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【29】尊徳先生が弁算和尚に問うておっしゃった。
「仏が一代の説法は無量である。
しかしながら、区々の意あるわけではなかろう。
もし一切の経蔵に一言で題する時はどう言えばよいか。」
弁算和尚は答えて言った。
経典に「諸悪莫作(しょあくまくさ:もろもろの悪をなすなかれ)、衆善奉行(しゅぜんぶぎょう:もろもろの善を実践せよ)という。
この二句をもって、万巻の一切経を覆うことができよう。」
先生はおっしゃった。
「そのとおりだ。」
【29】翁、僧弁算(べんさん)に問ふて曰く、
仏一代の説法無量なり、然りといへ共、区々の意あるべからず、
若し一切経蔵に題せん時は如何(いかん)。
弁算対へて曰く、
経に、諸悪莫作(しょあくまくさ)、衆善奉行(しゆぜんぶぎやう)、と云へり、
此の二句以て、万巻の一切経を覆ふべし。
翁曰く、
然り。
【27】 翁曰く、
仏書に、光明遍照(こうみやうへんせう)十方世界、念仏衆生(ねんぶつしゆじやう)摂取不捨(せつしゆふしや)といへり。
光明とは太陽の光を云ふ。
十方とは東西南北乾(いぬゐ)坤(ひつじさる)巽(たつみ)艮(うしとら)の八方に、天地を加へて十方と云ふなり。
念仏衆生とは、此の大陽の徳を念じ慕ふ、一切の生物を云ふ。
夫れ天地間に生育する物、有情(うじやう)蠢動(しゆんだう)の物は勿論、無情の草木と雖(いへども)、皆大陽の徳を慕ひて、生々を念とす。此念ある物を仏国故に念仏衆生と云ふなり、神国にては念神(ねんしん)衆生と読むべし。
故に此の念ある者は洩さず、生育を遂させて捨て玉はずと云ふ事にて、太陽の大徳を述べし物なり。
則ち我が天照大神(あまてらすおほみかみ)の事なり。
此の如く太陽の徳は、広大なりといへども、芽を出さんとする念慮、育てんとする気力なき物は仕方なし。
芽を出さんとする念慮、育たんとする生気ある物なれば、皆是を芽だたせ、育たせ給ふ、是れ太陽の大徳なり。
夫れ我無利足金貸附の法は、此の太陽の徳に象(かたど)りて、立てたるなり。
故に如何なる大借といへ共、人情を失はず利足を滞りなく済し居る者、又是非とも皆済して他に損失を掛じ、と云ふ念慮ある者は、譬へば、芽を出したい、育ちたいと云ふ生気ある草木(くさき)に同じければ、此の無利子金を貸して引立べし。
無利子の金といへども、人情なく利子も済さず、元金をも蹈倒(ふみたふ)さんとする者は、既に生気なき草木に同じ、所謂(いはゆる)縁無き衆生なり。
之を如何(いかに)ともすべからず、捨て置くの外に道なきなり。
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