inti-solのブログ

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2019.05.29
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テーマ: ニュース(95880)
カテゴリ: その他
川崎殺傷事件「死にたいなら一人で死ぬべき」という非難は控えてほしい


次の凶行を生まないため、これらの言説をネット上で流布しないでいただきたい。
秋葉原無差別殺傷事件など過去の事件でも、被告が述べるのは「社会に対する怨恨」「幸せそうな人々への怨恨」である。要するに、何らか社会に対する恨みを募らせ、「社会は辛い自分に何もしてくれない」という一方的な感情を有している場合がある。
類似の事件をこれ以上発生させないためにも、困っていたり、辛いことがあれば、社会は手を差し伸べるし、何かしらできることはあるというメッセージの必要性を痛感している。
「死にたいなら人を巻き込まずに自分だけで死ぬべき」「死ぬなら迷惑かけずに死ね」というメッセージを受け取った犯人と同様の想いを持つ人物は、やはり社会は何もしてくれないし、自分を責め続けるだけなのだろう、という想いを募らせるかもしれない。
その主張がいかに理不尽で一方的な理由であれ、そう思ってしまう人々の一部が凶行に及ぶことを阻止しなければならない。
そのためにも、社会はあなたを大事にしているし、何かができるかもしれない。社会はあなたの命を軽視していないし、死んでほしいと思っている人間など1人もいない、という強いメッセージを発していくべき時だと思う。
人間は原則として、自分が大事にされていなければ、他者を大事に思いやることはできない。
社会全体でこれ以上、凶行が繰り返されないように、他者への言葉の発信や想いの伝え方に注意をいただきたい。(一部要約)

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正直なところ、私自身も、この種の事件が起こったとき、「死にたいなら1人で死ね」という感情を抱いたことは、多々あります。今回も、そういう感情はありました。藤田氏のこの文章を読むまでは。だから、読んで、「あっ」と思いました。
藤田氏の主張には、時々賛同できかねるときもあります が、今回は正しい。そのとおりと私も思います。

藤田氏のツイッターに対する反応を見ると、どうも誤読しているとしか思えない批判のオンパレードですが、藤田氏は、「死にたいなら1人で」という類の言葉で非難するな、と言っているだけで、この犯人を批判してはいけない、などとは言っていません。
もちろん、今回の事件は許し難い犯罪であり、どれだけ非難しても足りないということはありません。私だってうちの子がもし同じ目に合ったらと思ったら戦慄しますから。
ただ、既に死んでしまった犯人に対して「死にたいなら一人で死ね」と言っても、その言葉はもはや本人には届かないし、絶対に元には戻らないのです。とすれば、この言葉は、犯人に対する批判のつもりでも、実際には今生きている人々、とりわけ、これからひょっとすると自殺をするかもしれない人に対するメッセージとならざるを得まません。

自殺しようとする人の99.9%は、他人を道連れにしよう、などとは考えないでしょう。言われなくても、ほとんどの人は1人で自殺します。では、それに対してかける言葉が、他人を道連れにしないでどうぞ1人で自殺してください、ということでいいのか。それが、自殺しかねない人に対する正しいメッセージなのか、という問題がまずあります。どう考えても違うだろうと思います。

そして、更に問題なのは、死なばもろとも他人を巻き込もうとする者が、ごくわずかですが存在することです。そういう人が「死にたいなら1人で死ね」と言われて、「なるほどそのとおり、では1人で死ぬことにします」などと考える可能性は、はっきり言ってゼロでしょう。むしろ、そういう言葉は挑発にしかならず、社会に対してより敵意をこじらせるだけであることは明らかです。
とすれば、「死にたいなら一人で死ね」は、それを発する人の意図とは裏腹に、今後類似の犯罪の発生を抑制するために、まったくプラスの効果を発しない、どころか、この種の、社会全体に敵意を持つ人を挑発して無差別的な犯罪を誘発することになりかねない、マイナスの効果しかない、ということになります。


そしてもう一つ。
「人間は原則として、自分が大事にされていなければ、他者を大事に思いやることはできない。 」
これも至言です。実にそのとおりです。

ただし、これまで大事にされてこなかった人が、あるときから大事にされはじめたら、他者を大事に思いやれる人間に変われるか、というと、これはなかなか難しいです。もちろん、そういう例もありますが、悲しいかな「もはや何をやっても手遅れ」な人も珍しくはないのが現実です。
そして、残念ながら「(あなたに)死んでほしいと思っている人間など一人もいない」というのも、そうでありたいものだとは思いますが、現実は違います。他ならぬ私ですら、そういう思いが頭をかすめたことがない、とは言えません、心の中まで聖人君子になることはできないので。まして、世間一般にはなおさらでしょう。
とは言え、そんなことをわざわざ本人の面前で口にすべきではないでしょうし、そんな人であっても、いや、そんな人ほど、「死ぬなら1人で」の言葉は、逆効果にしかならないでしょう。いくら「何をやっても手遅れ」な人柄であっても、無差別犯罪など犯す人はごくわずかです。それをわざわざ犯罪に向けて背中を押すような言葉は、口にした本人の気は済むかもしれないけれど、社会全体としては、損の大きい結果しかもたらさないでしょう。





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最終更新日  2019.05.29 19:00:12
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