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映画 マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、クロアチア、スロベニアの監督 6
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ビリー・ワイルダー「アパートの鍵貸します」こたつシネマ ここのところ、2010年代のアカデミー賞作品を続けて見ていたのですが、今日は、半世紀以上前のアカデミー賞映画を、コタツに寝転がって見ました。アカデミー賞鑑賞週間、番外編ですね(笑) 家では、映画とか、あんまり見ないのですが、今日は、なんとなくテレビの前に立って見始めて、そのまま椅子に座り込んで、結局、コタツにもぐりこんで見終えました。見たのはビリー・ワイルダーの傑作「アパートの鍵貸します」でした。「あら、アカデミー賞特集、ケーブルテレビもやってるわよ。」「ふーん、何?」「今日はアパートの鍵貸しますやって。」「ジャック・レモンやろ。」 なんか、テレビの前でチッチキ夫人がひとり言を言いながらチャンネル・リモコンをいじっていました。「始まった?」「うん。見る?私は見る。」「これって、マリリン・モンロー出てくるんやったっけ?」「これは、モンローちゃうわよ。」 いつの間にかテレビの前に立っているシマクマ君です。 ビリーワイルダー、ジャック・レモンといえば、まあ、思い浮かぶのはマリリン・モンローですが、この映画に出てくるのはシャーリー・マクレーンですね(笑)。 1960年ですから、60年前のコメディ映画です。監督はビリー・ワイルダーで、保険会社に勤める独身サラリーマン、バドを演じるのがジャック・レモン、エレベータガールで、部長の浮気相手フランがシャーリー・マクレーンで、まあ、結論を先にいえば、二人の恋物語です。 まあ、そこから先のストーリーはいろんなところで読めますから書きませんが、こたつで見ていた、まあ、いい歳をした二人組は、笑いながらも、トンチンカンな会話に終始していました。「なんか、この会社、スゴイ、フロアーやね。アメリカやからなん。」「うん、アメリカ、アメリカ、50年代のニュー・ヨーク。保険会社。」「大企業いうこと?」「こんなフロアーの会社って、今でもあるんかな?」「あっ、このエレベータの人や。」「モンローちゃうな(笑)。」「何、この、部長とかの意味わからんセリフ。」「男らしいやん(笑)。いま、コレ、映画に出来るかな?」「パワハラどころちゃうやん」「あっ、パスタ、ラケットで掬ってる。」「むりむり、ああ、水かけてる。」「昔はスバゲッティ、ゆであがったら水で洗ったんちゃう?」「うっそー!」 まあ、今、考えると、あり得ないシチュエーションのコメディで、いってみれば荒唐無稽なのですが、その上、結末は知っているにもかかわらずうまくいけばいいな! とか、まあ、どっちかというとさえないお調子者のジャック・レモンを応援したりしながら、最後まで見せてしまって、違和感ゼロというのは何故でしょうね。 第33回、1961年のアカデミー賞で作品賞、監督賞など、5部門制覇! した人気作です。学生時代にも、それからテレビでも、見た記憶がありますが、今見て、やっぱり面白いんですよね(笑)。 いやー、ビリー・ワイルダー恐るべし! ですね(笑)。拍手!監督 ビリー・ワイルダー製作 ビリー・ワイルダー I・A・L・ダイアモンド撮影 ジョセフ・ラシェル音楽 アドルフ・ドイッチ美術 アレクサンドル・トローネルキャストジャック・レモン(C・C・バクスター 通称バド)シャーリー・マクレーン(フラン)フレッド・マクマレイ(J・D・シェルドレイク部長)レイ・ウォルストン1960年・125分・G・アメリカ原題「The Apartment」公開 1960年10月8日2024・03・某日・no043・こたつシネマno18 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.03.18
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ジョン・ランディス「ブルース・ブラザース」こたつシネマ 2023年最後の映画は、いや、2024年最初の映画は、の方がいいかな。2023年の大みそか午後11時過ぎから、コタツには、久しぶりにそろったピーチ姫とチッチキ夫人、二人の女性が陣取っていて、なにやらにぎやかです。 「除夜の鐘なってる!」「どこ?」「多聞寺!」 こたつの上には、近所のコンビニで急遽仕入れてきたアイスとか、ポテトチップスとかカリントウとか、準備万端整っています。年越しはこの映画! 気合十分ですが、シマクマ君の座る場所はありません。まあ、ボクはテレビで映画は見ないし! 開き直っていたのですが、ちょうどオープニングに通りすがって、なんとなく一人だけ椅子に座り込んで、それでどうなるの? と引っ張られて、とうとう、最後まで見終えました。 1980年の古い映画でしたが、傑作でした(笑)。映画館で見ていたら、まちがいなく「今年のベストテン」でしたね(笑)。 見たのはジョン・ランディス監督の「ブルース・ブラザース」でした(笑)。 学生の頃の封切りで、何度か見ているのですが、そのたびに、始まると目が離せませんでした。ハチャメチャなのですが、なぜか、真面目に可笑しい。パトカーが大量に出て来たり、ショッピングモールを自動車が走り回ったり、何故かナチスの親分が出て来たり、とどのつまりは、あのスピルバーグまで出てきます。で、誰も死なない。 何が、どうおもしろいのか、説明はできませんが、一番おかしいのは、やっぱりサングラスをはずしたジェイク(ジョン・ベルーシ)だったかもですね。 いやはや、なんとも、平和な年越しでしたね。まあ、それにしても、これを越えるアホらしい映画には、なかなかお目にかかれそうもないですが、2024年も映画館をウロウロしたいと思います。皆さま、よいお年を!グッド・ラック! でした。監督 ジョン・ランディス脚本 ダン・エイクロイド ジョン・ランディス撮影 スティーブン・M・カッツ美術 ジョン・J・ロイド衣装 デボラ・ナドゥールマン編集 ジョージ・フォルシー・Jr.音楽 アイラ・ニューボーンキャストジョン・ベルーシ(ジェイク・ブルース)ダン・エイクロイド(エルウッド・ブルース)ジェームズ・ブラウン(クリオウファス・ジェームズ牧師)キャブ・キャロウェイ(カーティス)レイ・チャールズ(レイ楽器店の盲目の店主)キャリー・フィッシャー(謎の女)マット・マーフィ(マット “ギター” マーフィ)アレサ・フランクリン(マット・マーフィの妻)ヘンリー・ギブソン(イリノイ・ナチ司令官)ツイッギー(給油所でナンパされる女)スティーヴン・スピルバーグ(クック郡収税課職員)1980年・133分・アメリカ原題「The Blues Brothers」2024・01・01・no001・こたつシネマno17 !
