ミステリの部屋

ミステリの部屋

2007年04月06日
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職を失い妻子とは現在別居中。駒井健一郎三十四歳はどん底にいた。

「次の衆院選に立候補する。共に戦ってくれ」。
コネや金は一切なし、持てるものは理想のみ。
第二の人生を拓くため、彼らは完全無党派で選挙戦に挑む。
理解のない妻、敵陣営の妨害。早くも難題は山積みなのだが。情熱系エンターテインメント。
(「BOOK」データベースより)

久しぶりに読んだ真保裕一さんの作品。
タイムリーですね。実は前回の選挙の時に読み損ねて、今度こそ読むぞ、と思ってはりきっていたのですが、結局ギリギリ。読み終えたとき選挙は明後日に迫っていました。

選挙が描かれているとはいえ、さすがに真保さん、全く難しくはなく面白く読ませる話です。

主人公は一流商社に勤める駒井健一郎34歳。
事業が失敗した責任を押し付けられる形になり、プライドの高い彼は会社に辞表をたたきつけます。
ところが予想以上に転職は難しいことを思い知らされ、そのうち気持ちの行き違いを感じた妻は子供を連れて家を出て行ってしまいます。
職安通いを続けていたある日、声をかけてきたのは高校時代の友人にして陸上部のライバル、天知達彦でした。

新聞記者をやめた達彦は、故郷である静岡から衆議院選挙に立候補するので手伝って欲しいと言います。


天知達彦はあくまで無所属で出馬して、政治のために道を示したいと言います。
お金も人も事務所もなく問題は山積みですが、クラスメイトを中心とした小さな素人集団は、果敢に選挙戦に船出していきます。

選挙と聞いても、私にはほとんど語ることがありません。
いかに政治に選挙に関心でいたかということがバレバレですが、この作品を読んだおかげで選挙のやり方や問題点を知ることができました。

「自らの一票を無駄にしている国民に、政治を批判する権利などない、」と言う言葉は本当に耳が痛かったです。

告示されてからの選挙期間というのは実は選挙戦にとってはすでに終盤で、実際は随分前からしっかり始まっているのです。
選挙に必要な物を調達する苦労も、こまごました物にかなりお金がかかることもわかりました。
大政党がいかに優遇されているか、無所属での出馬がいかに不利かということも。

次第に仲間たちが集まってくるのですが、達彦の青臭いともいえる理想にかける彼らの雰囲気は、まるで青春時代が再び来たかのよう。

失敗し、悩み、結束し、過去の恋にこだわる彼ら。
そこにまた様々な妨害があり、かけひきがあり、裏切りがあり、新たな真実がわかり、目が離せません。


それで私が何をしたかというと…………う~ん、とりあえず選挙公報を読むことにしました。今頃ですが…。




ダイスをころがせ!(上巻) ダイスをころがせ!(下巻)










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最終更新日  2007年04月06日 23時38分59秒
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