眞氏44.3%となり、ほぼ同一の結果です。このような得票率であるにも拘らず、『報道ステーション』の後藤謙次氏は、自民総裁選については「拮抗-石破氏の大善戦」と評価し、沖縄知事選については「玉城氏の圧勝」と【二重規準】で論評したわけです。得票率は両選挙で同じなので、この二重基準を使えば、自民総裁選については「安倍氏の圧勝」、沖縄知事選については「拮抗-佐喜眞氏の大善戦」と評価することもできます。
元々、自民総裁選については、総得票で安倍氏が石破氏をダブルスコアで勝利しているため、「安倍氏の圧勝」と考えるのが妥当であり、また圧倒的な偏向報道の下で「弔い選挙」として行われた沖縄知事選については「拮抗-佐喜眞氏の大善戦」と捉える方が適切です。それを無理矢理に逆転させて一方的に報道するのですから極めて不公正であると言えます。(以下略)

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自民党総裁選での安倍と石破の得票率と沖縄県知事選での玉城と佐喜眞の得票率が、たまたま似たような数字であったことから、ネトウヨ連中が、「石破の善戦、玉城の圧勝」という報道に対して発狂しているようです。
まあ、見苦しい負け惜しみとしか思えませんが。

得票率が似かよった数字と言っても、それは数字に表れた部分だけのことであって、背景はまったく異なっています。
例えば、プロ野球選抜対高校野球選抜の試合で結果が5対1だったら、高校野球選抜は、負けても「善戦」と評されるでしょう。しかし、日本シリーズ第7戦、日本一をかけた試合で5対1だったら、それは「大差」と評されるはずです。
善戦、大差というのは、下馬評との落差、あるいは元々の地力の差との対比で言われるのであって、地力に大差があるもの同士と地力が五分五分のもの同士では、基準が同じであるはずがないのです。それを同列に論じるには、ただのバカです。

石破が「善戦」と評されるのは、国会内では小派閥である自派と、参院竹下派しか支持する者がなく、国会議員票の獲得数は2割に満たなかった(ただし、その票数も事前予想よりかなり多く、表向きは安倍支持を表明しつつ石破に票を投じた議員が何人かいたようですが)にも関わらず、党員票は45%も獲得した、その落差の大きさゆえです。
安倍陣営が「石破の政治生命を絶つほどの大差で勝つ」ことを目標にしていたにもかかわらず、それとは程遠い結果でした。

しかも、党員投票で45%というのは、あくまでも「党員」の得票であって、一般有権者の中での得票率ではありません。



次の自民総裁は石破氏42%でトップ、安倍首相上回る-ANN世論調査
次期自民党総裁に安倍首相38.9%、石破氏35.1%

しかし、石破の支持率は野党支持層や無党派層で比較的高く、自民党支持層では安倍の支持率が圧倒的に高いと報じられていました。

自民支持層で安倍首相が石破氏を圧倒 【自民党総裁選】

自民支持層の中では、安倍支持71%対石破支持24%という大差だというのです。
自民党員にも名ばかり党員もいるだろうし、支持の程度は濃淡あるかもしれませんが、平均的には自民党をかなり支持している人たちであることは間違いないでしょう。したがって、前述の世論調査を信じるならば、一般党員投票でも安倍は石破を圧倒するはずです。ところが、そうはなららなかった。そのこともまた、石破が「善戦」と評される理由です。

一方、沖縄県知事選です。
こちらは、「党員投票」ではありません。一般有権者による投票です。自民党の総裁選とはそもそも前提条件が違うのです。そして、玉城新知事は、過去沖縄県知事選史上最多得票を獲得しています。得票率では、過去最高ではないけれど、翁長前知事が大勝した前回知事選より、得票率、得票数ともに伸ばしているのです。
前回知事選では、公明党が自主投票でしたが、今回は公明党は佐喜眞候補を推薦し、実際に選挙運動に相当注力したようです。また、前回は自らが立候補した下地幹郎が、今回は佐喜眞陣営に参加しています。それにもかかわらず、この結果です。

票の計算上は、佐喜眞陣営は磐石だったはずです。前回の仲井眞候補+下地候補の合計得票は約33万票、公明党の国政選挙での得票は沖縄で10万票以上です。菅官房長官や、人気があるといわれる小泉進二郎をはじめとする政治家を大量投入もしました。多分、運動員や選挙資金もそうでしょう。
ところが、蓋を開けたら佐喜眞候補の得票は31万6千票、前回の仲井眞+下地の合計得票も下回り、公明党票なんて、どこに消えたのやら。実際、支持母体の創価学会からは相当の造反が出ています(それでも公明党支持層の6割くらいは佐喜眞に投票しているようです)。これを惨敗と呼ばずに何と呼ぶのか、ということです。

マスコミの事前予測では、五分の勝負と見るところと、玉城候補やや優勢と見るところに分かれましたが、玉城優勢と報じた新聞も、「ややリード」程度で、玉城候補が大差で優勢と見るマスコミはありませんでした。
それを反映して、各社選挙結果の判明は投票日の深夜見込と報じていました。ところが、蓋を開けたら、なんと朝日新聞が8時丁度のいわゆる「ゼロ打ち」(投票締切り時間と同時に当選確実を報じること)。沖縄では、名護市長選で出口調査結果と正反対の選挙結果が出たことがあるそうで(出口調査に対して嘘をつくか、特定の候補者に投票した人だけが回答しなかったということ)、朝日新聞以外の各報道機関は、当選確実には相当慎重だったようですが、それでも9時過ぎには各社雪崩を打って玉城候補当選確実を報じています。

まあ、論より証拠、安倍政権の閣僚が何人も「石破は予想外に善戦した」と明言しているし、一方沖縄県知事選の佐喜眞陣営については、 先に紹介した古谷経衛の記事

早くも敗北が確定した佐喜眞淳陣営が勢揃いしているANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービューへと向かった。~午後8時15分、同ホテル2F大広間には、佐喜眞陣営の幹部らや支持者らが既に勢揃いして着席していた。むろん、報道陣も大挙詰めかけている。しかしこの大広間から発せられる空気は、無言の重圧にも似た鉛のような感覚であった。支持者らは誰も一言も発さない。談笑さえない。ただ真正面のテレビ画面を見つめている。いわゆる「 お通夜状態 」とはこの事を言うのだと私は痛感した。

とのこと。(強調は原文まま)
他ならぬ当事者自身が、石破は善戦、佐喜眞は惨敗だったことを、正直に認めているのに、応援団の負け惜しみは、往生際が悪いとしか言いようがありません。

ただし、もちろん、今回の玉城候補の大勝は、今後も大勝し続けることを保証するものではありません。有権者の信を失えば、次の選挙では当然負けます。そうならないことを心より祈っていますが。





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最終更新日  2018.10.08 13:26:29
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