2024年01月18日
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カテゴリ: フォーク
29年前のこの時間、自分は何をしてただろうかって考えてた。

西の空が真っ赤に染まってて父親とバス道に出て迫ってくる火を心配そうに無言で見てた。
街灯も消えてて真っ暗な中、炎の赤さと炎に映し出される真っ黒な煙が目に焼き付いてる。
自分と父親の周りにも多くの人たちが心配そうに西から迫る炎を見つめてた。
その時、小さな子の怯えたような震えた泣き声が耳について今でもリアルに響く。
みんな同じように泣きたい気持ちだった。
自分の家は全壊でどこからどう片付けて、どう生きて行こうかとその夜は悲観的になってた。
阪神・淡路大震災で無くした物は多すぎた。それはあの場で経験した人はみんな同じ。

両親と一緒に住んでなかったので、震災直後に電話して生存を確認できて、

やっと両親に会えた時に、酷い状態の家の前で神様に感謝したのを覚えてる。
そこからの記憶は不思議な感じで断片的にしか思い出せない。
5日間ほどどう生きてたのか何をしてたのか記憶が飛んでしまってる。
確かに覚えてるのは父親の横で呆然と無言で西の空を見ていた光景や臭いや子供の泣き声だけは
忘れない。

杉田二郎さんが震災から3年後にこんな曲を歌った。




「子供の心」
作詞 きたやまおさむさん  作曲 杉田二郎さん  編曲 塩入俊哉さん

幼稚園の頃のこと迷子になって 見知らぬ町ではぐれて夜になって
もう誰にも会えないだろうと 世界から見捨てられたと思い込みました

何かにぶつかって擦り傷つくって 切れた見えない額から一筋流れた


あの子供の気持ちがわかりますか あの子供の心は忘れましたか
あなたの心の小さな子供は 今、今何を感じていますか

神戸の子供達は何を感じたでしょう
大地が激しく揺れて町が壊れて
両親と別れてさ迷うあの日の彼ら


あの子供の気持ちがわかりますか あの子供の心は忘れましたか
あなたの心の小さな子供は 今、今何を感じていますか



この曲は1998年の「杉田 二郎 30周年記念コンサート「絆」 ~きたやま おさむ作品を唄う~」で
初めて発表されライブバージョンのみでした。
2016年にアルバム「やわらかい心」で初スタジオレコーディング。

この曲を初めて聴いた時に自分達と同じように炎を見上げてた泣いてる子供の声を思い出す。
今日は無性にこの曲が聴きたくなって何度も聴いていました。




きたやまおさむさんと杉田二郎さんで作った「祈り~prayer~」という曲も心に響いた。


「明日何がおこる 地球のどこかで
 今眠れないのは 明日が見えないから
 愛だけで私たち
 本当に生きて 死んでいけるの」

こんな歌詞で始まるこの曲も、あの夜の自分が眠れずに考えていたような事。

あの時から毎年、毎年、この日が来ると心が重くなって体調がいつもと違うように感じる。
こんな風に時間を過ごしてる人が物凄く多いんだろうなと思う。
頭の中で封印していたあまりのも悲惨な光景や声を少しずつ甦らせて向き合ってる。
今までなら思い出しそうになると、すぐに目を開けて違う事を考えて封印してきた。
29年前のあの日から自分は違う人間になったほど変わったかもしれない。





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最終更新日  2024年01月18日 03時22分30秒


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