2024.01.06
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スティーブン・スピルバーグ「プライベート・ライアン」こたつシネマ 映画.com 久しぶりにスピルバーグの作品を観ました。夕食を食べようとコタツに向かってテレビのスイッチを入れるとちょうど始まるところで、見始めて、やめられなくなったのでした。 スティーブン・スピルバーグ「プライベート・ライアン」です。 1998年の映画です。映画を見に行かなくなってからの作品で、劇場では見ていませんが、テレビでは複数回見ている作品です。まあ、今更、感想を書くまでもない作品ですね。話の筋も、どなたでもご存知の作品でしょうから端折ります。ただ、今回、備忘録として書いておきたいことが一つあります。 スピルバーグという人は、残酷シーンを描く時に情け容赦がないところがあるとぼくは思っていますが、この映画の冒頭、ノルマンジー上陸作戦のシーンで次々と死んでいく連合軍の兵士の死のシーンがありますが、徹底して死んでいきます。現場にいる兵士の目に見える周りの兵士たちの死のシーンが、いかにもスピルバーグらしい臨場感で描かれているのですが、そのシーンを見ていて、不覚というか、なんというか、涙が止まらなくなってしまったのです。 どんなにリアルだといっても、映画のシーンに過ぎません。スリラーとかで怖いのならばともかくも、いわゆるリアルな戦場シーンで、なんで涙が止まらなかったのか、我ながら謎ですね。 もっとも、最後の墓地のシーンで、白い十字架がズーっと並んでいるシーンにも、危うく・・・だったことで、少し謎が解けた気はしました。 ぼくは、「お国のため」とかいう言葉を使ってものを言うたぐいの人が嫌いなのですが、あのシーンの余りにもな描き方をみていて、やっぱり、スピルバーグを信用しちゃうんですよね(笑)。 それから、もう一つ。「プライベートPrivate」って「一等兵」とか「二等兵」のことなんですね。見ていれば分かるわけで、忘れていたのか、気づかなかったのかよくわかりませんが、そこのところが、今回の「なるほどそういうことか!」でした。 久しぶりで、まあ、やっぱりテレビ鑑賞でしたが、ミラー大尉の筋の通しかたは悪くないですね。高校の作文の先生だというのも、まあ、ぼくの場合「そうか!拍手!」でしたね。(笑) もっとも、登場人物の中で一番いいと思ったのは、狙撃手のダニエル・ジャクソン二等兵(バリー・ペッパー)で、拍手!でした。ぼくは、ご存知の方にはお分かりいただけると思うのですが、スティーヴン・ハンターのスワガー・サーガかぶれなんですよね。戦争映画とかでスナイパーが出てくると、ちょっと興奮してしまうんですね(笑)。監督 スティーブン・スピルバーグ製作 スティーブン・スピルバーグ イアン・ブライス マーク・ゴードン ゲイリー・レビンソン脚本 ロバート・ロダット撮影 ヤヌス・カミンスキー美術 トーマス・E・サンダース衣装 ジョアンナ・ジョンストン編集 マイケル・カーン音楽 ジョン・ウィリアムズキャストトム・ハンクス(ジョン・H・ミラー大尉)エドワード・バーンズ(リチャード・ライベン一等兵)トム・サイズモア(マイケル・ホーヴァス一等軍曹Technical sergeant)バリー・ペッパー(ダニエル・ジャクソン二等兵・狙撃手)アダム・ゴールドバーグ(スタンリー・メリッシュ二等兵・ユダヤ人)ビン・ディーゼル(エイドリアン・カパーゾ二等兵・イタリア系)ジョヴァンニ・リビシ(アーウィン・ウェイド衛生兵)ジェレミー・デイビス(ティモシー・E・アパム五等技能兵)マット・デイモン(ジェームズ・フランシス・ライアン一等兵)1998年・170分・アメリカ原題「Saving Private Ryan」2023・01・24-no010・こたつシネマ
2023.01.23
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バレンタイン・デイビス「ベニイ・グッドマン物語」こたつシネマ チッチキ夫人のお誕生日プレゼントでヤサイクンが贈ってくれたのが、このDVDでした。バレンタイン・デイビス「ベニイ・グッドマン物語」です。 スイングジャズというのでしょうか、クラリネットの名手ベニー・グッドマンの「出世」物語です。もちろん出世とは、世に出るという意味です。1956年、今から60年前の映画ですが、楽しさは古びていませんでした。 まず面白いのが1910年代のアメリカの中流家庭の雰囲気と音楽事情です。子どものころの「名犬ラッシー」とかで垣間見た「アメリカ」がよみがえってきました。あの頃の、和製のドラマとは違う世界ですね。 そして、まあ、なんといっても音楽です。後半は特に演奏シーンがメインですから、これは劇場で見られたら、もっと楽しいでしょうね。 この春シネリーブル神戸が「テアトル・クラシックス」という企画で懐かしのミュージカルを特集するらしいのですが、うれしいニュースですね。こういう古い作品を劇場で見ることができる機会は、そうないですからね。監督 バレンタイン・デイビス脚色 バレンタイン・デイビス製作 アーロン・ローゼンバーグ撮影 ウィリアム・H・ダニエルズ美術 アレクサンダー・ゴリッツェン ロバート・クラットワージー音楽監修 ジョセフ・ガーシェンソンキャストスティーブ・アレン(ベニイ・グッドマン)ドナ・リード(アリス・ハモンド恋人)バータ・ガーステン(母)ロバート・F・サイモン(父)ハーバート・アンダーソン(ジョン・ハモンド:アリスの兄)サミー・デイビス・Jr.(フレッチャー・ヘンダアーソン:ピアニスト)ディック・ウィンスロー(ギル・ロダン:サキサフォン奏者)バリイ・トルエクス(グッドマン16歳) デイヴィッド・カスディ(グッドマン10歳) ハリー・ジェームズ(トランペット)ジーン・クルーパ(ドラム)ライオネル・ハンプトン(ヴィブラフォン)ベン・ポラック(ドラマー)1955年・アメリカ原題「The Benny Goodman Story」配給 ユニヴァーサル2021・11・3・こたつシネマ
