Raruraさん

初鹿については、今回の判決について触れた最初の記事

plaza.rakuten.co.jp/intisol/diary/201912190000/

にて言及しているのでそちらをご参照ください。この記事は、山口の事件とTBSとの関連についての検証なので、初鹿は関係ありません。 (2020.01.06 19:10:14)

inti-solのブログ

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2019.12.23
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テーマ: ニュース(95880)
カテゴリ: 政治
伊藤詩織事件で残るTBSへの疑問

コメンテーターは安倍首相との関係を憶測しているが、首相官邸が個別の犯罪捜査に介入することはありえない。それよりはっきりしているのは、山口氏が事件当時、TBSのワシントン支局長だったという事実である。TBSは警視庁クラブの加盟社であり、その関係に警察が配慮したことは十分ありうる。その経緯を時系列で整理しよう。

2015年4月2日:ベトナム戦争のときの韓国兵の「慰安所」があったことを山口氏が書いた『週刊文春』が発売。
4月3日:伊藤氏が一時帰国中の山口氏とホテルに行く。
4月9日:伊藤氏が原宿警察署に相談する。
4月23日:山口氏がワシントン支局長を解任され、営業局に異動。
4月30日:伊藤氏が被害届けを高輪署に提出。告訴状も受理される。
6月8日:山口氏が帰国したとき成田で逮捕する予定で捜査員が空港に待機していたが、直前に逮捕状の執行が停止される。
8月26日:警視庁が山口氏を書類送検。
2016年5月30日:山口氏がTBSを退社。
7月22日:不起訴処分。

2015年4月から2ヶ月ほどの間に、文春事件とホテル事件という二つの系列の(互いに無関係な)事件が連続して起こっている。文春に無断で記事を書いたことが社内規定に違反するというのがTBSが彼を解任した公式の理由だが、その直後にホテル事件が起こった。
文春の記事とホテル事件には因果関係はないが、伊藤氏が警察に相談した直後に懲戒処分が出たのは偶然とは思えない。山口氏が文春に記事を書いたのは初めてではなく、それまでも何度かアルバイト原稿を書いて黙認されていた。1本の記事で支局長解任という処分は重すぎる。
つまり警察からTBSに(4月中旬に)「山口氏が帰国したら逮捕する」という連絡があり、TBS幹部が警視庁に「逮捕だけは勘弁してほしい」と取引したと推測できる。
ワシントン支局長が逮捕されたら大スキャンダルで、特に採用にからんだ事件となると経営責任も問われる。このとき警視庁が逮捕しない代わりに、TBSは支局長を解任して社会的制裁としたわけだ。(要旨・以下略)

---

また例によって池田信夫が、すぐに分かるウソを書いています。
確かに、TBSが、公式発表のとおり、本当になにも知らなかったのか、という点については、この時系列から見れば強い疑念を抱かざるを得ないことは事実です。4月23日に山口がワシントン支局長を解任された裏の理由はTBSが山口の犯罪的行為について知ったからではないか、という限りにおいては、私もそうではないか、と思います(それについては後述します)。
しかし、だから警察と裏取引で山口の逮捕をやめさせたのはTBSd、という理屈は成り立ちません。なぜなら、6月に山口は、逮捕状が取られて逮捕寸前の状態になっているからです。裏取引をしていれば、そんなことになっていない。TBSが警察とどのような裏取引を試みたにしても、それは役に立たなかったから逮捕状が取られたのでしょう。
逮捕状(逮捕令状)は、警察が裁判所に請求して発行されるものです。捜査までの段階なら、警察は手抜きをしたり後回しにしたりということはあるかもしれません。でも、逮捕令状を取る、という裁判所を巻き込んだ、逮捕のための法的手続きを取ってしまった後で、報道機関という民間企業との裏取引で逮捕を見送る、なんてことができるのか、ということです。警察の側だって、そんなことが発覚すれば責任問題となるリスクを負います。冤罪が判明したのなら分かりますが、その後山口は書類送検されているのだから、その時点で警察は山口が無実だなどと認識はしていません。

従って、それは外部の民間企業との裏取引ではなく、警察に対して指揮命令できる立場の者から発せられた指示、と考える方がはるかに自然です。そして、逮捕の見送りを直接指示した中村格警視庁刑事部長は、安倍首相にきわめて近い警察官僚です。
それに、山口がこの件について、会社にではなく官邸に相談していることについては、それを伺わせる証拠が残っています。すなわち、この件は2年後になって週刊新潮が察知して記事にしたわけですが、その際週刊新潮から送られたメールの質問状を、北村滋内閣情報官に転送しようとして誤って「北村さま~転送します」という文面のメールを週刊新潮に返信するというミスを犯しています。
従って、山口がこれ以前から、この件について首相官邸と連絡を取り合って、その判断を仰いでいたことが伺われます。逆に、山口がこの件について、会社に何かの相談をした証拠は、一切ありません。

また、これとは別に、この間、山口は「総理」という安倍礼賛本を執筆して、TBSを退職した翌月の2016年6月に発行、さらに翌月の7月22日に不起訴処分となっています。安倍礼賛本を書いたご褒美として不起訴にしてもらった、タイミング的にはそのように受け取れます。



