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2025.09.28
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カテゴリ: 鈴木藤三郎
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「鈴木藤三郎伝」鈴木五郎著143ページ

3月14日朝8時20分に土佐丸は、サウサンプラン出航以来33日ぶりでシンガポールに入港した。藤三郎は三井物産会社の友常に迎えられて上陸して、同市カンポルバァルブの大野の宅に行って、主人の勧めのままに同家に泊った。15日はバタリーロードの三井物産会社支店に行って、当港の砂糖輸出入状況を調べた。そして、16日からジャヴァ国に渡って、半月余りを赤道直下の華氏106度(摂氏41度)の酷暑を冒してジャヴァ全島を調査して歩いて、4月4日に、またシンガポールに帰った。

明治30年3月14日 晴 91度 日曜 

                     東経103度51
○今午前8時20分シンガポールに到着する。
 このとき三井物産会社より友常氏が迎えに来て、これより同氏上陸してシンガポールカンポンパアルブの大野氏の居宅に行き、同氏に面会する。そして氏の勧めによって同家に宿泊した。この日午後6時より当地扶桑館において日本料理をもって土佐丸の事務員4名(三浦・柳川・北条・佐藤)を招いて送別のために一酒を呈する。夜10時退散した。
3月15日 晴 92度 午後大雨
 午前9時よりバタリロードの三井物産会社支店に行き、当地出入の砂糖年表等を取り調べる。そしてまた明日ジャワ島に行く出船があるため、同社員の友常氏と同行し、陸地に向う用意をする。
3月16日 晴 98度 
 午前7時30分カンポンパアルブの大野氏宅を出発する。(私と友常氏両人)、バンリーメン号に乗り込み、午前10時西南に向かって出船する。(このとき三井より林・河村両氏が船まで見送る)、この夜11時より大雨が降り、風浪のため船体が大変揺れる。
3月17日 晴  
 午前8時より右方にスマトラ島の西岸を見て進航する。左方には数多くの群島がある。いずれも草木が繁茂している。この辺りは赤道の直下であるため暑さが一層ひどく、106度なり。しかし時々雨が降るため暑さの苦しみをしのぐ。この夜11時より大きな雷雨が降る。
3月18日 晴  
 午前8時無事ジャワ国バタビア港に着船する。直ちに上陸して税関の検査を受け、これより直ちに汽車で9時40分バヒアのデスネザランデンホテルに宿をとる。
午後1時より当所カリブツサーマクリインワッソン会社に行き、支配人に面会して砂糖見本を見る。また当地の商況を聞く。これより市役所に行く。上陸を届けを行う。途中バッサルバール街において日本商店を見る。ここにおいて同店に立ち寄り店員に面会する。これは和歌山県人後藤実之氏の店(雑貨店)である。
3月19日 曇り 95度
 午前9時より馬車で市中を回覧した。午後1時後藤氏が訪ねて来た。これより同氏の案内で旧トバト及び市中汽車の原動器据付所を見物した。
3月20日 95度
 午前9時より後藤氏が来て、これより同氏の案内でフハンニーロップ氏の店に行き、支配人に面会した。またマクリインワツソン氏に面会して、砂糖取引の慣例その他の手続を聞く。午後6時ホテルに帰る。
3月21日 日曜 96度
 この日はすべて休業なので、ホテルで当地の物産輸出表などを取り調べる。
3月22日 95度
 午前9時後藤氏が来て、しばらくして帰る。友常氏は市内へ行き、私は前日の調べを行う。
 午後3時よりマクリインワツソン会社へ行き、午後5時ホテルに帰る。
3月23日 96度
 午前9時より友常氏は外出する。私はホテルで前日の調べを行う。また明日出発の用意をする。
3月24日 晴 98度
 午前6時バタビア府を出発し、当地より汽車に乗り午後7時マウスに着き、ステイションホテルに泊まる。
3月25日 晴 97度
 午前6時マウスを発車して午後6時リラパヤ府に着く。これより馬車でホテルに宿をとる。