2022.01.11
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ウォシャウスキー兄弟「マトリックス」こたつテレビ お正月の準備で忙しそうなチッチキ夫人をしり目にこたつにもぐり込んでニ時間頑張りました。見終えて、ボンヤリしていると、一緒に見たわけではないチッチキ夫人が一言声をかけてきました。「テレビで見ても面白くないんじゃないの?」 そうでもないかったのですが、よっぽど、面白くない顔をしていたんでしょうね。 見た映画は、二日ほど前に「マトリックス リローデッド」という、シリーズの第2作を見たのですが、なんと、第1作の「マトリックス」でした。 第4作公開がらみで、シリーズを全部TVで流していたようで、そのチャンネルに偶然出会って座りこみました。年の瀬とか言いますが、することがない老人にはすることがないのですね。 第2作でよく分からなかった主人公のネオという人がハッカーだったとか、どうやって強くなったとか、画面がグンニャリ変化するの理由とか、「どこでもドア」の理屈とか、それなりにわかりました。 あくまでもそれなりですが、要するに養老孟司のいう「脳化」社会の映像化だなというのがぼくの解釈でした。で、思い出したのは「胡蝶の夢」の話でした。昔者(むかし)、荘周、夢に胡蝶と為る。栩栩然(くくぜん)として胡蝶なり。自ら喩(たの)しみて志(こころ)に適(かな)へる。周なるを知らざるなり。俄然として覚むれば、則ち蘧蘧(きょきょ)然として周なり。知らず周の夢に胡蝶と為れるか、胡蝶の夢に周と為れるか。周と胡蝶と、則ち必ず分有り。此をこれ物化と謂ふ。 今から2000年以上も昔の人である荘子の有名な話です。中国の古典には「桃花源記」とか「邯鄲之夢」とか、夢ネタの怪奇譚はたくさんありますが、詩的というか哲学的なのは荘子のこの夢でしょうね。脳=意識の中のヴァーチャル・リアリティーを世界で最初に記した記述かもしれません。 養老孟司の脳化社会論(?)は身体性=自然性を失っていく都市化社会への警告なのだと思いますが、「マトリックス」というこの映画が一切の自然性をヴァーチャル化=脳化して見せているところに迫力を感じました。 もっとも、「マトリックス」から20年たった現在、子供たちに限らず、込み合う通勤電車でマスクで覆面した大人たちがスマホやタブレットのITワールドに夢中になっている光景が常態化しているわけで、現実の方がはるかにホラー的迫力を漂わせていることを思わせるこの作品は、今や「古典的」なのかもしれません。 久しぶりに、ドラゴン・ボールから庵野秀明まで、あの頃のマンガ・シーンを彷彿とさせてくれたウォシャウスキー兄弟に拍手!でした。監督 アンディ・ウォシャウスキー ラリー・ウォシャウスキー脚本 ウォシャウスキー兄弟撮影 ビル・ポープ美術 オーウェン・パターソン衣装 キム・バレット編集 ザック・ステーンバーグ音楽 ドン・デイビス視覚効果監修 ジョン・ゲイターカンフー振付 ユエン・ウーピンキャストキアヌ・リーブス(ネオ)ローレンス・フィッシュバーン(モーフィアス)キャリー=アン・モス(トリニティー)ヒューゴ・ウィービング(エージェント・スミス)グロリア・フォスター(預言者オラクル)ジョー・パントリアーノ(サイファー)マーカス・チョン(タンク)ポール・ゴダード(エージェント・ブラウン)ロバート・テイラー(エージェント・ジョーンズ)ジュリアン・アラハンガ(エイポック)マット・ドーラン(マウス)ベリンダ・マクローリー(スウィッチ)アンソニー・レイ・パーカー(ドーザー)1999年・136分・アメリカ原題「The Matrix」2021・12・30・こたつテレビ
2022.01.04
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ウォシャウスキー兄弟「マトリックス リローデッド」こたつシネマ 今は2021年の年の瀬ですが、ちょうど劇場公開されている「マトリックス レザレクションズ」という映画が気になっています。気にはなっているのですが、そもそも、やたら評判のいいらしい「マトリックス」という最初の作品も、そのあとの二つの作品も、全く見ていないわけで、その映画が「SFかな?」とか、まず、言葉がよくわからないのですが、「サイバーパンクかな?」とか、「未来世界ものかな?」というくらいしか見当がつきません。「どうしようかなあ・・」 そう思って逡巡していたのですが、クリスマスの夜に目的もなくTVをつけるとそこでやってました。 「マトリックス リローデッド」です。 どうも「マトリックス」の続編、第2作らしいですね。せっかくのチャンスですから、これは見ないわけにはいかないと見始めました。 ボンヤリ見ていて、ふと、「なんでこうなるの?」という感じで映像がそのようになるということの意味を不思議に思いはじめると、なんだかとてもめんどくさい気分になり始めました。で、しばらくして「ああ、これってどこでもドアやな。」というふうな納得がやってきました。要するにドラえもんあたりの理屈(?)