そういうわけで、池田信夫のこの珍説は、唾棄すべき論外の主張であるとは思います。
ただし前述のとおり、TBSが本当になにも知らなかったのか、については私も疑念は抱きます。この点に限定すれば、池田の言うとおりです。TBSの顔であり、山口の前のワシントン支局長であった金平キャスターが、報道特集の番組中、「今日は残念ながらお伝えできませんが、いつの日かこの問題を取り上げたいと私は思っています」と発言したとの報を見ても、TBSはすべてを正直には語っているとは思えません。有り体に言って、TBSは事態を秘密裏に知って、山口を左遷し、表沙汰になればともかく、ならなければそのまま退職で済ませようとした(実際、そうなった)のではないか、ということです。本来、山口のやった行為をきちんと把握していれば、自己都合退職などありえず、懲戒免職しかないはずですが、やったことを知りながら、そうしなかったのではないか、という疑念は消えません。
この際、TBSも、この件での自社の対応がどのようなものだったのか、きちんと検証して公表すべきではないのか、と私は思います。





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最終更新日  2019.12.23 19:49:01
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書類送検について  
ハゲを励ます。 さん
この部分は一概には言えません。
「その後山口は書類送検されているのだから、その時点で警察は山口が無実だなどと認識はしていません」
警察が捜査した場合微罪処分を除き書類等を送検しなければなりません(刑訴246)。その際処分意見が付されます(犯罪捜査規範)。意見には4段階があり「厳重処分」(起訴を求める)「相当処分」(検察判断に委ねる)「寛大処分」「しかるべき処分」(起訴を求めない)があります。従って警察は送検の段階で無実(構成要件に該当する事実は無い)と認識していても送検をする場合があります。
なお本コメントは貴殿の推測に異議を述べるものでも当該事件についてのコメントでもございません。ご了解願います。 (2019.12.23 23:26:18)

Re:書類送検について(12/23)  
inti-sol  さん
ハゲを励ます。さん

おっしゃるとおりではありますが、「寛大処分」「しかるべき処分」というのは、微罪、処罰するほどの重罪ではない、という意味であって、潔白であるという意味ではないでしょう。
加えて、この件に関しては、所轄署は逮捕する気満々で、山口の帰国を捜査員が成田空港で待ち構えていたところ、中村格警視庁刑事部長にストップをかけられたというではありませんか。ということは、少なくとも捜査の現場は無実とは認識していなかったってことですね。 (2019.12.24 06:53:55)

書類送検について(2)  
ハゲを励ます。 さん
inti-solさんへ
ここに言う無実とは刑法第178条第2項(当時)の構成要件に該当する事実はない無いという意味です。生の事実が無いという意味ではありません。何をもって潔白とするかは文脈によりますが刑事手続きにおいては無実=潔白とするのが一般的です。民事裁判とは論理が違います。 (2019.12.24 10:20:58)

Re:TBSにいろいろと闇がありそうなのは事実だが(12/23)  
Bill McCreary さん
>中村格警視庁刑事部長は、安倍首相にきわめて近い警察官僚です。

彼のWikipedia記事を見ると、

>ラ・サール高等学校卒業時に学業成績が10位以内の者に贈られるラ・サール賞を受賞するほどの秀才であっただけでなく、秀才揃いの同校の中でもプライドの高さが際立った印象を周囲が強く受けていた。

とありますね。

//ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E6%A0%BC

ご当人が警察庁に入庁した理由はさまざまでしょうが、おそらく彼なりの社会正義の実現に役立ちたいという考えはあったはずで、それがこの様ではまったく無様で無残にもほどがありますね。お話にもならないとはこのことです。 (2019.12.24 18:48:44)

Re:書類送検について(2)(12/23)  
inti-sol  さん
ハゲを励ます。さん

おっしゃることはわかります。刑事手続きにおいてはそのとおりではあるだろうと思います。灰色の無罪も微罪だから無罪も、一点の曇りもない無罪も、罰せられない、という意味においては変わらないですからね。
ただ、少なくとも山口が逮捕されなかったのは無実であることが判明したため、だったとは到底考えられません。

Bill McCreary さん

記事のその部分については、ソースが示されていないので真実性はちょっと謎ですが、学歴や経歴から考えればありそうな話ではあります。

>彼なりの社会正義の実現に役立ちたいという考えはあったはず

確かに、東大法学部卒なら、本人が望めば他の役所や民間の大手企業に就職することもできたでしょうから、そのなかで警察を選んだのは、そういう理由もあったかもしれません。しかし、初心なんてみんな忘れてしまうものなんでしょうねえ。 (2019.12.24 21:22:28)

Re:TBSにいろいろと闇がありそうなのは事実だが(12/23)  
Rarura さん
強制わいせつ罪で立民を離島した初鹿議員についてはどうお考えですか?
全く触れられていなかったので。 (2020.01.06 13:21:50)

Re[1]:TBSにいろいろと闇がありそうなのは事実だが(12/23)  
inti-sol  さん

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