3月26日 晴 96度
 午前8時より市役所に行き、私たちの到着を役所に届けようとする。しかるに馬車の御者が言葉が通じないため、中国人役所に行き、私たちを中国人として取り扱おうとする。ここで筆談して中国人ではないことを論じ、これより日本人の画家鳥羽氏の住所に行き、同氏に面会する。このとき、藤田領事の通訳である大川氏に面会する。これより同氏の案内でネザランドホテルに行き、藤田領事に面会する。これより直ちに私たちはホテルに引き上げ、更にネザランドホテルに引っ越し、藤田領事と同宿とする。これより領事の添書をもって当府の知事の自宅に行き、内地旅行の承諾を得る。これよりフレーザーイートン会社へ行き、支配人に面会して砂糖の見本及びすべて取引先の要点を取り調べる。そしてまた同氏に求めるに明日製糖所の見物を申し込む。これより氏は私たちに紹介状を与えられた。ここに明日パショラムに行くことを約束する。この夜、林・鳥羽両氏が訪れてきた。
3月27日 晴 97度
 午前6時発の汽車で9時パショラムに到着する。これより3マイルばかり馬車でターナー氏製糖所に行き、主人に面会してフレーザーイートン氏の紹介状を示す。ターナー氏はこれより自ら案内して第一に甘蔗(サトウキビ)畑に行き、これより工場を説明して見物した。これより同氏に精糖に関するたくさんの質問をしたが、氏は懇切に説明してくれた(現在は製糖の時季ではない)、12時になって同所を去り、午後1時パショラム駅より乗り込み、4時スラバヤ府のネザランドホテルに帰る。この日藤田領事はシンガポールに向かって出発した。
3月28日 晴 97度
 午前9時より私と友常氏は小船に乗り、川を下り、港口の光景を見る。これより帰途上陸して鳥羽氏の宅に立ち寄り、これより同氏の案内で中国商館2,3店を訪ねる。これより直ちにホテルに帰る。この夜、林・鳥羽両氏は私の注文した当所の写真を持参してきた。
3月29日 晴
 午前9時より友常氏は外出する。私はホテルで日誌をしたためる。夕方鳥羽氏が訪ねてきた。
3月30日 晴
 午前8時ネザランドホテルを出発してこれより川船で港口に下り、汽船パンタム号に乗り込み、午後1時スラバヤ港(※)を出船する。
3月31日 晴
午前6時パエヤム島に到着する、ここで下等客200名が乗り込み、午前10時当地を出発する。
4月1日 晴 98度
 午前6時よりボルネオ島を右方に見て進航する。
4月2日 晴 98度
 この日午後1時より大雷雨あり。
4月3日 晴 93度
 午前7時30分無事シンガポールに到着する。これより直ちに上陸してシテカンポンパルニに行き、大野氏宅へ行き、10時より日本領事館へ行き、藤田領事に面会する。これよりパタリーロード三井物産会社へ行き、またハイストリート26番地の乙宗商店(日本雑貨店)へ行き、支配人田原寅吉に面会する。これより直ちにカンポンバルプの大野氏宅に帰る。

4月4日  晴 92度 午後雨

 午前9時より三井物産会社へ行き、友常氏と中国人某の氷糖製造所に行き、工場を見る。また香港行き乗船切符を求める。

4月5日  日曜 午後雨 92度

 この日は休業につき、大野氏宅において日誌その他の書類を取り調べる。午後3時より大野氏と公園に行く。

4月6日  晴 94度

 午前7時フランス国郵便船セダン号が入船する。同船よりロシア国日本公使館一等書記官大前・フランス国同一等書記官加藤の2氏が上陸して大野氏宅に来る。ここにおいて私は両氏に面会する。そして午後4時より大野氏宅を出発して右両氏と乗船する。このとき藤田領事・大野氏は桟橋まで見送りに来る。午後5時セダン号はシンガポール港を出船した。

この船に日本人の乗客は大前・加藤・田原・後藤・坂本・周東外3人、西洋人120名、中国人200名なり。    東京堀江丁19番新居支店 周東喜三郎






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最終更新日  2025.09.28 00:00:18


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