なのだと、ようやく落ち着いて座り直しました。 結局最後までボンヤリ見終えたのですが、不思議だと思ったのは、物語の舞台は「未来」に設定されているのですが、人間同士というか、まあ、アンドロイド(?)とか、レプリカント(?)とかいろいろあるようなのですが、とりあえず「人間」の外見の登場人物たちの「心理」というか「意識」は案外「今風」というか、ヘタをすると、もっと古い「物語」なところでした。 で、その古い意識による行動がストーリーを牽引しているわけで、それじゃあ、どんな「あたらしい物語」が可能なのか、と思っちゃうわけですよね。 昔、「サルの惑星」を初めて見たときに、結局「サル」の姿をした人間の話であることを不思議に思ったことを思い出しましたが、この映画のなかでも「機械」と呼ばれている「敵」についても、たとえば、裸になると体のあちこちボタンのようなものが取り付けられているネオ(キアヌ・リーブス)という、主人公(?)についても、そのボタンの仕組みはよく分かりませんが、本質は、ただの人間というか、見ているこっち側から十分理解が届く存在で、べつに新しい感じはしませんでした。 SF的な作品に対する、マア、ないものねだりというか、むしろ見る側が一歩引いている感じの感想なのですが、そう思って見てしまうと書き割りだけが大仰に未来的な「マンガ」という印象でした。 ここで「マンガ」といいましたが、必ずしも貶しめているわけではありません。ボクはかなり「マンガ」が好きなほうです。ある種のシンプルさによるデフォルメが、マンガの持ち味の一つだと思いますが、この映画も、とてもシンプルだと感じました。 まあ、とは言いながら、映像の動きのなかには、なぜそうなるのかわからないこともたくさんありました。いってしまえばドラえもんを読む小学生は「どこでもドア」の仕組みを考え込んだりしないのですが、そばでのぞき込んでいるおじいさんは首を傾げてしまう、まあ、そんな感じです。 結局、新しい「レザレクションズ」という映画を見ようという意欲はあまり湧いてこなかったのですが、「どこでもドア」の仕組みとか、いろいろ考えこむ作品でした。 いやはや、それにしても、なぜ戦いはカンフーなのでしょう。それが、一番引っかかったことでした。 というわけで、どこに拍手していいかわからなかったので、今回は保留ですね(笑)。監督 ラリー・ウォシャウスキー・アンディ・ウォシャウスキー脚本 ウォシャウスキー兄弟音楽 ドン・デービスカメラ ビル・ポープ編集 ザック・ステンバーグ視覚効果 ソニー・ピクチャーズ・イメージワークスキャストネオ( キアヌ・リーブス)モーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)トリニティー(キャリー=アン・モス)エージェント・スミス(ヒューゴ・ウィーヴィング)ナイオビ(ジェイダ・ピンケット=スミス) 2003年・138分・アメリカ原題「The Matrix Reloaded」2021・12・24・こたつシネマ
2022.01.01
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バリー・レビンソン「バンディッツ」こたつシネマ 映画.com 「ああ、ブルース・ウィリスか?」 まあ、そんな気分で見始めましたが、欲求不満の塊のような女性ケイト(ケイト・ブランシェット)のハチャメチャなファースト・シーンに引き込まれて、お終いまでテレビの前を離れられないことになってしまいました。 最後のパターンが、見ている人の意表を突くように、徹底的に仕込んでいるところが映画というか、エンタメとしてエライ!と感心しました。 ラスト・シーンを見終えてジョージ・ロイ・ヒルという、今は亡き名監督の傑作「スティング」を思い出しました。 あの映画には女性は登場しなかったような記憶がありますが、この映画ではなかなかいい感じに「ぶっ飛んでいる」女性ケイトと、脱獄囚で銀行強盗のジョー(ブルース・ウィリス)、テリー(ビリー・ボブ・ソーントン)の二人組との三角関係が大事なプロットになっています。 もっとも、そこのところあたりはシマクマ君には「めんどくさいなあ」であって、見張り役のハーヴィー(トロイ・ギャリティ)の、ピンク色の女性を追っかけるこだわりも「フーン???」だったのですが、やたらに派手な結末で全員集合しているところは拍手喝采でした。 所謂「アメリカン・ニューシネマ」のイイトコ取りのような作品でしたが、それが、かえって楽しい趣向を感じさせてた作品でした。ブルース・ウィルスが雰囲気だけはまき散らしてましたが、暴れなかったのがぼくにはよかったですね。 まあ、やっぱりケイト・ブランシェットに拍手でした。いや、ほんと、ご苦労様でしたという感じです。監督 バリー・レビンソン脚本 ハーレイ・ペイトン撮影 ダンテ・スピノッティ音楽 クリストファー・ヤングキャストブルース・ウィリス(ジョー・ブレーク)ビリー・ボブ・ソーントン(テリー・コリンズ)ケイト・ブランシェット(ケイト・ウィーラー)トロイ・ギャリティ(ハーヴィー・ポラード)2001年・124分・アメリカ原題「Bandits」2021・12・25・こたつシネマ
2021.12.31
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マーティン・ブレスト「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」こたつシネマ 映画.com ここのところ、といっても、この二日ですが、TVの洋画劇場を続けてみました。今日見たのは、アル・パチーノが1992年のアカデミー賞で、主演男優賞をとった「セント・オブ・ウーマン」という作品でした。 アル・パチーノは、もう40年以上も前のことですが、ジーン・ハックマンとさすらった「スケアクロウ」、アブナイ刑事の「セルピコ」、テレビスターまがいの銀行強盗「狼たちの午後」、そしてやくざの跡取り「ゴッド・ファーザー」まで、まだまだありますといいたい印象的な作品で、ぼくの中では絶対的な贔屓役者の一人です。 もっとも90年以降は、映画を見なかったのでこの映画のことは全く知りませんでした。今日見たのは1992年の作品で、題名は番組が終わって確認しないとわかりませんでした。 目が見えないからでしょうか、生きていることの喜びを失っている元軍人と、ひょんなことから生きていくことのへの期待を失いそうになっている、絵に書いたような「好青年(?)」の出会いが、自殺用のコルト・ガバメントを巡って繰り広げられていました。 Wikipedia 瞳を動かさないアル・パチーノが、軍用ピストルを組み立てていく様子を青年が見つめるシーンに見入りながら、映画館に行かなかった30年を考えてしまいました。 おそらく有名な映画なので筋は追いませんが、ドナ(ガブリエル・アンウォー)という女性とタンゴを踊るシーンとか、ランボルギーニというのでしょうか、真っ赤なスポーツカーを走らせるシーン、最後に姪の家に帰ってきて、小さな二人の子供に声をかけるアル・パチーノの後ろ姿、それぞれのシーンが、なんというか、「生きる歓び」を掻き立てるような作品でした。 原作は小説があるようですが、監督が「ビバリーヒルズ・コップ」のマーティン・ブレスト、脚本が「カッコーの巣の上で」の脚本家ボー・ゴールドマンだそうで、まあ、面白いはずですよね。 それにしても、円熟を感じさせるアル・パチーノの演技には拍手!拍手!でした。監督 マーティン・ブレスト脚本 ボー・ゴールドマン撮影 ドナルド・E・ソーリン美術 アンジェロ・グラハム衣装 オード・ブロンソン=ハワード編集 ウィリアム・スタインカンプ マイケル・トロニック音楽 トーマス・ニューマンキャストフランク・スレード中佐(アル・パチーノ)チャーリー・シムズ(クリス・オドネル)トラスク校長(ジェームズ・レブホーン)ドナ(ガブリエル・アンウォー)1992年・157分・PG12・アメリカ原題「Scent of a Woman」2021・12・25・こたつシネマ
2021.12.26
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ジョー・ライト「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」 映画.com ボンヤリ、テレビ画面を見ていると、知った顔の女優さんが出てきて「ああ、この人好きかな!?」とか思って見始めて、二時間くぎ付けでした。 映画は「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」で、その女優さんはリリー・ジェームズさんでした。 映画.com エリザベス・レイトンという、チャーチルの秘書か、タイピストかの役なのですが、「ガーンジー島の読書会」とか「イエスタデイ」といった、最近見た映画や、ナショナルシアター・ライブの画面でもお目にかかっている女優さんですが、今回の役柄と演技(?)が一番いいと思いました。 というのは、この映画では、「ええー、この人があのゲイリー・オールドマンですか?!」という化け方で出ていた主人公ウィンストン・チャーチルの内面を照らし出す光源のような役で二人の女性が登場します。 その一人が、このリリー・ジェームズ、もう一人がチャーチルの奥さんクレメンティーンを演じたクリスティン・スコット・トーマスという女優さんでしたが、お二人に共通するのは、何ともいえない「引いた演技」だと思いましたが、それが、お二人とも、とてもいいなと思いました。この映画の陰の主役は、この、お二人だと思いました。 見終わって、クリストファー・ノーランの「ダンケルク」を見たときに、少し不満に感じた「英国社会の描き方」のことを思い出しました。 が、この映画では、それがテーマのようにクローズアップされて描かれていた印象で、これを見てから、あの映画を見れば、少し感想は違っていたのかなとも思いました。 1940年5月、対ナチス挙国一致内閣の首班についたチャーチルが、「ダンケルクの撤退」作戦までの1か月間の苦悩を描いた映画でした。 それにしても、映画の後半、クライマックスともいえる、チャーチルが民衆と出会う地下鉄のシーンに至る展開は、もう興味津々で、チャーチルの「セリフ」も「演説」も一言も聞き逃せない気分で、テレビにかじりついていました。 反ナチスのトップに立ったからこそ、政治的には追い詰められていくチャーチルを演じるゲイリー・オールドマンという俳優さんも本当にうまいですね。 政治家としての敗北を覚悟したチャーチルの私邸、それも、寝室に、国王ジョージ6世が訪問し、「逃げ出さないで、民衆とともにありたい!」と決意を語り、その結果、チャーチルは乗ったこともない地下鉄で市民と会うわけですから、たとえ、このエピソードが歴史的には作り事であったとしても、このシーンの説得力は半端ではないと思いました。 ヒットラーと戦い、勝利した国だからこその映画といってしまえばそれまでですが、イギリスの民主主義に底流する、独特な「国民意識」を鮮やかに描き出した傑作だと思いました。監督 ジョー・ライト脚本 アンソニー・マッカーテン撮影 ブリュノ・デルボネル美術 サラ・グリーンウッド衣装 ジャクリーン・デュラン編集 バレリオ・ボネッリ音楽 ダリオ・マリアネッリ特殊メイク/ヘア&メイクデザイン(ゲイリー・オールドマン)辻一弘キャストゲイリー・オールドマン(ウィンストン・チャーチル)クリスティン・スコット・トーマス(クレメンティーン・チャーチル)リリー・ジェームズ(エリザベス・レイトン)スティーブン・ディレイン(ハリファックス子爵)ロナルド・ピックアップ(ネビル・チェンバレン)サミュエル・ウェスト(アンソニー・イーデン)ベン・メンデルソーン(国王ジョージ6世)2017年・125分・G・イギリス原題:Darkest Hour2021・04・10こたつシネマ
2021.04.12
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クリント・イーストウッド「ハドソン川の奇跡」こたつシネマ 夕食を終えて、ウトウトしていると始まっていました。「何?これ?」「イーストウッドの映画よ。主役のトム・ハンクスは知ってるんやろ。」「飛行機事故か?」「うん、ニューヨークの真ん中に不時着すんねん。」で、見始めて、最後まで見ました。 有名な映画らしいので、あれこれ言ってもしようがないのですが、ああ、そうだよなと納得したことが二つありました。「事故」という出来事をコンピューターを駆使して再現し、現場で行動した機長や乗組員の判断が正しかったかどうかを追及していく「法廷もの」としてのサスペンスがドキドキさせるのですが、主人公による形勢逆転の決め手に「人間的判断」を持ってきたところが、当たり前と言えば当たり前なのですが、鮮やかでした。 「イーストウッドらしいな。」 まあ、イーストウッドなんてよく知らないのですが、そう思いました。さまざまな現実の経験には、経験する「人間」の人間としての要素が必ず介在すること、だからこそ「事故調査」という名の検証が必要なのですが、現実を解析する「機械的手段」に「人間的要素」を評価させることは、実際、かなり難しいわけです。 それは、こんな大きな事故や戦争の例を持ち出すまでもなく、コロナの現実に対処している、我々の社会が、よくも悪しくも直面していることだと思うのですが、当事者の「人間」としての側面は「数値」に置き換えられて、忘れられているような気がします。 そんなことを、ぼんやり考えながらエンド・ロールを見ていると、二つ目のカンドーがやって来ました。 「155というのは数字にすぎない」 「数字にすぎない」というクレジット見た瞬間、ぼくの中で、激しく動くものがあるような気がしました。そして、この感じを初めて経験したのは、阪神大震災の死者の数が毎日更新されていった日々だったことを思い出しました。 ニュースとして報じられる、増え続ける「数字」に対してなのか、客観でしかありえないアナウンサーの口調に対してだったのか、「そうじゃない、そうじゃないだろ。」そんな言葉にならない憤りのようなものが噴出してきた記憶です。 エンド・ロールが進むにしたがって、「ああ、イーストウッドも同じように感じたことがあったんだな」と、少し落ち着きました。 そういえば、この所、感染者や死者の人数が「数字」として「踊って」いる日常にくらしてますが、「そうじゃないだろ!」と言いたい気分ですね。 ともあれ、イーストウッドの率直さに共感した映画でした。ああ、今度は監督作を探すことになりそうです。監督 クリント・イーストウッド原作 チェズレイ・サレンバーガー ジェフリー・ザスロー脚本 トッド・コマーニキ撮影 トム・スターン美術 ジェームズ・J・ムラカミ衣装 デボラ・ホッパー編集 ブル・マーレイ音楽 クリスチャン・ジェイコブ ザ・ティアニー・サットン・バンドキャストトム・ハンクス(チェズレイ・“サリー”・サレンバーガー機長)アーロン・エッカート(ジェフ・スカルズ・副操縦士)ローラ・リニー(ローリー・サレンバーガー機長の妻)クリス・バウアー(ラリー・ルーニー同僚)マイク・オマリー(チャールズ・ポーター・国家運輸安全委員会の調査員)アンナ・ガン(エリザベス・デイヴィス・国家運輸安全委員会の調査員)ジェイミー・シェリダン(ベン・エドワーズ・国家運輸安全委員会の調査員)2016年製作/96分/G/アメリカ原題:Sully配給:ワーナー・ブラザース映画2021・01・31こたつシネマ
2021.02.02
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フランシス・フォード・コッポラ「ゴッドファーザーPARTⅢ」こたつシネマ 2020年の12月30日は「ゴッドファーザーPARTⅢ」でした。もう、なにもいう事はありませんが、アル・パチーノが日ざかりの庭で椅子から転がり落ちて映画は終わりました。 ぼくにとっては、学業も仕事も家庭もいい加減で、いろんな人に顰蹙を買っていたに違いない20代、30代に見た最後の映画で、アルパチーノがオレンジ・ジュースをすがるように飲んだシーンと、最後のシーンがすべての映画でした。 感想で書きましたが、「パートⅡ」では、たくさんの思い違いや、記憶間違いを感じたのとは好対照というか、この映画は、かなり正確に覚えていました。理由は明らかで、この映画は映画館では見たことがない作品なのです。レンタルビデオで見た映画ですが、この映画を最後にビデオも借りなくなった映画ですね。「シマクマ君、どうしたの。映画は見ないの?」「うん、映画はやめた。もう見ない。」「どうして?あんなに好きやったやないか。ザンネンやなあ。」学生時代から親しかった友人とそんな会話そんな会話をしたことを覚えていますが、ホントに30年近く映画館に行くことはほとんどありませんでした。どうして、そんなふうに思い込んで、意地を張ったのか、今思えば、よく分かるようなわからないようなことなのですが、ともかく、好きだった映画を見に行くことを30代の半ばあ、仕事について10年くらいのときににやめてしまいました。 60歳を過ぎて、仕事をやめました。それから、もう一度、映画館徘徊はじめて3年が過ぎます。 二十代に見た映画に再会することもあります。昔見て印象に残っている作品との再会は、初めてみる映画とは違う感動というか、動揺というか、刺さってくるものがありますね。映像には、小説とかとは違う力があるのかもしれません。 今年も、新しい映画と古い映画いろいろ観ましたが、一年の終わりに偶然見たアル・パチーノは、やはり、よかったですね。 昨年でしたか「アイリッシュマン」という映画で久しぶりに顔を見ましたが、愛娘ソフィアの死に叫び声をあげたシーンや、椅子から転げ落ちたマイケル・コルレオーネを演じたアル・パチーノを、アル・パチーノだと記憶してしまっている老人には、なんだか不思議な出会いでした。それは、理屈では説明できないのです。 2021年は、どんな映画と出会うのでしょうね。とりあえず、切符を予約して最初に見るのは「天井桟敷の人々」です。この映画とも、40年ぶりの再会です。たのしみですね。 それではみなさんよいお年をお迎えください。来年も「ゴジラブログ」よろしくお願いします。監督 フランシス・フォード・コッポラ脚本 マリオ・プーゾ フランシス・フォード・コッポラ製作総指揮 フレッド・フックス ニコラス・ゲイジ製作 フランシス・フォード・コッポラ撮影 ゴードン・ウィリス音楽 カーマイン・コッポラ編集 バリー・マルキン リサ・フラックマン ウォルター・マーチキャストアル・パチーノ(Michael_Corleone)ダイアン・キートン(Kay_Adams)タリア・シャイア(Connie_Corleone_Rizzi)アンディ・ガルシア(Vincent_Mancini)イーライ・ウォラック(Don_Altobello)ジョー・マンテーニャ(Joey_Zaza)ジョージ・ハミルトン(B._J._Harrison)ブリジット・フォンダ(Grace_Hamilton)ソフィア・コッポラ(Mary_Corleone)1990年・162分・アメリカ原題「The Godfather Part III」2020・12・30こたつシネマ
2020.12.31
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フランシス・フォード・コッポラ「ゴッドファーザーPART II」こたつシネマ 夕食を食べて、ボンヤリ、テレビ画面を見ていると映画が始まりました。いつもならテレビの人チッチキ夫人はPC相手になんかしていて、しようがないので見続けていると、どっかからアメリカにやって来た少年が入国審査を受けて、言葉ができないからでしょうか、黙っていると「ヴィトー・コルレオーネ」と名付けられて、その上、天然痘を宣告され病室に連れていかれました。 第一部でマーロン・ブランドが演じたゴッド・ファーザー、ヴィトー・コルレオーネに、彼の出身の村の名前が付けられた瞬間ですね。 フランシス・コッポラの名画、「ゴッド・ファーザーⅡ」が始まっていました。NHKの衛星放送です。ここからテレビにくぎ付けでした。久しぶりに見たのですが驚いたことが二つありました。 ひとつは、若き日の父ヴィトー・コルレオーネを演じているのが、ロバート・デニーロだということに気付かなかったことです。 ニュー・ヨークのヤクザ、ファヌッチを暗殺する、きっと有名なのでしょうね、アパートの暗い廊下の踊り場のランプが点滅する場面で、浮かび上がってきたコルレオーネの顔を見て、「あっ、デニーロだ。」と叫びそうでした。 まず、ぼくは、どちらかとういうと、遅れてきたマーロン・ブランドファンで、「波止場」とか「欲望という名の電車」は見たことがないまま、「ゴッド・ファーザー」で見て、それから、間に、たしか「ラスト・タンゴ・イン・パリ」、「ミズーリ・ブレイク」、「スーパーマン」を挟んで、「地獄の黙示録」のカーツ大佐までのマーロン・ブランドに夢中で、どの映画も封切で見た記憶があります。 今でも好きな俳優ですが、当時、どこが、そんなに好きだったのかよく覚えていません。 というわけで、今回、この映画を見ていて、声がマーロン・ブランドによく似ているのですが、この役者はいったい誰なんだと、首をかしげていたわけです。 で、彼が暗がりから浮かび上がった顔を見て、ギョッとしたわけです。この映画では最後のほうで、ヴィト―・コルレオーネがシチリア島のマフィアの親分を殺すシーンがありますが、そこで、確かにロバート・デニーロだと、もう一度気付き直して唸りました。 ぼくは、この映画も封切りで見ましたが、ロバート・デニーロは「タクシー・ドライバー」で初めて見た役者だと、今日まで思い込んでいたわけです。 蛇足ですが、「タクシー・ドライバー」という作品は、「ゴッド・ファーザーⅡ」の翌年ぐらいの封切で、見たのは後だったはずです。これは、まあ、記憶違いとかではなくて、単なる「無知」を確認したということですね。 二つ目は、記憶違いの話です。 ぼくは、アル・パチーノという、この映画の主演俳優も、ずっと好きだったのですが、この人を最初に見たのは「スケアクロウ」でジーン・ハックマンと歩いていた姿か、「狼たちの午後」でジョン・カザールと銀行強盗をしていた姿だったと思い込んでいたのですが、ちがいました。「ゴッド・ファーザー」が、最初だったのですね。 「ゴッド・ファーザー」、「スケアクロウ」、「ゴッドファーザーⅡ」、「狼たちの午後」の順に封切られていたのでした。 同じような、思い違いは映画の中にもありました。 この映画のアル・パチーノはこの写真で有名だと思うのですが、ぼくは、この写真のシーンがラストシーンだと、マイケル・コルレオーネが、ドン・コルレオーネになった、このシーンで映画は終わっていたと思い込んでいましたが、ちがいましたね。 この後、ジョン・カザールが演じる兄のフレッドの死を描く湖のシーンがあって、それは、このシリーズではとても大切な逸話なのですが、そのあとのアル・パチーノの表情が映るんですね。忘れていました。 もっとも、ぼくの記憶の中にはアル・パチーノと共演するジョン・カザールという俳優さんは、損な役まわりばかりしている印象があります。「狼たちの午後」でも、あっけなく撃ち殺されるのはジョン・カザールのほうだったと思います。でも、ジョン・カザールという早死にした俳優さんは、そんなふうにいうのは失礼な名優で、記憶に残る人なのですが、なぜかこの映画では、その死のシーンを忘れていました。 人さまから見れば、あほらしい思い出を書きましたが、今回テレビで見ていて、なぜ、こんなに面白いのか、ホントに面白かったですね。 40年以上前に封切で見て、その後も何度かビデオとかで見ていると思うのですが、今回が一番面白かったと感じました。 アル・パチーノやロバート・デニーロはもちろんですが、ダイアン・キートンやジョン・カザールをはじめ、わき役たちの、その場その場の表情が何とも言えませんね。瞬間、瞬間が記憶に残るような印象でした。「ゴッド・ファーザー」は見損ねましたが、こうなったら「ゴッド・ファザー Ⅲ」も、続けて見ないわけにはいきませんね。監督 フランシス・フォード・コッポラ製作 フランシス・フォード・コッポラ原作 マリオ・プーゾ脚本 フランシス・フォード・コッポラ マリオ・プーゾ撮影 ゴードン・ウィリス美術 ディーン・タボウラリス衣装 セオドア・バン・ランクル編集 ピーター・ツィンナー バリー・マルキン リチャード・マークス音楽 ニーノ・ロータ カーマイン・コッポラキャストアル・パチーノ(マイケル)ロバート・デュバル(義兄トム・ヘイゲン)ダイアン・キートン(妻ケイ)ロバート・デ・ニーロ(父ヴィトー・アンドリーニ・コルレオーネ)タリア・シャイア(妹コニー)ジョン・カザール(兄フレッド)1974年・202分・アメリカ原題:The Godfather: Part II2020・12・29こたつシネマno6
2020.12.31
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ターセム・シン「落下の王国」こたつシネマ チッチキ夫人が「おもしろそうやん。見るんならつけとくよ。」といって。お風呂に行ってしまいました。テレビにはタイトルロールが流れていて、題名が「The Fall」、邦題は「落下の王国」です。 ボンヤリ見始めてハマってしまいました。 写真の女の子は移民の子供らしくて、向こうで寝ている男はスタントマン。映画といっても、無声映画の時代で、場所はロサンゼルスらしいのですが、ハリウッドがあるのか、ないのかわからない時代です。日本でいえば、大正時代くらいの「お話し」のようです。 ハマった理由は二つあります。 一つはこの少女がやたらかわいいことです。小学校の一年生か二年生くらいの設定なのですが、オレンジの木から落ちて左腕を骨折して入院している病院が舞台になっています。 男はスタントの仕事で下半身不随の大けがをしたらしく、再起不能を知って、絶望して死にたがっています。 死にたがっている男が、偶然そばにやってきた少女に、作り話をして聞かせると、この少女にとても受けたのをいいことに、「お話」と交換に、なんと、このいたいけない少女に薬局からの盗みを命じます。 そこからの少女の活躍が素晴らしいのです。 二つ目は少女が聞くお話しの世界が超絶的に素晴らしいことです。登場人物が少女の周りにいる大人たちなのも笑えますが、映像は、ホント、超絶していました。 絵本の世界が現実化すると「斯くや」という感じなのですが、ここまでシュールになるのかというのが率直な印象です。 石岡瑛子が担当した衣装もさることながら、撮られている場所が凄いですね。なんというか、とてもエキゾチックなチョイスで、まあ、言ってしまえば「世界遺産めぐり」という感じでしょうか。 いやはや、こんな映画があったことにテレビの前で驚嘆でした。残念なのは、これが映画館のスクリーンではないことですね。 おしゃべりしようと寝室を覗くとチッチキ夫人はお布団でスヤスヤお休みでした。あらら。監督 ターセム・シン脚本 ダン・ギルロイ ニコ・ソウルタナキス ターセム・シン撮影 コリン・ワトキンソン音楽 クリシュナ・レビ美術 ゲド・クラーク衣装 石岡瑛子キャストリー・ペイス(ロイ・ウォーカー)カティンカ・アンタルー(アレクサンドリア)ジャスティン・ワデル(エヴリン看護師)キム・ウィレンブローク( 医者 ・アレクサンダー大王)ダニエル・カルタジローンエミール・ホスティナ2006年・118分・アメリカ原題「The Fall」2020・09・11・コタツno5にほんブログ村にほんブログ村
2020.10.10
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